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化け物たちとの遭遇編
萌果の実
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【ブルージュ村西部森林帯】
村の人や獣神族達と昼ごはんを済ませた三姉妹は「果物取りに行きませんか?」とのミアナの提案に乗っかり、魔獣族の子供2人を連れて森の奥までやって来ていた。ちなみにコハラコは、村の子供達に懐かれ過ぎているので置いてきていた
その時、何かの気配を感じとったアリスが動きを止めて周囲を警戒しだした
「ねぇ…割りと近くに誰か居るよォ」
「木の影から、わたし達を見つめている視線を感じるね」
「そうなんですの?お姉様方」
アリスの鼻とカルーアの探知魔法は、森林の中から彼女達を見詰める見知らぬ存在に気が付いていた
「ふふ、大丈夫ですよ。私が居ますから、貴方達が敵ではないと彼らは認識しているハズです」
ミアナが言うには、村周辺に生息している者たちは、キウかミアナか、エルデスの近くに居る者を襲うことは無いらしい
「大丈夫なのかな?」
「心配ないらしいよ」
エイナスとシェルハは、この世界の民間人が恐れる魔獣族の子供ではあるが…彼らからしたら、見知らぬ土地での亜人族やモンスターに囲まれている訳で「安心だよ」と言われても不安になるのは当然だった
「もう、すぐそこですよ」
と、ミアナが言った頃。木々の合間から静かに亜人が現れた
「ミアナ様、こんな森の奥までご苦労さまです」
「ひいっ!?」
「ヴォィドルフ!?」
「待ってですの!少し違うみたいですの」
「おや、可愛らしい5人の子供ですな。初めまして、ウルフマン族のボーキンってモンだ。ミアナ様、今日はどういったご要件ですかい?……なるほど、燃身の実ですか?そういや今が旬ですね。良かったら案内しましょうか?」
ウルフマンのボーキンという亜人は、三姉妹と魔獣族の子供2人に「ニカッ!」と笑ったのだが…狼の頭を持つ彼の笑顔は、特にエイナスとシェルハには迫力たっぷりの様だ
「お久しぶりねボーキン。貴方に道案内して貰えると助かるわ。お願い出来ますか?」
「キウ様とミアナ様には、いつもお世話になってますからな。この程度じゃお礼にもなりませんぜ(笑)」
見た目のイカツさとは裏腹に、ボーキンという男は心良く引き受けてくれた
「おい、お子様たち!」
「うひっ!?」
「ひやい!?」
「この辺から大きめの石が増えるから、足元には注意するんだぜ!」
色々と冒険してきた三姉妹は、細かな部分にまで気を配ってくれる彼に馴染んでいたが…エイナスとシェルハはもう少し時間が必要な感じだ
「皆さん、コチラを見てください」
ボーキンと出会ってから1キロも歩いてないくらいで木が少なくなり、剥き出しの岩が増える草原帯に変わっていた
ミアナが指さした岩と地面の隙間から、高さ10cmチョイの赤い花が咲いていた
「花の茎からツタが伸びてますの」
そのツタに赤い実が6個付いている
「ソレが燃身の実です。ほんのり甘い香りがしますよね?体力回復効果もありますし、さっぱり甘くて美味しいんですよ」
子供達はひとつずつ手に取り口に入れた
「甘い!」
「良い味だね」
「疲れが取れますの!」
子供達は、その実の美味しさに喜んでいた。ミアナは籠を渡し「コレに入れましょうね」と言った
その様子を見届けたボーキンは「そいじゃ俺はこれで失礼しますよ。晩飯を狩りに行きますので!」と言って彼女達を残し去って行った
ソレから彼らは燃身の実を取り始めた。全員視界に見える実を取るのに夢中になっていたのだが…
「アン!」
「どうしたのさ?サーシャ。変な声を出して…」
突然、甘い声を出したサーシャに呆れるカルーアだったが、一生懸命に実を取っていたサーシャの鼻に蝶々が止まっていた
「お姉様、取って欲しいですの」
「自分で取れば良いじゃないか?」
「でも…サーシャに寄り添ってくれた蝶々さんを、サーシャが追い払うのは気が引けますの…」
「やれやれ…キミの優しさの基準はよく分からないね」
と言いつつも、かなり加減して蝶々を手で払い飛び立たせた…2人は蝶々を少し眺めていたら、蝶々はそこから少し離れた所にある2メートル程の岩の裏の花に止まった
「あんな所にも実があるね」
「お姉様、取りに行きましょう!」
2人は蝶々が止まった所の岩の裏に回った。ソコには花が群がる様に咲いている
「採取してたヤツより…少し色が薄い実だね」
「クンクン…でも匂いは同じみたいですの。コレも撮りましょ、お姉様!」
カルーアは少し迷ったが、その花のツタに実っている実を手に取って口に運んだ
「うーん…味もほとんど同じだけど…少し辛味も混じっているような……んぅ!?」
「どうかしましたの?お姉様…」
その実を食べたカルーアが、少しの時間差でイキナリその場にうずくまった
「大丈夫ですの?お姉様?」
「はぁはぁ…何かおかしいんだ…あぁ…身体が…熱いよー!身体の中から疼いてきちゃう!」
「きゃうっ!?」
いつもはサーシャに押し倒される事が多いカルーアだが、燃身の実とよく似た実を食べたカルーアが…いきなり、その場でサーシャを押し倒した!
「ど、どうしたんですの?お姉様…」
「ふふふ…いつも澄ました顔をしてるけど、今の驚いたサーシャの顔は…とても可愛いね……食べちゃいたいよ!!」
いつもと攻守が入れ替わったカルーアとサーシャ。2人の姿は大きな岩が邪魔をして、ミアナ達からは見えない位置だった
「お、お姉様?サーシャは襲うのは好きなんですけど…襲われるのは、ちょっと…」
いつもと攻守が突然入れ替わり、サーシャは冷や汗をかいている
「んあっ!?」
足元の草がカルーアの精霊魔法に操られ、サーシャの手足を縛った
攻守が入れ替わり真っ昼間から、カルーアに襲われるサーシャの運命やいかに?
続く
村の人や獣神族達と昼ごはんを済ませた三姉妹は「果物取りに行きませんか?」とのミアナの提案に乗っかり、魔獣族の子供2人を連れて森の奥までやって来ていた。ちなみにコハラコは、村の子供達に懐かれ過ぎているので置いてきていた
その時、何かの気配を感じとったアリスが動きを止めて周囲を警戒しだした
「ねぇ…割りと近くに誰か居るよォ」
「木の影から、わたし達を見つめている視線を感じるね」
「そうなんですの?お姉様方」
アリスの鼻とカルーアの探知魔法は、森林の中から彼女達を見詰める見知らぬ存在に気が付いていた
「ふふ、大丈夫ですよ。私が居ますから、貴方達が敵ではないと彼らは認識しているハズです」
ミアナが言うには、村周辺に生息している者たちは、キウかミアナか、エルデスの近くに居る者を襲うことは無いらしい
「大丈夫なのかな?」
「心配ないらしいよ」
エイナスとシェルハは、この世界の民間人が恐れる魔獣族の子供ではあるが…彼らからしたら、見知らぬ土地での亜人族やモンスターに囲まれている訳で「安心だよ」と言われても不安になるのは当然だった
「もう、すぐそこですよ」
と、ミアナが言った頃。木々の合間から静かに亜人が現れた
「ミアナ様、こんな森の奥までご苦労さまです」
「ひいっ!?」
「ヴォィドルフ!?」
「待ってですの!少し違うみたいですの」
「おや、可愛らしい5人の子供ですな。初めまして、ウルフマン族のボーキンってモンだ。ミアナ様、今日はどういったご要件ですかい?……なるほど、燃身の実ですか?そういや今が旬ですね。良かったら案内しましょうか?」
ウルフマンのボーキンという亜人は、三姉妹と魔獣族の子供2人に「ニカッ!」と笑ったのだが…狼の頭を持つ彼の笑顔は、特にエイナスとシェルハには迫力たっぷりの様だ
「お久しぶりねボーキン。貴方に道案内して貰えると助かるわ。お願い出来ますか?」
「キウ様とミアナ様には、いつもお世話になってますからな。この程度じゃお礼にもなりませんぜ(笑)」
見た目のイカツさとは裏腹に、ボーキンという男は心良く引き受けてくれた
「おい、お子様たち!」
「うひっ!?」
「ひやい!?」
「この辺から大きめの石が増えるから、足元には注意するんだぜ!」
色々と冒険してきた三姉妹は、細かな部分にまで気を配ってくれる彼に馴染んでいたが…エイナスとシェルハはもう少し時間が必要な感じだ
「皆さん、コチラを見てください」
ボーキンと出会ってから1キロも歩いてないくらいで木が少なくなり、剥き出しの岩が増える草原帯に変わっていた
ミアナが指さした岩と地面の隙間から、高さ10cmチョイの赤い花が咲いていた
「花の茎からツタが伸びてますの」
そのツタに赤い実が6個付いている
「ソレが燃身の実です。ほんのり甘い香りがしますよね?体力回復効果もありますし、さっぱり甘くて美味しいんですよ」
子供達はひとつずつ手に取り口に入れた
「甘い!」
「良い味だね」
「疲れが取れますの!」
子供達は、その実の美味しさに喜んでいた。ミアナは籠を渡し「コレに入れましょうね」と言った
その様子を見届けたボーキンは「そいじゃ俺はこれで失礼しますよ。晩飯を狩りに行きますので!」と言って彼女達を残し去って行った
ソレから彼らは燃身の実を取り始めた。全員視界に見える実を取るのに夢中になっていたのだが…
「アン!」
「どうしたのさ?サーシャ。変な声を出して…」
突然、甘い声を出したサーシャに呆れるカルーアだったが、一生懸命に実を取っていたサーシャの鼻に蝶々が止まっていた
「お姉様、取って欲しいですの」
「自分で取れば良いじゃないか?」
「でも…サーシャに寄り添ってくれた蝶々さんを、サーシャが追い払うのは気が引けますの…」
「やれやれ…キミの優しさの基準はよく分からないね」
と言いつつも、かなり加減して蝶々を手で払い飛び立たせた…2人は蝶々を少し眺めていたら、蝶々はそこから少し離れた所にある2メートル程の岩の裏の花に止まった
「あんな所にも実があるね」
「お姉様、取りに行きましょう!」
2人は蝶々が止まった所の岩の裏に回った。ソコには花が群がる様に咲いている
「採取してたヤツより…少し色が薄い実だね」
「クンクン…でも匂いは同じみたいですの。コレも撮りましょ、お姉様!」
カルーアは少し迷ったが、その花のツタに実っている実を手に取って口に運んだ
「うーん…味もほとんど同じだけど…少し辛味も混じっているような……んぅ!?」
「どうかしましたの?お姉様…」
その実を食べたカルーアが、少しの時間差でイキナリその場にうずくまった
「大丈夫ですの?お姉様?」
「はぁはぁ…何かおかしいんだ…あぁ…身体が…熱いよー!身体の中から疼いてきちゃう!」
「きゃうっ!?」
いつもはサーシャに押し倒される事が多いカルーアだが、燃身の実とよく似た実を食べたカルーアが…いきなり、その場でサーシャを押し倒した!
「ど、どうしたんですの?お姉様…」
「ふふふ…いつも澄ました顔をしてるけど、今の驚いたサーシャの顔は…とても可愛いね……食べちゃいたいよ!!」
いつもと攻守が入れ替わったカルーアとサーシャ。2人の姿は大きな岩が邪魔をして、ミアナ達からは見えない位置だった
「お、お姉様?サーシャは襲うのは好きなんですけど…襲われるのは、ちょっと…」
いつもと攻守が突然入れ替わり、サーシャは冷や汗をかいている
「んあっ!?」
足元の草がカルーアの精霊魔法に操られ、サーシャの手足を縛った
攻守が入れ替わり真っ昼間から、カルーアに襲われるサーシャの運命やいかに?
続く
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