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化け物たちとの遭遇編
迫る魔の手
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【クラウン城東部平原地帯】
「アリスお姉様ー…うぅ…嬉しいですわぁ!」
エリエスが涙を流しながらアリスに抱きついていた
「おぉ、ヨシヨシ(笑)」
同年代に自分を上回る者が居た事の喜びと、非常識な存在である自分の全てを魅せても、変わらないでくれる者が居る事に涙を流して喜んでいた
「姉さん、やるね!…それはそうとヒイロ。ミスリルソード見事に折れちゃったね(笑)」
アリスが放った【天破豪陣斬(テンハゴウジンザン)】を受けたミスリルソードは、真っ二つに砕かれていた。その砕かれっぷりを見つめるヒイロにアテナが近寄る
「すまんかったのぅ、弁償はさせてもらうでな。いくら払えば良いかの?」
「いえ、良いですよ。確かに売れば結構な値段が付きますが…その代わりにアリスが、かけがえのない親友を得たのだから安い代償だと思っておきます」
「そうか、すまんのぉ…良い男じゃなヒイロ。可愛い3人がお前に惚(ほ)れているのも頷(うなず)けるわい(笑)」
レア鉱石のミスリルで作ったソードは、一般の冒険者が「いつかは手に入れたい!」と憧れる程の1品なのだが、それをアリスとエリエスの友好関係と引き換えで良しとしたヒイロだった
「ガラガラガラ……」
2人の少女の抱擁を眺めて和んでいた彼らの近くを、豪華な馬車の車輪の音が近付いてきた
「ふはっはっはっは!余がクラウンの次期当主【キングス王子】であーるっ!」
清々しく騒がしい声量のキングス王子が、お供を連れて馬車の中から現れた
「どうしたのじゃ?王子がわざわざこんな所まで来るとはの」
「これはアテナ様。ご機嫌麗しゅうであります!もう少し東に行った集落から魔獣の発見報告を受けたので、余自らが調査に出向く次第でありまーす!」
相変わらずクセの強い話し方だが、キングス王子は至って真面目である
「それは放っておけないよぉ!ヒイロお兄ちゃん、アタシ達も王子様に付いて行こうよぉ!」
「そうだな…王子様に何かあってもイカンしな。カルーア、サーシャ、コハラコ良いか?」
アリスの提案に同意するヒイロ達だが【武闘女神】と呼ばれたアテナは、王子の護衛の申し出に断りを入れた。当然理由を聞かれたアテナはそれに答える
「キングス王子よ、そなたの父ロードは知っている事なのじゃが、この娘【エリエス】は実はワシらの孫ではないのじゃ」
「なんと!?では誰の子供なのですか?」
アテナはエリエスが、遙か昔に地球からやって来たという古代人たちが住んでいたという古代文明遺跡から発掘された【超人類計画】の試作品である事を説明した
「王都に勤めるエリエスの両親役をしてくれたあの2人も、実は全くの他人でのぅ。ただあの人(ヘパイトス)の教え子だったと言うだけじゃ。彼らにエリエスの両親の役目が終わったと伝えねばならんしな」
「うむ了解した。護衛もおるしハイエルフのカルーア嬢も居るのだ、問題は無い。早く行くが良かろう」
かくしてキングス王子達は、ヒイロと三姉妹、コハラコを一向に加え魔獣が現れたという集落に向かった
【森林地帯】
数時間後、人間の目を避けながら食料を探さなければならないグルドル達は、その非効率のせいで僅かな木の実を得たに過ぎなかった
「ふたりとも大丈夫?お腹空いてない?」
「グキュウウゥ…」エイナスとシェルハは、ロロルカの問いに空腹の腹の音で返事をしてしまった
「だよなぁ…言わない様にしていたが、俺もかなりツラくなってきたぜ。逃げられない動物とかいねーのかよ…」
チカラ勝負なら、それなりに自信のあるグルドルだが、小型の速度タイプの動物にしか出会っていなかった
「本当に困ったわ。さっきから湧き水も見当たらなくて喉も乾いてきちゃったし……あら?アレは?」
途方に暮れながら前を眺めたロロルカの視界に、供養碑が目に入った
(日本で言うところの旅人への安全祈願とかのお地蔵さんの様な役割だろうか?)
「ねぇグルドル、アレを頂いても仕方ないと、思わない?」
「そうだな…気は引けるが、仕方ないよな」
「そうよね!私が取ってくるわ」
供養碑に備えられている食べ物は、まだ新しく十分に食べられそうな果実や野菜が何点か備えられていた。4人の2食分にはなるだろうか?
「申し訳ありません。私達も困ってるんです。お許しくださいね」
供養碑へのお供え物を詫びの言葉を言いながら、そっと手を伸ばすロロルカ………その時だった!!
「バシュン!」
「きゃあああっ!?」
「どうしたっ!?」
皿の上に置かれた供物を持ち上げた時、供養碑に刻まれた文字が光ったかと思うと中央に置かれている小箱の蓋が開き、中から無数の触手が伸びてきてロロルカの全身を拘束した
「何だと!?…罠だっ!」
ソレが自分達4人を嵌(は)める為の罠だと気付いたグルドルだが…
「今だ!全員構えろ!……撃てー!」
林道の高い木の上に姿を隠していた人間10数人が、弓を構えて彼ら4人に攻撃を始めた
「がはっ!?」
トラップに動きを拘束されていたロロルカは、成す術もなく弓矢3本に身体を刺されてしまった!
「ロロルカさん!」
「ロロルカお姉さん!」
エイナスとシェルハは、目の前で起きた悲劇を受け入れられずにその場で硬直してしまう
「馬鹿っ!何やってんだ、逃げるぞ!」
グルドルは8歳のシェルハを抱き抱えて走り出す
「シェルハ、コレで身を隠すんだ!」
グルドルは盾と言うには心許(こころもと)ないが何も無いよりはマシなので、シェルハに持っていた籠を持たせた。シェルハは頭の上に籠を構える
「エイナスも急げっ!」
「でも!ロロルカさんが!」
「もう助からん!走れ!走るんだっ!!」
「生きて……」
自分を置いて弓矢の雨あられの中、走り行く3人を虚ろな目で見送るロロルカ
「うえぇん!ロロルカお姉さんがぁ…うぅ…」
グルドルの背中で泣きじゃくるシェルハ
「ちくしょう!ちくしょうっ!」
エイナスも目に涙をためながら、必死に人間の攻撃から逃げていた。人気の無い濃い密林地帯に駆け込んで行く3人
人間の罠でロロルカを失った3人は、見知らぬ世界で今後どうなってしまうのか?
続く
「アリスお姉様ー…うぅ…嬉しいですわぁ!」
エリエスが涙を流しながらアリスに抱きついていた
「おぉ、ヨシヨシ(笑)」
同年代に自分を上回る者が居た事の喜びと、非常識な存在である自分の全てを魅せても、変わらないでくれる者が居る事に涙を流して喜んでいた
「姉さん、やるね!…それはそうとヒイロ。ミスリルソード見事に折れちゃったね(笑)」
アリスが放った【天破豪陣斬(テンハゴウジンザン)】を受けたミスリルソードは、真っ二つに砕かれていた。その砕かれっぷりを見つめるヒイロにアテナが近寄る
「すまんかったのぅ、弁償はさせてもらうでな。いくら払えば良いかの?」
「いえ、良いですよ。確かに売れば結構な値段が付きますが…その代わりにアリスが、かけがえのない親友を得たのだから安い代償だと思っておきます」
「そうか、すまんのぉ…良い男じゃなヒイロ。可愛い3人がお前に惚(ほ)れているのも頷(うなず)けるわい(笑)」
レア鉱石のミスリルで作ったソードは、一般の冒険者が「いつかは手に入れたい!」と憧れる程の1品なのだが、それをアリスとエリエスの友好関係と引き換えで良しとしたヒイロだった
「ガラガラガラ……」
2人の少女の抱擁を眺めて和んでいた彼らの近くを、豪華な馬車の車輪の音が近付いてきた
「ふはっはっはっは!余がクラウンの次期当主【キングス王子】であーるっ!」
清々しく騒がしい声量のキングス王子が、お供を連れて馬車の中から現れた
「どうしたのじゃ?王子がわざわざこんな所まで来るとはの」
「これはアテナ様。ご機嫌麗しゅうであります!もう少し東に行った集落から魔獣の発見報告を受けたので、余自らが調査に出向く次第でありまーす!」
相変わらずクセの強い話し方だが、キングス王子は至って真面目である
「それは放っておけないよぉ!ヒイロお兄ちゃん、アタシ達も王子様に付いて行こうよぉ!」
「そうだな…王子様に何かあってもイカンしな。カルーア、サーシャ、コハラコ良いか?」
アリスの提案に同意するヒイロ達だが【武闘女神】と呼ばれたアテナは、王子の護衛の申し出に断りを入れた。当然理由を聞かれたアテナはそれに答える
「キングス王子よ、そなたの父ロードは知っている事なのじゃが、この娘【エリエス】は実はワシらの孫ではないのじゃ」
「なんと!?では誰の子供なのですか?」
アテナはエリエスが、遙か昔に地球からやって来たという古代人たちが住んでいたという古代文明遺跡から発掘された【超人類計画】の試作品である事を説明した
「王都に勤めるエリエスの両親役をしてくれたあの2人も、実は全くの他人でのぅ。ただあの人(ヘパイトス)の教え子だったと言うだけじゃ。彼らにエリエスの両親の役目が終わったと伝えねばならんしな」
「うむ了解した。護衛もおるしハイエルフのカルーア嬢も居るのだ、問題は無い。早く行くが良かろう」
かくしてキングス王子達は、ヒイロと三姉妹、コハラコを一向に加え魔獣が現れたという集落に向かった
【森林地帯】
数時間後、人間の目を避けながら食料を探さなければならないグルドル達は、その非効率のせいで僅かな木の実を得たに過ぎなかった
「ふたりとも大丈夫?お腹空いてない?」
「グキュウウゥ…」エイナスとシェルハは、ロロルカの問いに空腹の腹の音で返事をしてしまった
「だよなぁ…言わない様にしていたが、俺もかなりツラくなってきたぜ。逃げられない動物とかいねーのかよ…」
チカラ勝負なら、それなりに自信のあるグルドルだが、小型の速度タイプの動物にしか出会っていなかった
「本当に困ったわ。さっきから湧き水も見当たらなくて喉も乾いてきちゃったし……あら?アレは?」
途方に暮れながら前を眺めたロロルカの視界に、供養碑が目に入った
(日本で言うところの旅人への安全祈願とかのお地蔵さんの様な役割だろうか?)
「ねぇグルドル、アレを頂いても仕方ないと、思わない?」
「そうだな…気は引けるが、仕方ないよな」
「そうよね!私が取ってくるわ」
供養碑に備えられている食べ物は、まだ新しく十分に食べられそうな果実や野菜が何点か備えられていた。4人の2食分にはなるだろうか?
「申し訳ありません。私達も困ってるんです。お許しくださいね」
供養碑へのお供え物を詫びの言葉を言いながら、そっと手を伸ばすロロルカ………その時だった!!
「バシュン!」
「きゃあああっ!?」
「どうしたっ!?」
皿の上に置かれた供物を持ち上げた時、供養碑に刻まれた文字が光ったかと思うと中央に置かれている小箱の蓋が開き、中から無数の触手が伸びてきてロロルカの全身を拘束した
「何だと!?…罠だっ!」
ソレが自分達4人を嵌(は)める為の罠だと気付いたグルドルだが…
「今だ!全員構えろ!……撃てー!」
林道の高い木の上に姿を隠していた人間10数人が、弓を構えて彼ら4人に攻撃を始めた
「がはっ!?」
トラップに動きを拘束されていたロロルカは、成す術もなく弓矢3本に身体を刺されてしまった!
「ロロルカさん!」
「ロロルカお姉さん!」
エイナスとシェルハは、目の前で起きた悲劇を受け入れられずにその場で硬直してしまう
「馬鹿っ!何やってんだ、逃げるぞ!」
グルドルは8歳のシェルハを抱き抱えて走り出す
「シェルハ、コレで身を隠すんだ!」
グルドルは盾と言うには心許(こころもと)ないが何も無いよりはマシなので、シェルハに持っていた籠を持たせた。シェルハは頭の上に籠を構える
「エイナスも急げっ!」
「でも!ロロルカさんが!」
「もう助からん!走れ!走るんだっ!!」
「生きて……」
自分を置いて弓矢の雨あられの中、走り行く3人を虚ろな目で見送るロロルカ
「うえぇん!ロロルカお姉さんがぁ…うぅ…」
グルドルの背中で泣きじゃくるシェルハ
「ちくしょう!ちくしょうっ!」
エイナスも目に涙をためながら、必死に人間の攻撃から逃げていた。人気の無い濃い密林地帯に駆け込んで行く3人
人間の罠でロロルカを失った3人は、見知らぬ世界で今後どうなってしまうのか?
続く
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