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化け物たちとの遭遇編
有栖の報告
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【ベイ城正門】
有栖達と話し込むロック
「いやはや、頼もしく成長したわね」
有栖も認識阻害を張る20年前以来の彼の成長に喜んでいた。すると奥から物静かな女性が声を掛けてきた
「お兄ちゃん…ベイ様が待ってるから…お客さんをお風呂にお連れしないと…遅くなりますよ
皆さん初めまして。魔導師長をしております【アナンナ・サリュリュ】と言います。宜しくお願いします
あの…1時間後にベイ様が…謁見の間でお会いに…なります。それまでに身を清めておいてください」
「おっと!そうだった。そこの兄ちゃん、お前は俺が案内してやるよ」
優輝はロックに男湯に連れていかれる
有栖達はアナンナに女湯に連れていかれた
「ねぇ、お風呂って男女隣り合わせにあるもんじゃないの?」
「ミントス。城に務める男女比率は大きいんだ。遠くはないけど別の場所って事はよくある」
事情を知らないミントスの質問に、クラウン城に所属していたミクイが答えていた
【シャワー室】
ひとり男湯で身体を洗う優輝は…カットして、女湯では話が盛り上がっていた
「へー、アナンナさんも戦争孤児だったか…あんまり珍しくない話。ってのも嫌な時代だよな」
アナンナの生い立ちを聞いたミントスとミクイは、少し悲しい目をしていた
「いえ…私はロックお兄ちゃんに拾われただけ、幸運でした…」
「ミクイも似た境遇だから分かるよ。ミクイもあの時お師匠様に拾われてなかったら、どうなってたか…」
「それにしても…昨日アレクス様の城から、有栖様の転移で移動したにしては…随分と時間が掛かったのですね?」
「あぁ、死者の森に転移してソコから歩いてきたからね」
アナンナの質問に軽く返事した有栖だったが…アナンナの表情は一変した
「死者の森…ですか?わざわざあの様な場所に。ですか?」
「大丈夫。ミクイ達お化けとかには遭遇しなかった!」
怯えるアナンナに明るく返答したミクイだったが…
「それは…強力な魔法力を持つ【消去の魔女】有栖様が居たから、霊が怯えて隠れていただけでして…本来なら大量の魑魅魍魎に襲われる。恐ろしい場所なんですよ…」
「おい!なんて場所に連れてくんだよっ!」
「マジかよ…」
実はとんでもなく危ない場所だった事を聞かされ、身の毛がよだつミントスとミクイだった
【謁見の間】
長方形の大きな部屋の奥の豪華な椅子に座るベイ・ガウザー。ズバ抜けた強者が放つ覇王色に、有栖以外のメンツは震え上がっていた
「こほん。久しぶりだな有栖よ、元気そうでなによりだな…」
「まーねー。ベイも相変わらず小難しい顔してるわね。あんま悩み過ぎると胃に悪いわよ?」
「……誰のせいだっ!!」
ベイ・ガウザーからも嫌味な挨拶を言われた有栖だが、門番のロックであろうと城主のベイが相手だろうと、有栖の返事に温度差は無かった
「2つ質問がある…もちろん正直に答えてくれるよな、徳川有栖?」
「私が正直に答えなかった事なんて今まで無かったでしょ?何でも質問してくれて良いわよ!」
「はあぁ…これだよ…変わらんな貴様は…」
真剣な顔で話し掛けるベイに対して、あっけらかんと返事する有栖の態度にため息を漏らすベイ
「1つ目は…今回はいつまで城に居てくれる?お前に任せたい仕事が山脈の様に積もり積もっているのだが?」
ベイは眼光を更に鋭くさせて発言したが…有栖の表情に変化は無かった
「まぁまぁ、先に2つ目も言ってよ。たぶん答えは2つの質問に対する物になると思うんだ」
「よかろう…ならば2つ目だ......有栖!貴様っ!何故人間側の者たちを俺の城内に入れた?今度は何を企んでるんだっ!!」
ベイは咆哮した。徳川有栖に対して今まで積もりに積もった鬱憤(うっぷん)が一気に吐き出された感じだった
「えーっとね。それらの質問に答える前に、私から報告があるのよ。聞いてもらえる?」
「今回の認識阻害による放浪の事か?もちろん俺が興味を持てる面白い話なんだろうなぁっ!?」
有栖との対話に顔を真っ赤にして怒鳴り散らすベイの姿に、優輝やミントス、ミクイは
(うわぁ…こりゃ相当苦労させられてきたんだなぁ…)
と3人とも同じ事を考えていた
「彼の事は知ってたハズよね?」
「あぁ知っているぞ。イシス王国との戦争の時に、イシス側の援軍としてやって来た異世界勇者らしいな」
「は、はい!そうです!」
(あれ?ベイ・ガウザー、俺にも怒ってないか?俺は怒らせるような事はしてないよな?)
「全く貴様にはガッカリさせられたわ!」
「あの…何故でしょうか?」
優輝は怒り心頭のベイに、恐る恐る聞き返した
「そこの有栖も転移勇者だった事は知っているな?…今となっては世界最強の魔女と言われているがな」
「そ、そうですね…」
「今回も!有栖と同じ故郷から転移して来た者が勇者として敵側に参戦したと聞いて!俺が貴様と戦える日を、どれだけ心待ちにしていたと思っている!
それなのに何だ、貴様のあの弱さはっ!本当に有栖と同郷かっ!まるで話にならん!ゴミ屑かっ!?」
酷い言われようだが…地球から転移してきた者として、ドルイド王国の王女、次は消去の魔女。と続けば誰でも3人目もズバ抜けた者が来ると、予想するのはある意味当然だからだ
「はぁはぁ…で?有栖よ、このポンコツ勇者がどうしたと言うのだ?」
「私、10日ほど前に私たちの故郷で優輝と結婚したから宜しくね!」
「えぇっ!?」
「何だとっ?」
後ろで聞いていたアナンナとロックも、予想外過ぎる報告に思わず声を漏らしてしまう
「……ほう!そうかそうか結婚か..................................何いぃぃぃぃっ!?有栖が結婚しただとぉっ!?」
専属魔女として契約し、数年付き合って有栖の自由奔放な性格を吐き気がするほど知っているベイにすれば、その報告は絶対有り得ない報告のTOP3に入る内容だった
もちろん彼だけでなく、謁見の間の中にいる全ての兵士長たちも脱力してしまう程に驚いていた
続く
有栖達と話し込むロック
「いやはや、頼もしく成長したわね」
有栖も認識阻害を張る20年前以来の彼の成長に喜んでいた。すると奥から物静かな女性が声を掛けてきた
「お兄ちゃん…ベイ様が待ってるから…お客さんをお風呂にお連れしないと…遅くなりますよ
皆さん初めまして。魔導師長をしております【アナンナ・サリュリュ】と言います。宜しくお願いします
あの…1時間後にベイ様が…謁見の間でお会いに…なります。それまでに身を清めておいてください」
「おっと!そうだった。そこの兄ちゃん、お前は俺が案内してやるよ」
優輝はロックに男湯に連れていかれる
有栖達はアナンナに女湯に連れていかれた
「ねぇ、お風呂って男女隣り合わせにあるもんじゃないの?」
「ミントス。城に務める男女比率は大きいんだ。遠くはないけど別の場所って事はよくある」
事情を知らないミントスの質問に、クラウン城に所属していたミクイが答えていた
【シャワー室】
ひとり男湯で身体を洗う優輝は…カットして、女湯では話が盛り上がっていた
「へー、アナンナさんも戦争孤児だったか…あんまり珍しくない話。ってのも嫌な時代だよな」
アナンナの生い立ちを聞いたミントスとミクイは、少し悲しい目をしていた
「いえ…私はロックお兄ちゃんに拾われただけ、幸運でした…」
「ミクイも似た境遇だから分かるよ。ミクイもあの時お師匠様に拾われてなかったら、どうなってたか…」
「それにしても…昨日アレクス様の城から、有栖様の転移で移動したにしては…随分と時間が掛かったのですね?」
「あぁ、死者の森に転移してソコから歩いてきたからね」
アナンナの質問に軽く返事した有栖だったが…アナンナの表情は一変した
「死者の森…ですか?わざわざあの様な場所に。ですか?」
「大丈夫。ミクイ達お化けとかには遭遇しなかった!」
怯えるアナンナに明るく返答したミクイだったが…
「それは…強力な魔法力を持つ【消去の魔女】有栖様が居たから、霊が怯えて隠れていただけでして…本来なら大量の魑魅魍魎に襲われる。恐ろしい場所なんですよ…」
「おい!なんて場所に連れてくんだよっ!」
「マジかよ…」
実はとんでもなく危ない場所だった事を聞かされ、身の毛がよだつミントスとミクイだった
【謁見の間】
長方形の大きな部屋の奥の豪華な椅子に座るベイ・ガウザー。ズバ抜けた強者が放つ覇王色に、有栖以外のメンツは震え上がっていた
「こほん。久しぶりだな有栖よ、元気そうでなによりだな…」
「まーねー。ベイも相変わらず小難しい顔してるわね。あんま悩み過ぎると胃に悪いわよ?」
「……誰のせいだっ!!」
ベイ・ガウザーからも嫌味な挨拶を言われた有栖だが、門番のロックであろうと城主のベイが相手だろうと、有栖の返事に温度差は無かった
「2つ質問がある…もちろん正直に答えてくれるよな、徳川有栖?」
「私が正直に答えなかった事なんて今まで無かったでしょ?何でも質問してくれて良いわよ!」
「はあぁ…これだよ…変わらんな貴様は…」
真剣な顔で話し掛けるベイに対して、あっけらかんと返事する有栖の態度にため息を漏らすベイ
「1つ目は…今回はいつまで城に居てくれる?お前に任せたい仕事が山脈の様に積もり積もっているのだが?」
ベイは眼光を更に鋭くさせて発言したが…有栖の表情に変化は無かった
「まぁまぁ、先に2つ目も言ってよ。たぶん答えは2つの質問に対する物になると思うんだ」
「よかろう…ならば2つ目だ......有栖!貴様っ!何故人間側の者たちを俺の城内に入れた?今度は何を企んでるんだっ!!」
ベイは咆哮した。徳川有栖に対して今まで積もりに積もった鬱憤(うっぷん)が一気に吐き出された感じだった
「えーっとね。それらの質問に答える前に、私から報告があるのよ。聞いてもらえる?」
「今回の認識阻害による放浪の事か?もちろん俺が興味を持てる面白い話なんだろうなぁっ!?」
有栖との対話に顔を真っ赤にして怒鳴り散らすベイの姿に、優輝やミントス、ミクイは
(うわぁ…こりゃ相当苦労させられてきたんだなぁ…)
と3人とも同じ事を考えていた
「彼の事は知ってたハズよね?」
「あぁ知っているぞ。イシス王国との戦争の時に、イシス側の援軍としてやって来た異世界勇者らしいな」
「は、はい!そうです!」
(あれ?ベイ・ガウザー、俺にも怒ってないか?俺は怒らせるような事はしてないよな?)
「全く貴様にはガッカリさせられたわ!」
「あの…何故でしょうか?」
優輝は怒り心頭のベイに、恐る恐る聞き返した
「そこの有栖も転移勇者だった事は知っているな?…今となっては世界最強の魔女と言われているがな」
「そ、そうですね…」
「今回も!有栖と同じ故郷から転移して来た者が勇者として敵側に参戦したと聞いて!俺が貴様と戦える日を、どれだけ心待ちにしていたと思っている!
それなのに何だ、貴様のあの弱さはっ!本当に有栖と同郷かっ!まるで話にならん!ゴミ屑かっ!?」
酷い言われようだが…地球から転移してきた者として、ドルイド王国の王女、次は消去の魔女。と続けば誰でも3人目もズバ抜けた者が来ると、予想するのはある意味当然だからだ
「はぁはぁ…で?有栖よ、このポンコツ勇者がどうしたと言うのだ?」
「私、10日ほど前に私たちの故郷で優輝と結婚したから宜しくね!」
「えぇっ!?」
「何だとっ?」
後ろで聞いていたアナンナとロックも、予想外過ぎる報告に思わず声を漏らしてしまう
「……ほう!そうかそうか結婚か..................................何いぃぃぃぃっ!?有栖が結婚しただとぉっ!?」
専属魔女として契約し、数年付き合って有栖の自由奔放な性格を吐き気がするほど知っているベイにすれば、その報告は絶対有り得ない報告のTOP3に入る内容だった
もちろん彼だけでなく、謁見の間の中にいる全ての兵士長たちも脱力してしまう程に驚いていた
続く
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