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化け物たちとの遭遇編
超人類の歴史
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【アルバート家キッチン】
この部屋と工房室がアルバート家で1番広い部屋なのだが、工房室は作業道具やら叩き台とかで、フリースペースが狭いので来客をもてなす時は、もっぱらキッチンで対応している
今日は泊まっていたアドル、ミャンジャム、メリーズに加えエリエスも呼んで説明する事になった
「お邪魔します。何か大切な話がある。ってアリスお姉様から聞いたのですけ……ど!?えっ?ええっー!カルーアさん。双子でしたの!?」
カルーアと、その横に居る彼女そっくりの【リキュール】を見て驚き、口をパクパクさせているエリエス
「驚いちゃったかな?……驚いたよね。彼女はわたしのデータを元に身体を生成した古代人が作りし生命体なんだってさ」
「よろしくお願いします。【リキュール】と言う名を付けていただきました」
カルーアとリキュールが挨拶をしたのだが、エリエスはおろか、ミャンジャム率いる聖騎士隊もまだ驚きが拭えないようだ
「カルーアという名前は、既に亡くなっている彼女の母がアルコール好きだったらしく、中でも好物の【カルーア・ミルク】からカルーアと名付けたそうだ
カルーアを複製して生まれた彼女だから、ミルクにしようか?とも悩んだんですが…ウチにはミルが居るから紛らわしくなるので【リキュール】にしたんですよ」
「ありがとうヒイロ」
リキュールの名前の由来を説明したヒイロ。それに感謝を述べたリキュール。しかし、エリエスや聖騎士隊が聞きたいのはもちろんソコではなかった
「えっと…どうしてリキュールちゃんはカルーアさんと似た姿をしていますの?」
「先ほどリキュールちゃんは、古代人の超人類研究とか言う目的で作られた生命だって言ってたよね?」
エリエスとアドルの質問に答えるカルーア
「古代遺跡の案内板(タブレット)を解読したエルデスさんが、まだ帰っていないから詳しくは分からないんだけど…」
「それでは、ワタシがお姉様に変わって説明させていただきますね
10数万年前、今とは違う文明を築いていた地球が、惑星単位での大き過ぎる天変地異に襲われた時に人類は新天地を目指し宇宙に出たのです
そして気が遠くなる程の年数を重ねて旅立った時のメンバーの子孫たちが、ようやくこの星に辿り着きました。ですが、地球に比べてこの星は生きていく上で厳しい環境だったらしく、大きな改善が必要不可欠になったようです
この星では彼らの主戦力である【化学】は未発達過ぎてほとんど武器として期待できない状態だったそうです
更には、この星には当たり前に存在する魔物はもちろん、ドラゴン等の高位生命体などは地球に存在していなかったようで、悩んだ末に彼らは自分達が進化する必要が有る!と、そして辿り着いた答えが…」
「超人類育成計画だった訳ね。んー、昨日行った古代遺跡がその実験場のひとつだった。って事かしら?」
リキュールの説明を聞いて、1番良く理解出来たのはミャンジャムのようだ
「はい、その通りです。ですが、ひとつの問題にぶつかりました。それは、地球人の姿をベースに進化を目指すのか?それとも現地人。つまりは、この星の高位な生命体に自分達の身体を作り変えて更なる高みを目指すのか?
この2つの意見で彼らは揉めたようです。やがて彼らは2つの組織に別れて別々の場所で研究を続けたようです。あくまで地球人である彼らの身体をベースにして超人類を目指すベース派
ワタシはその派閥と対立した、身体を作り変えて超人類を目指す進化派の施設に属していましたので、ベース派の超人類が完成している事を知り驚いています」
「ちょっと待って!」
話を遮ったのは聖騎士隊の新メンバーであるメリーズだ
「ベース派の超人類は既に完成して世に放たれている。という事なのですか?」
「はい。目の前に居る彼女こそが、ベース派の完成した超人類です」
そう言うとリキュールは、メリーズの横に立っているエリエスを指差した
「えぇっ!?彼女が完成した超人類なのっ?」
アドルを始め、エリエスの秘密を知らなかった者は更に驚いた
「実は私はヘパイトスおじい様とは血が繋がってない赤の他人だと、つい最近知りました」
「あくまでも人の形に重きを置いたベース派は、自分が目撃した人の優れた点をコピーし、データとして蓄積していって高位な存在を目指す方法を取ったようですね」
「なるほどな。やっと分かったぜ。15年しか生きていないエリエスがヘパイトスの宮廷鍛冶師と同等のスキルを持っていながら、この俺と互角に戦える戦闘技術をも持っている実力者である秘密はソコにあったんだな」
エリエスとリキュールの話を聞いたヨシュアは、今までエリエスに対して感じていた疑問の答えを知ることになった
「はい。お爺様の鍛冶作業を何度も見て覚え、お祖母様の戦闘技術を戦う事でコピーしました」
エリエスは少し悲しい表情を浮かべながら、自分の成長した経緯を説明した
「そして、ワタシとカルーアお姉様は接触した相手のデータを読み取り個体を作り上げ、更にその後の練度で成長していく【進化型超人類】というタイプです…以上が超人類の歴史になります」
リキュールは長い説明を終えると喉が乾いたのか?ミルが用意してくれた紅茶に手を伸ばした
「ぷはぁ。ふぅ…皆さん、御理解いただけましたでしょうか?」
「エリエスさんが超人類って聞いた時は驚いたんだけどさ…今朝リキュールから、わたしも超人類だったって聞かされて驚いているよ」
今朝、自分も超人類であると知ったカルーアは戸惑いの表情を浮かべている
「ああっ!ちょ、ちょっと良いかしら?私、もしかしたら…とんでもない事に気が付いちゃったんだけど……言っても良いのかしら?」
何かとんでもない事に気が付いたミャンジャムは、チラリとカルーアの顔を見た
「カルーアがどうしたって言うんだ?」
ヒイロは直感的に嫌な予感がした
「わたしは構わないから、遠慮なく言ってよ…」
カルーアも何かを感じているようだ
「そ、それじゃ言うわ....進化派の超人類は誰かのデータを読み取って身体を作って、その身体をベースに成長していく。って言ったわよね?それって、つまりカルーアちゃんも…」
「ああっ!?ま、まさか…わたしも誰かのデータを読み取ってこの身体を作った。って言うことなのかい?」
ミャンジャムの疑問から自らの大きな秘密に気が付いてしまったカルーアは、いっきに顔色が青ざめていった
「わたしの身体はエルフの誰かを真似(コピー)して作られたモノ。なのか?」
「ええ、そうですよ。お姉様は小さい頃はエルフの集落で育ったのですよね?恐らく、その中の誰かの身体をコピーしたハズですよ」
「…という事は、わたしは母さんの娘じゃなくて…母さんの娘をコピーした別の存在。って事になるだよね……」
別にリキュールはカルーアを驚かそう!とか言う訳ではなく、単純に素直に答えただけなのだが、カルーアにとってソレは衝撃的過ぎる事実であった
呆然と立ちつくすカルーア。そんな彼女に掛ける言葉は誰も見当たらなかった
続く
この部屋と工房室がアルバート家で1番広い部屋なのだが、工房室は作業道具やら叩き台とかで、フリースペースが狭いので来客をもてなす時は、もっぱらキッチンで対応している
今日は泊まっていたアドル、ミャンジャム、メリーズに加えエリエスも呼んで説明する事になった
「お邪魔します。何か大切な話がある。ってアリスお姉様から聞いたのですけ……ど!?えっ?ええっー!カルーアさん。双子でしたの!?」
カルーアと、その横に居る彼女そっくりの【リキュール】を見て驚き、口をパクパクさせているエリエス
「驚いちゃったかな?……驚いたよね。彼女はわたしのデータを元に身体を生成した古代人が作りし生命体なんだってさ」
「よろしくお願いします。【リキュール】と言う名を付けていただきました」
カルーアとリキュールが挨拶をしたのだが、エリエスはおろか、ミャンジャム率いる聖騎士隊もまだ驚きが拭えないようだ
「カルーアという名前は、既に亡くなっている彼女の母がアルコール好きだったらしく、中でも好物の【カルーア・ミルク】からカルーアと名付けたそうだ
カルーアを複製して生まれた彼女だから、ミルクにしようか?とも悩んだんですが…ウチにはミルが居るから紛らわしくなるので【リキュール】にしたんですよ」
「ありがとうヒイロ」
リキュールの名前の由来を説明したヒイロ。それに感謝を述べたリキュール。しかし、エリエスや聖騎士隊が聞きたいのはもちろんソコではなかった
「えっと…どうしてリキュールちゃんはカルーアさんと似た姿をしていますの?」
「先ほどリキュールちゃんは、古代人の超人類研究とか言う目的で作られた生命だって言ってたよね?」
エリエスとアドルの質問に答えるカルーア
「古代遺跡の案内板(タブレット)を解読したエルデスさんが、まだ帰っていないから詳しくは分からないんだけど…」
「それでは、ワタシがお姉様に変わって説明させていただきますね
10数万年前、今とは違う文明を築いていた地球が、惑星単位での大き過ぎる天変地異に襲われた時に人類は新天地を目指し宇宙に出たのです
そして気が遠くなる程の年数を重ねて旅立った時のメンバーの子孫たちが、ようやくこの星に辿り着きました。ですが、地球に比べてこの星は生きていく上で厳しい環境だったらしく、大きな改善が必要不可欠になったようです
この星では彼らの主戦力である【化学】は未発達過ぎてほとんど武器として期待できない状態だったそうです
更には、この星には当たり前に存在する魔物はもちろん、ドラゴン等の高位生命体などは地球に存在していなかったようで、悩んだ末に彼らは自分達が進化する必要が有る!と、そして辿り着いた答えが…」
「超人類育成計画だった訳ね。んー、昨日行った古代遺跡がその実験場のひとつだった。って事かしら?」
リキュールの説明を聞いて、1番良く理解出来たのはミャンジャムのようだ
「はい、その通りです。ですが、ひとつの問題にぶつかりました。それは、地球人の姿をベースに進化を目指すのか?それとも現地人。つまりは、この星の高位な生命体に自分達の身体を作り変えて更なる高みを目指すのか?
この2つの意見で彼らは揉めたようです。やがて彼らは2つの組織に別れて別々の場所で研究を続けたようです。あくまで地球人である彼らの身体をベースにして超人類を目指すベース派
ワタシはその派閥と対立した、身体を作り変えて超人類を目指す進化派の施設に属していましたので、ベース派の超人類が完成している事を知り驚いています」
「ちょっと待って!」
話を遮ったのは聖騎士隊の新メンバーであるメリーズだ
「ベース派の超人類は既に完成して世に放たれている。という事なのですか?」
「はい。目の前に居る彼女こそが、ベース派の完成した超人類です」
そう言うとリキュールは、メリーズの横に立っているエリエスを指差した
「えぇっ!?彼女が完成した超人類なのっ?」
アドルを始め、エリエスの秘密を知らなかった者は更に驚いた
「実は私はヘパイトスおじい様とは血が繋がってない赤の他人だと、つい最近知りました」
「あくまでも人の形に重きを置いたベース派は、自分が目撃した人の優れた点をコピーし、データとして蓄積していって高位な存在を目指す方法を取ったようですね」
「なるほどな。やっと分かったぜ。15年しか生きていないエリエスがヘパイトスの宮廷鍛冶師と同等のスキルを持っていながら、この俺と互角に戦える戦闘技術をも持っている実力者である秘密はソコにあったんだな」
エリエスとリキュールの話を聞いたヨシュアは、今までエリエスに対して感じていた疑問の答えを知ることになった
「はい。お爺様の鍛冶作業を何度も見て覚え、お祖母様の戦闘技術を戦う事でコピーしました」
エリエスは少し悲しい表情を浮かべながら、自分の成長した経緯を説明した
「そして、ワタシとカルーアお姉様は接触した相手のデータを読み取り個体を作り上げ、更にその後の練度で成長していく【進化型超人類】というタイプです…以上が超人類の歴史になります」
リキュールは長い説明を終えると喉が乾いたのか?ミルが用意してくれた紅茶に手を伸ばした
「ぷはぁ。ふぅ…皆さん、御理解いただけましたでしょうか?」
「エリエスさんが超人類って聞いた時は驚いたんだけどさ…今朝リキュールから、わたしも超人類だったって聞かされて驚いているよ」
今朝、自分も超人類であると知ったカルーアは戸惑いの表情を浮かべている
「ああっ!ちょ、ちょっと良いかしら?私、もしかしたら…とんでもない事に気が付いちゃったんだけど……言っても良いのかしら?」
何かとんでもない事に気が付いたミャンジャムは、チラリとカルーアの顔を見た
「カルーアがどうしたって言うんだ?」
ヒイロは直感的に嫌な予感がした
「わたしは構わないから、遠慮なく言ってよ…」
カルーアも何かを感じているようだ
「そ、それじゃ言うわ....進化派の超人類は誰かのデータを読み取って身体を作って、その身体をベースに成長していく。って言ったわよね?それって、つまりカルーアちゃんも…」
「ああっ!?ま、まさか…わたしも誰かのデータを読み取ってこの身体を作った。って言うことなのかい?」
ミャンジャムの疑問から自らの大きな秘密に気が付いてしまったカルーアは、いっきに顔色が青ざめていった
「わたしの身体はエルフの誰かを真似(コピー)して作られたモノ。なのか?」
「ええ、そうですよ。お姉様は小さい頃はエルフの集落で育ったのですよね?恐らく、その中の誰かの身体をコピーしたハズですよ」
「…という事は、わたしは母さんの娘じゃなくて…母さんの娘をコピーした別の存在。って事になるだよね……」
別にリキュールはカルーアを驚かそう!とか言う訳ではなく、単純に素直に答えただけなのだが、カルーアにとってソレは衝撃的過ぎる事実であった
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