ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

それぞれの課題

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【冒険者ギルド】
「それは災難だったな…下調べも出来ずに調査に行かせて申し訳なかった。深く謝罪する。それと、目的は達成されたのだから報酬は窓口でもらってくれ」

古代遺跡での報告を受けたギルマスは、驚きの顔を隠せなかった。それほどまでに今回の調査隊のメンバーは、王都でも揃えられない様な猛者揃いでのクエストだったのに、彼らは命からがら逃げてきたのだから

「Aランクに昇格してから、順調に高難易度のクエストをこなしていたから、今回の事はショックね(笑)」

「仕方ありませんよ。自分も守るだけで精一杯でしたし…」

「にしてもさ、普通1階層って冒険者の肩慣らしを兼ねたレベルの魔物が出て、先に進むほど強い敵が現れる!ってのが王道でしょ!?何なのよ、1階層のボスがブラックドラゴンって!無理クエ過ぎるって!」

双子姉妹冒険家のシェリー、シャルル、ガルダンも今回のクエストで心底疲れた顔をしている


「サーシャちゃんとコハラコちゃん、それにエルデスちゃんの姿が見えませんが、どうかされたのですか?」

「サーシャはコハラコを庇って大怪我してしまってね。この街の治療院に入ってエルデスさんの治癒魔法で回復中なのさ」

説明するカルーアの表情から、サーシャが受けたダメージの深さをクエストに参加しなかった他の者たちも理解した

「まーまー、そんな落ち込まないでさ!クエストは達成出来たんだから、報酬もらって今夜はパーッと宴でも開こうよっ!」

「お前!何も役に立たなかったクセに、図々しいとは思わないぴょんかっ!?」

「なにおうっ!ペコランだって震えてただけじゃないかっ!」

「あたしはみんなにステイタスアップの魔法を掛けてたぴょん!!」

1人あっけらかんと報酬を受け取っているマリリンに「空気を読め!」と言わんばかりにペコランが吠えた。そこへ、エリエスが近付いてきた

「マリリンさんでしたよね。双頭龍(ヒュドラ)との戦闘中、サポートして頂いてありがとうございました!」

「えっ!?そうなの?」
「コイツも働いてたぴょんか?」

カナタンもペコランも、マリリンが何か役に立っていたとは想像外だったようだ

「彼女は魔眼の能力(チカラ)を使って双頭龍(ヒュドラ)に幻覚を魅せたりして、私をサポートしてくれてましたよ?……知らなかったのですか?」

どうやらマリリンは、間接的にエリエスの役に立っていた様だ

「そんな能力(スキル)持ってるなら、前もって仲間には教えておけぴょん!……ん!?待って!先週、私がマリリンに泣きついて添い寝してもらった事あったよね?私、あの日の記憶があやふやなんだけど…それって、もしかして…あんたの魔眼なのかぴょん!?」

「えっ!?あー…なんの事かなぁ?覚えてないなぁ(汗)」

「ぜってぇ、お前の魔眼じゃねーか!許さないぴょん!」

2人は漫才のような口喧嘩を始めていた

「まぁ、ボクもあまり役に立てなかっから、何も言えないね」

「カナタンだっけか?」

乾いた笑いをしているカナタンにヨシュアが話しかけた

「うん、ボクに何か?」

「お前さ、かなりの身体能力してたな。鍛えたら結構強くなれるハズだぜ!」

「えっ!?本当に?」

「チカラがあるんだから、バスターソード使いとかを目指してみたら良いんじゃねーか?」

どうやらヨシュアから見たら、カナタンには大剣戦士の素質があるようだ

「アタシもぉ…もっと役に立ちたいよォ…足引っ張ってごめんねぇ…」

アリスが申し訳なさそうにヨシュアに謝った

「全くだぜっ!アリスはとんでもない能力(スペック)してんのによ!状況判断は甘いし、周りに釣られて集中力無いし、そんなんじゃ妹たちに迷惑掛けっぱなしだろうがっ!」

「ご、ごめんなさぃ…」

ヨシュアは相手がブラックドラゴンとは言え、全力を出し切れなかった自分に腹が立っていたが…何よりも、それ以上に自分の能力を自分で殺していたアリスに対しては、かなりご立腹なようだ

「はいはい!相手が相手だったんだから怒鳴っても仕方ないでしょ。三姉妹達はヒイロの工房に帰るんでしょ?私(ワタクシ)、鎧がボロボロになっちゃったから、彼に直して欲しいのよね」

ミャンジャムが荒ぶるヨシュアをなだめに来た。ヒイロに鎧を直して欲しいようだ

「それなら僕も付いて行くよ。背後から貫かれて、身体の傷はミャンジャムに直してもらったけど…鎧に穴が空いてるからね」

ミャンジャム率いる聖騎士隊は、カルーア達とともにヒイロの工房に向かった。アドルは、まだ目が覚めないメリーズを背負って移動した



【アルバート工房】
「そんなにキツい遺跡だったのか?良く帰ってきてくれた。そーか、サーシャ達は治療院に泊まり込みか」

ヒイロも調査隊のメンツを知っていたので、大苦戦して生命からがら逃げることになるなんて、夢にも思わなかったようだ

「次に行く時には、しっかり対策を立てないと駄目だよね。今回はかなり運が良かったか…」

「また行く気なのか!?」

当たり前のように、次こそは地下1階層の攻略を目指すつもりで話しているカルーアに、ヒイロは驚きの顔を見せる

「えっ?だって次こそ攻略したいじゃないか…」

「馬鹿野郎!!」

ヒイロとカルーアは相思相愛だ。それ故に優しいヒイロは彼女にキツい言葉を吐いた事は無かった(キツい夜の責めは何度かあったがw)

「何さ?急に大きな声で…」

「あのなカルーア。お前は王都専属の魔道士でもなけりゃ、世界を救う使命を持った勇者でもないんだ。だから、お前が世界の命運を背負うような戦いをする必要なんて無いんだぞ!」

「でも!わたし抜きでは、もっと苦戦しちゃんじゃ…」

「カルーア。ヒイロの言う通りだぜ!それでなくてもお前は今までに、2体もの獣神討伐に参加して大活躍したろうが。いち冒険者の域を越えすぎてると思うぜ」

ヨシュアはヒイロの意見に同調していた


「すみませんヒイロ。また貴方に修理を依頼してしまいます」

「良いんですよ。俺は鍛冶師なんだから、それが仕事なんです」

「すまないねヒイロ君。僕のもお願いするよ」

ヒイロはミャンジャムとアドルの装備修理の依頼を請け負った。Sランク冒険者の2人の依頼を最優先させる事にしたヒイロ


その夜
ミャンジャム達には、増築された部屋に泊まってもらうことにした。ヒイロは自分の部屋でカルーアと寝る。それ以外は三姉妹の部屋で寝てもらった

「わたしの心配をしてくれたんだね?ありがとうヒイロ…ごめんね。気づけなくて…」
 

「当たり前だろ?あんま心配させないでくれよ。俺はお前と…お前たちと緩やかで幸せな日々を過ごしたいだけなんだからな」

「うん…そうだね。大好きだよヒイロ」

カルーアはヒイロと唇を重ねた
九死に一生を得た彼らは、今日はヒイロの工房で宿泊する事になった



続く
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