ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

興味を示すリキュール

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【エルドラ山脈中腹】
このエルドラ山脈は、かつて栄えたエルドラド王国のすぐ隣にそびえる山脈であり、武器防具に使われる多種多様な鉱石が採掘出来る為、この鉱石を使ってエルドラドは栄えたと伝えられている

エルドラド王国が滅びた今となっては、人の手が行き届かなくなり魔物達の住処となっていた
上に登るほど強い魔物が住み着いており、上へ行くほど手付かずで高価な鉱石がある。しかし、価値に比例して危険度も上がっていく!という訳だ
今回、三姉妹達はその頂上付近にのみ存在するというハイミスリルを探しに来たのだが…


「くうぅ……あっ!?きゃうぅっ!」

「アリスお姉様っ!」

3体の凶暴化されたヴォィドルフに囲まれたアリス。1体めからの攻撃はソードで防いだものの、2体目からのパンチを喰らい吹き飛ぶアリス。そして3体目がアリスに追撃をする

倒れたところに凶暴化したヴォィドルフの攻撃を喰らえば、致命傷になりかねない。エリエスは戦闘に加わるべく立ち上がろうとした。が…

「【光糸細工(シークェット)】!」

イシス王国に滞在していた時、同い年のチェイムから教わった魔法のロープで物を縛る魔術で、3体目のヴォィドルフの足を絡め取り空へ浮かせたカルーア

「いくら素早いキミでも、空中じゃあ避けられないよね(笑)【雷光柱(ジャムルエッヂ)】!!」
 

カルーアは浮かせたヴォィドルフに対し、笑みを浮かべたまま3発の雷撃を叩き込んだ!

「WOW~…バタッ!」

いつものヴォィドルフなら、1発でも致命傷になるが獣神の影響で強化されている事を考慮して、確実に倒す為に3発撃って倒していた

「十字斬っ!」

魔法でやられた仲間に一瞬気が取られたヴォィドルフの片方に、素早くオリジナル剣劇をぶち込んだアリス

最後になったヴォィドルフに殴り飛ばされ、岩肌に叩き付けられたアリスだが…激突の寸前に獣人(ヴォイド)化して身体を強化させ、致命傷になるのをふせいでいた

「くうぅ!」

突進してきて渾身のパンチを繰り出すヴォィドルフ。ソレをよく見て避けたアリス

「バギィ!」

破壊力が上がり過ぎたパンチは、岩肌にめり込んで抜けなくなってしまった

「wryyyyyyyyyy!【天破豪塵斬(テンハゴウジンザン)】!」

地球で沖田師範から伝授された新必殺技で最後のヴォィドルフも撃破したアリス

「ねっ!大丈夫だったでしょ( *¯ ꒳¯*)」

激しい息遣いではあったが、アリスは振り返りエリエスに渾身の笑みを魅せた

「あ、はい……ですが、カルーアちゃんの支援があったから良かったですが、ひとりだったら危なかったのでは…」

「あはは!それで良いんだよ。パーティって…うーん…わたし達三姉妹はさ、ひとりでは危ないんだよ。だから、お互い助け合って乗り切るのさ!」

あくまで個人技で対処する事しか考えない。いや、考えられないエリエスの意見を笑って蹴飛ばすカルーア

「そうだよねぇ!」
「もちろんですの!」

カルーアに負けないくらいにアリスとサーシャも笑顔を浮かべた。学習型超人類と言えるエリエスは、今回もまた新しい知識を得たようだ



【アルバート家】
「ガチャ」
「し、失礼…します…」

「ん!?あぁ、ミルどうかしたか?」

「サーシャさん達は…明日…帰って来る…予定でした…よね?今の内に…食材を買いに行こうと…思いまして…」

ミルが工房内に顔を見せると、防具の修理をしているヒイロと、その様子をジッと見つめるリキュールが居た

「そうか、すまないな。ひとりで行くのか?」

「は、はい…ボクも…それくらいは…ひとりで…出来…」

「買い物ですか~?それでしたら~私も荷物持ちで~付き添いますよ~暇してますので~」

ひとりで買い物に行く。と言いに来たミルだが、彼の背後辺りで話を聞いていたエルデスが、ミルに付き添ってくれると言うので、ヒイロは2人に食材などの買い物を頼んだ

2人が玄関を出た時
「おぅらぁ!2人がかりでその程度かよぉ!気張れやぁ!」

ヨシュアに対し2対1でも圧倒されているコハラコとカナタソが見えた

「うにゅー!」
「まだだぁっ!」

コハラコもカナタソも大きな声を張り上げながら、全身全霊でヨシュアと戦っていたので、声を掛けずに買い物に向かったミルとエルデスだった



【工房内】
ヒイロが滝のように汗をかきながら一心不乱に槌を振り下ろし続けている

「ソレって結構大変なんですね」

「あぁ、コレか?鉄系ならこんなに何度も叩かなくて良いんだけどな、レア素材はデリケートでな。チカラを抑えながらも、中に押し込む様な感じで何度も叩くんだ。そうすることで、軽いながらも高い耐久性が付くんだが……ははは。分からないよな(笑)
特に魔法付与が出来るクレリア鉱石は、弱過ぎず強過ぎずで何度も何度も打たないと駄目なんだ」

「へぇー、そうなんですね。うゅ!?
そうだ!何か甘い物をお待ちしましょう!疲れを抜く時に食べると最高っ!…ってカルーアのdata内に有りました」

そう言うとリキュールはキッチンに何かを取りに行った。固体化して日が浅いから、身体がまだ上手く動かせないのか?身体を左右に揺らしながら「ポテポテ」歩いていく。小動物のように可愛い姿を振りまいている


しばらくして戻って来たリキュールは、昨日アリスがギルドの帰りに寄り道して買っていたショートケーキをふたつ手に持っていた

「それは、アリスが買った…」

ヒイロは言いかけたが、生まれたばかりのリキュールに所有権などの話をしても伝わらないと思い、言葉を飲み込んだ

(明日、ギルドに顔を出した帰りにでも代わりのケーキを買っておけば良いか…生まれたばかりで、何にでも興味津々なのかな?)

アルバート家では平穏な時間が流れていた…
初めは義父と2人で住み始めたこの家も、紆余曲折を経て拡張工事もし、大人数になってかなり賑やかになっていることに気が付いたヒイロは、嬉しくて微笑んでいた。ソレを見たリキュールも、その理由は分からなかったが彼の笑顔を真似しようと頑張っていた



続く
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