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化け物たちとの遭遇編
女剣士の意地
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【エルドラ山脈中腹】
三姉妹とエリエスは鉱石は採れるが、レベルの高くない冒険者が迂闊に足を踏み入れられないほど、険しいことで有名なエルドラ山脈の中腹までやって来た
「ふいぃーようやく、ここまで来たねぇ…」
「ヒイロと鉱石採取に何度か訪れた場所だね。うん、懐かしいな…」
見覚えのある場所までやって来て、ひと息付くアリスとカルーアだが、サーシャがエリエスの異変に気付く
「ちょっと、どうしたんですの?エリエスさん」
「はぁ…はぁ…少し疲れました…」
エリエスが膝をついて四つん這いの姿勢で息を切らしている。とてもじゃないが、少し疲れた程度には見えない
「あっ!?こら、ロマーニャ!」
エリエスの静止を振り切るように、エクスカリバーから精霊剣ロマーニャが姿を現した
「皆さん聞いてください。エリエスは超人類として覚醒してから、能力を引き上げるコツを掴んだようです…先程もそれで魔物を圧倒していましたが、アリス様を気にしながらの戦いは、肉体的にも精神的にもかなりの疲労が溜まるようです。我が主をいたわってやってください。お願いします…」
そう言うとロマーニャは、エクスカリバーの中へ戻っていった。ロマーニャの話を聞いたアリスが、慌ててエリエスに歩み寄った
「どういう事なのぉ?どうしてぇ、そんなに無茶したのよぉ?」
「うっ、それは…貴女を…安全に…」
問い詰められたエリエスは、歯切れの悪い言葉を紡ぐ
(ははぁん!)
何かを察したカルーア
「エリエスさんが無茶して頑張ったのはねぇ、不調の姉さんを守る為とか、頼りになるところを魅せたかった…って感じじゃないのかい?」
「あっ…」
どうやらカルーアの予想は大当たりだったようだ。言葉に詰まるエリエス…すると、アリスは決意したような表情でエリエスの肩を掴んだ
「アタシ不調じゃないもん!頑張れるしぃ、弱くなんかないんだからぁ!」
ヨシュアだけでなく、エリエスにまで過保護にされていたことを知り、流石のアリスも頭にきたようだ
「アタシだってねぇ…」
「待って姉さん!何か近付いてくるよ!……この気配は…」
「グオオォォン!」
「ヴォィドルフですの!」
カルーアが察知した魔物の気配。それは、この辺りで目撃報告の多いヴォィドルフだった
「コイツらも影響を受けて、ひと回り以上強くなってるみたいだね」
アリスもカルーアも今まで何度も苦戦させられた魔物だ。今のカルーアならば軽くあしらえるハズなのだが…
獣神の影響を受けてか?身体は更に筋肉質になり、目付きは更に鋭さを増している。そのヴォイドルフが3体近付いて来る
「アリスお姉様…ここは…私が……あうっ!」
立ち上がろうとしたエリエスだが、疲労から来る目眩で足が上手く動かず立ち上がれないようだ
「バカにしないでぇ!アタシだってやれるんだからぁ!サーシャはエリエスちゃんを守ってぇ!カルーアはアタシの援護ねぇ!」
遂に本気になったアリスは、自ら先頭に立ち妹達に指示を送る。雑念が飛んだアリスは、エリエスやヨシュアには勝てそうにない。等の不安は消し飛び、本気の目になっていた
【アルバート家の庭】
「バギィン!…どさっ!」ヨシュアはかなり余裕の表情で、ソードを天にかざしている。その切っ先をコハラコに向け振り下ろした
「単調過ぎるって言ってんだろがっ!そんな真っ直ぐ真っ直ぐ責めて来たら、どんだけスピードとパワーがあっても大して役に立たないんだよっ!」
「ううう…悔しいの…」
散々攻撃をいなされ疲労困憊のコハラコは、もはや立ち上がるもシンドイ感じだ
「ちっ、2人とももう終わりかよ!根性が足んねぇぞ!」
「はぁ…はぁ…ま、まだやれます!」
【ホロワーズ】のカナタンが、今日ヒイロに売ってもらったばかりのミスリルソードを握り締め、息を切らせながらも立ち上がった
「ほぉ!可愛い顔してるくせに、意外と根性あるみてーだな」
「続きをお願いしますっ!」
チームの中で握力と体力が自慢のカナタンは、剣士として1人前になる事を目指して何度も立ち上がった
【工房内】
「ガイン!ガイィィン!」
工房内ではヒイロがアドルの防具の修理の為に、槌を振り下ろしていた
「おみずをお持ちしました。貴方は今、沢山の汗をかいています。的確な水分補給が必要だと、リキュールはお水を渡します」
「ありがとうリキュール。助かるよ!」
作業中の工房内はかなりの高温状態になっており、その中で高熱の炎を使っての作業は大量の汗をかく
「ふぅ…リキュールは、カルーア達に付いていかなくて良かったのか?工房に居ると退屈しないか?」
「私はまだ生まれたばかりなので、カルーア姉さん達に付いて行っても迷惑になります。私は進化型の超人類なので、見ただけでスキルを会得したり出来ませんが、貴方の一生懸命な姿は…なにやら、こう…胸を打たれるモノが有ります。楽しいですよ」
「そ、そうか?なら良いんだ」
ヒイロにはリキュールの言葉の意味は曖昧にしか理解出来なかったが、彼女が退屈してない事は理解した
彼女から差し出されたグラスを受け取り、その中の水を飲み干したヒイロは、しばらくの時間を休憩がてら彼女と雑談した
「…ふふ♪姉さんも意外と嫉妬深いのですね」
「だろ?…でも、ソコが可愛いんだよな♪」
カルーアをコピーして瓜二つの姿をしているリキュールに、そのカルーアの話をしてあげると彼女は嬉しそうにしていた
続く
三姉妹とエリエスは鉱石は採れるが、レベルの高くない冒険者が迂闊に足を踏み入れられないほど、険しいことで有名なエルドラ山脈の中腹までやって来た
「ふいぃーようやく、ここまで来たねぇ…」
「ヒイロと鉱石採取に何度か訪れた場所だね。うん、懐かしいな…」
見覚えのある場所までやって来て、ひと息付くアリスとカルーアだが、サーシャがエリエスの異変に気付く
「ちょっと、どうしたんですの?エリエスさん」
「はぁ…はぁ…少し疲れました…」
エリエスが膝をついて四つん這いの姿勢で息を切らしている。とてもじゃないが、少し疲れた程度には見えない
「あっ!?こら、ロマーニャ!」
エリエスの静止を振り切るように、エクスカリバーから精霊剣ロマーニャが姿を現した
「皆さん聞いてください。エリエスは超人類として覚醒してから、能力を引き上げるコツを掴んだようです…先程もそれで魔物を圧倒していましたが、アリス様を気にしながらの戦いは、肉体的にも精神的にもかなりの疲労が溜まるようです。我が主をいたわってやってください。お願いします…」
そう言うとロマーニャは、エクスカリバーの中へ戻っていった。ロマーニャの話を聞いたアリスが、慌ててエリエスに歩み寄った
「どういう事なのぉ?どうしてぇ、そんなに無茶したのよぉ?」
「うっ、それは…貴女を…安全に…」
問い詰められたエリエスは、歯切れの悪い言葉を紡ぐ
(ははぁん!)
何かを察したカルーア
「エリエスさんが無茶して頑張ったのはねぇ、不調の姉さんを守る為とか、頼りになるところを魅せたかった…って感じじゃないのかい?」
「あっ…」
どうやらカルーアの予想は大当たりだったようだ。言葉に詰まるエリエス…すると、アリスは決意したような表情でエリエスの肩を掴んだ
「アタシ不調じゃないもん!頑張れるしぃ、弱くなんかないんだからぁ!」
ヨシュアだけでなく、エリエスにまで過保護にされていたことを知り、流石のアリスも頭にきたようだ
「アタシだってねぇ…」
「待って姉さん!何か近付いてくるよ!……この気配は…」
「グオオォォン!」
「ヴォィドルフですの!」
カルーアが察知した魔物の気配。それは、この辺りで目撃報告の多いヴォィドルフだった
「コイツらも影響を受けて、ひと回り以上強くなってるみたいだね」
アリスもカルーアも今まで何度も苦戦させられた魔物だ。今のカルーアならば軽くあしらえるハズなのだが…
獣神の影響を受けてか?身体は更に筋肉質になり、目付きは更に鋭さを増している。そのヴォイドルフが3体近付いて来る
「アリスお姉様…ここは…私が……あうっ!」
立ち上がろうとしたエリエスだが、疲労から来る目眩で足が上手く動かず立ち上がれないようだ
「バカにしないでぇ!アタシだってやれるんだからぁ!サーシャはエリエスちゃんを守ってぇ!カルーアはアタシの援護ねぇ!」
遂に本気になったアリスは、自ら先頭に立ち妹達に指示を送る。雑念が飛んだアリスは、エリエスやヨシュアには勝てそうにない。等の不安は消し飛び、本気の目になっていた
【アルバート家の庭】
「バギィン!…どさっ!」ヨシュアはかなり余裕の表情で、ソードを天にかざしている。その切っ先をコハラコに向け振り下ろした
「単調過ぎるって言ってんだろがっ!そんな真っ直ぐ真っ直ぐ責めて来たら、どんだけスピードとパワーがあっても大して役に立たないんだよっ!」
「ううう…悔しいの…」
散々攻撃をいなされ疲労困憊のコハラコは、もはや立ち上がるもシンドイ感じだ
「ちっ、2人とももう終わりかよ!根性が足んねぇぞ!」
「はぁ…はぁ…ま、まだやれます!」
【ホロワーズ】のカナタンが、今日ヒイロに売ってもらったばかりのミスリルソードを握り締め、息を切らせながらも立ち上がった
「ほぉ!可愛い顔してるくせに、意外と根性あるみてーだな」
「続きをお願いしますっ!」
チームの中で握力と体力が自慢のカナタンは、剣士として1人前になる事を目指して何度も立ち上がった
【工房内】
「ガイン!ガイィィン!」
工房内ではヒイロがアドルの防具の修理の為に、槌を振り下ろしていた
「おみずをお持ちしました。貴方は今、沢山の汗をかいています。的確な水分補給が必要だと、リキュールはお水を渡します」
「ありがとうリキュール。助かるよ!」
作業中の工房内はかなりの高温状態になっており、その中で高熱の炎を使っての作業は大量の汗をかく
「ふぅ…リキュールは、カルーア達に付いていかなくて良かったのか?工房に居ると退屈しないか?」
「私はまだ生まれたばかりなので、カルーア姉さん達に付いて行っても迷惑になります。私は進化型の超人類なので、見ただけでスキルを会得したり出来ませんが、貴方の一生懸命な姿は…なにやら、こう…胸を打たれるモノが有ります。楽しいですよ」
「そ、そうか?なら良いんだ」
ヒイロにはリキュールの言葉の意味は曖昧にしか理解出来なかったが、彼女が退屈してない事は理解した
彼女から差し出されたグラスを受け取り、その中の水を飲み干したヒイロは、しばらくの時間を休憩がてら彼女と雑談した
「…ふふ♪姉さんも意外と嫉妬深いのですね」
「だろ?…でも、ソコが可愛いんだよな♪」
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