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化け物たちとの遭遇編
魔女の口付け
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【アナンナの私室】
「誰だぁ!アナンナを殺ったのはぁ!!絶対に許さんぞぉ!!!」
広大な敷地を誇るベイの城の全フロアに響き渡る!かの如くのベイの巨大な叫び声が発せられた
……………………………………………
「う、嘘だろ!?アナンナさんが殺された?」
魔導師に呼ばれた有栖と優輝、ミントス、ミクイの4人。部屋の中央で暴れているベイを必死に抑えようと師団長クラス達が頑張っていた
「うおーっ!何故アナンナが殺されねばならんのだー!誰だ、殺ったのはぁ!」
「お、落ち着いてください!」
「ベイ様っ!この部屋が崩壊しますっ!」
「静まり下さいっ!」
暴れるベイを取り抑えようとする戦士達だが、もちろんベイのパワーにかなう者など居るはずもなく、突撃しては投げ飛ばされ、吹き飛ばされたりしていた。ソレを横目に有栖がアナンナの死体に近付いた
「ふぅん…ナイフで心臓を1突きか…暴れた様子も無い…警戒される間も無かった犯行か…手練の仕業のようね」
「どういう事だぁ、有栖。俺にも分かるように説明しろぉ!ふしゅーふひゅー!」
今まで暴れていたベイが、専属魔女である徳川有栖の声を聞き、荒ぶる覇気を叩き抑える様に押し殺して、有栖の元へと近付いた
結婚の約束をしたばかりのアナンナが殺害された怒りが抑えきれず、身体中から殺意の波動が漏れ続けていた
「アナンナの部屋のほぼ向かいに私の部屋がある訳じゃん?外部の者が私や、私たちの部屋から下への階段側に向かう両側で生活している魔導師の誰にも気付かれずにさ。彼女の部屋に到達して殺害する!って言うのは…まぁ不可能よね…こんな芸当は…うぐっ!?」
「貴様ぁ!何を淡々と戦果報告を読み上げる様に言っているっ!アナンナが殺されたのだぞっ!!分かっているのかぁ!!!」
殺意の波動を抑えきれない程イライラしているベイに対して、ただ文章を淡々と読み上げている。かのような有栖の言い方に腹が立ったベイは、有栖の首を片手で握り締めていた
「ベイさん!待ってください!有栖はアナンナさん殺害には関与していません!離してくださいっ!」
怒りに任せて有栖の首を締めて持ち上げているベイに、彼女と結婚した優輝が割って入ったのだが…
「ベイさん。だとぉ…俺はこの城の主(あるじ)だぞっ!ヒヨッコ勇者の貴様が訊く口かぁっ!!」
有栖はベイの専属魔女。その旦那と言うことは優輝にとってもベイは仕える主にあたる
なのに、こんな時でも「さん」呼びされた事も今の彼を激怒させた
「優輝!危ないっ!」
「あぎゃっ!」
ベイは右手で有栖の首を締めているので、空いてる左手で優輝を全力で殴り飛ばした
「バッゴーンっ!」
吹っ飛んだ優輝はアナンナの本棚に激突して、後頭部が割れて出血した
「優輝、大丈夫っ!」
優輝が殴られる直前にミントスが全力で張ったシールドがクッションになっていなかったら、今の一撃で優輝は頭部が砕かれて死んでいたかも知れない
それでも大怪我をしたのは間違いなく、ミントスは急いで優輝に魔法で治療を始めた
「舐めてるのかっ!貴様ぁ!俺を誰だと思って……ぬぐっ!?…う、動けん…」
「パシッ!」
有栖は無詠唱魔法でベイの動きを封じた。そして魔力を込めた手で首を絞めている彼の手を叩き、首絞めから逃れた
「ケホッ…けほ…だから、ベイの専属魔女になるのは嫌だ!って言ったのよ!怒りに我を忘れて行動するのは本当に治んないわね!」
「ぐぅ…結婚を約束したアナンナが殺されたのだぞ。冷静で居られるハズがなかろうがっ!」
有栖の拘束魔法を喰らいながらも、必死に声を出すベイ
「続きを言うわよ、良い?ちゃんと聞きなさいよ!結論を言うとアナンナを殺したのは、気配を消すのが極上に上手い奴よ」
「何故そう言い切れる?」
「魔法か何かで姿をカモフラージュして侵入して来た。としてよ?魔法に疎(うと)い戦士系は騙せてもさ、魔導師たちや…ましてや魔導師長のアナンナは欺(あざむ)けないでしょ?
いくら私が認識阻害(ハードゥーン)を掛けてたからって、そんな魔法使って私の部屋の向かいのアナンナの部屋に行くなら、私なら絶対に感知してたわ。だから、魔法じゃなくて技術や能力でカモフラージュ出来る奴にしか行えない犯行って訳!」
「はぁはぁ…そうか、なるほどな。…はあぁ…落ち着いた。済まなかった、もう大丈夫だ。魔法の拘束を解いてくれ」
有栖から論理的な説明を受けたベイは、ようやく落ち着いてきた。静かにアナンナの亡き骸に近付き声を掛けた
「済まなかったアナンナ。俺は魔族の将。そして、この城の主。そんなヤツと結婚すれば生命を狙われる可能性が有る事を、もっと警戒しなければならなかった。すまん!もし、俺たちが生まれ変わっても再会できたなら…今度こそはお前を幸せに…」
落ち着いたら自分の不甲斐なさを嘆(なげ)き、目に涙が溜まってきたベイだが…
「はいはい!良いから退(ど)いて!そろそろタイムリミットが来ちゃうわ!」
「何をする気だ有栖?完全に死んだ者を蘇らせれる魔法など聞いたことも無いぞ?」
「アナンナに生き返って欲しかったら、しばらく黙って見ていなさい!いいわね?」
そう言うと有栖はベイを押し退け、アナンナに膝まづいて両手のひらを彼女の腹部にあてた
「この星の女神エリスア様。我が名は徳川有栖。不幸にして寿命を迎える前に生命を散らしたこの者に、再び生命の息吹(いぶき)を与えたまへ……【女神祝福(エリクサー)】」
呪文を詠唱した有栖は、アナンナの上着を捲り心臓近くの肌を露出させ、ソコに優しく口付けをした
「これはっ!?」
「おお!傷口が塞がっていく?」
「まさか?死者蘇生の魔法が?」
有栖の口からアナンナの心臓めがけて、7色の魔法の光が入って行く。それと同時にナイフで開けられた。であろう彼女の腹部の穴も塞がっていった…その光景を驚きながら見守るベイや、城の兵士長たち
「かはっ!?…あっ、はぁはぁ…わ、私は…どうして?…ここは?」
「アナンナぁ!?」
アナンナの遺体を見守っていた、その場に居た全員が有栖が起こした奇跡を目撃した
死んでいたハズのアナンナが再び息を吹き返し、弱々しいが自ら動き話し始めたのだ
「ベイ!アナンナはまだ呼吸が整ってないんだから、抱き抱えるなら薄い氷を抱くくらい加減しなさい。生き返ったアナンナを自分の手で再び殺したくはないでしょ?」
「う、うむ。そうだな…すまん。興奮し過ぎていたようだ。アナンナ、良かった」
「ベイ様?」
言い伝えがあるだけで、その存在を疑われていた禁呪級の魔法で生き返ったアナンナ。果たして、これは誰による犯行だったのか?
続く
「誰だぁ!アナンナを殺ったのはぁ!!絶対に許さんぞぉ!!!」
広大な敷地を誇るベイの城の全フロアに響き渡る!かの如くのベイの巨大な叫び声が発せられた
……………………………………………
「う、嘘だろ!?アナンナさんが殺された?」
魔導師に呼ばれた有栖と優輝、ミントス、ミクイの4人。部屋の中央で暴れているベイを必死に抑えようと師団長クラス達が頑張っていた
「うおーっ!何故アナンナが殺されねばならんのだー!誰だ、殺ったのはぁ!」
「お、落ち着いてください!」
「ベイ様っ!この部屋が崩壊しますっ!」
「静まり下さいっ!」
暴れるベイを取り抑えようとする戦士達だが、もちろんベイのパワーにかなう者など居るはずもなく、突撃しては投げ飛ばされ、吹き飛ばされたりしていた。ソレを横目に有栖がアナンナの死体に近付いた
「ふぅん…ナイフで心臓を1突きか…暴れた様子も無い…警戒される間も無かった犯行か…手練の仕業のようね」
「どういう事だぁ、有栖。俺にも分かるように説明しろぉ!ふしゅーふひゅー!」
今まで暴れていたベイが、専属魔女である徳川有栖の声を聞き、荒ぶる覇気を叩き抑える様に押し殺して、有栖の元へと近付いた
結婚の約束をしたばかりのアナンナが殺害された怒りが抑えきれず、身体中から殺意の波動が漏れ続けていた
「アナンナの部屋のほぼ向かいに私の部屋がある訳じゃん?外部の者が私や、私たちの部屋から下への階段側に向かう両側で生活している魔導師の誰にも気付かれずにさ。彼女の部屋に到達して殺害する!って言うのは…まぁ不可能よね…こんな芸当は…うぐっ!?」
「貴様ぁ!何を淡々と戦果報告を読み上げる様に言っているっ!アナンナが殺されたのだぞっ!!分かっているのかぁ!!!」
殺意の波動を抑えきれない程イライラしているベイに対して、ただ文章を淡々と読み上げている。かのような有栖の言い方に腹が立ったベイは、有栖の首を片手で握り締めていた
「ベイさん!待ってください!有栖はアナンナさん殺害には関与していません!離してくださいっ!」
怒りに任せて有栖の首を締めて持ち上げているベイに、彼女と結婚した優輝が割って入ったのだが…
「ベイさん。だとぉ…俺はこの城の主(あるじ)だぞっ!ヒヨッコ勇者の貴様が訊く口かぁっ!!」
有栖はベイの専属魔女。その旦那と言うことは優輝にとってもベイは仕える主にあたる
なのに、こんな時でも「さん」呼びされた事も今の彼を激怒させた
「優輝!危ないっ!」
「あぎゃっ!」
ベイは右手で有栖の首を締めているので、空いてる左手で優輝を全力で殴り飛ばした
「バッゴーンっ!」
吹っ飛んだ優輝はアナンナの本棚に激突して、後頭部が割れて出血した
「優輝、大丈夫っ!」
優輝が殴られる直前にミントスが全力で張ったシールドがクッションになっていなかったら、今の一撃で優輝は頭部が砕かれて死んでいたかも知れない
それでも大怪我をしたのは間違いなく、ミントスは急いで優輝に魔法で治療を始めた
「舐めてるのかっ!貴様ぁ!俺を誰だと思って……ぬぐっ!?…う、動けん…」
「パシッ!」
有栖は無詠唱魔法でベイの動きを封じた。そして魔力を込めた手で首を絞めている彼の手を叩き、首絞めから逃れた
「ケホッ…けほ…だから、ベイの専属魔女になるのは嫌だ!って言ったのよ!怒りに我を忘れて行動するのは本当に治んないわね!」
「ぐぅ…結婚を約束したアナンナが殺されたのだぞ。冷静で居られるハズがなかろうがっ!」
有栖の拘束魔法を喰らいながらも、必死に声を出すベイ
「続きを言うわよ、良い?ちゃんと聞きなさいよ!結論を言うとアナンナを殺したのは、気配を消すのが極上に上手い奴よ」
「何故そう言い切れる?」
「魔法か何かで姿をカモフラージュして侵入して来た。としてよ?魔法に疎(うと)い戦士系は騙せてもさ、魔導師たちや…ましてや魔導師長のアナンナは欺(あざむ)けないでしょ?
いくら私が認識阻害(ハードゥーン)を掛けてたからって、そんな魔法使って私の部屋の向かいのアナンナの部屋に行くなら、私なら絶対に感知してたわ。だから、魔法じゃなくて技術や能力でカモフラージュ出来る奴にしか行えない犯行って訳!」
「はぁはぁ…そうか、なるほどな。…はあぁ…落ち着いた。済まなかった、もう大丈夫だ。魔法の拘束を解いてくれ」
有栖から論理的な説明を受けたベイは、ようやく落ち着いてきた。静かにアナンナの亡き骸に近付き声を掛けた
「済まなかったアナンナ。俺は魔族の将。そして、この城の主。そんなヤツと結婚すれば生命を狙われる可能性が有る事を、もっと警戒しなければならなかった。すまん!もし、俺たちが生まれ変わっても再会できたなら…今度こそはお前を幸せに…」
落ち着いたら自分の不甲斐なさを嘆(なげ)き、目に涙が溜まってきたベイだが…
「はいはい!良いから退(ど)いて!そろそろタイムリミットが来ちゃうわ!」
「何をする気だ有栖?完全に死んだ者を蘇らせれる魔法など聞いたことも無いぞ?」
「アナンナに生き返って欲しかったら、しばらく黙って見ていなさい!いいわね?」
そう言うと有栖はベイを押し退け、アナンナに膝まづいて両手のひらを彼女の腹部にあてた
「この星の女神エリスア様。我が名は徳川有栖。不幸にして寿命を迎える前に生命を散らしたこの者に、再び生命の息吹(いぶき)を与えたまへ……【女神祝福(エリクサー)】」
呪文を詠唱した有栖は、アナンナの上着を捲り心臓近くの肌を露出させ、ソコに優しく口付けをした
「これはっ!?」
「おお!傷口が塞がっていく?」
「まさか?死者蘇生の魔法が?」
有栖の口からアナンナの心臓めがけて、7色の魔法の光が入って行く。それと同時にナイフで開けられた。であろう彼女の腹部の穴も塞がっていった…その光景を驚きながら見守るベイや、城の兵士長たち
「かはっ!?…あっ、はぁはぁ…わ、私は…どうして?…ここは?」
「アナンナぁ!?」
アナンナの遺体を見守っていた、その場に居た全員が有栖が起こした奇跡を目撃した
死んでいたハズのアナンナが再び息を吹き返し、弱々しいが自ら動き話し始めたのだ
「ベイ!アナンナはまだ呼吸が整ってないんだから、抱き抱えるなら薄い氷を抱くくらい加減しなさい。生き返ったアナンナを自分の手で再び殺したくはないでしょ?」
「う、うむ。そうだな…すまん。興奮し過ぎていたようだ。アナンナ、良かった」
「ベイ様?」
言い伝えがあるだけで、その存在を疑われていた禁呪級の魔法で生き返ったアナンナ。果たして、これは誰による犯行だったのか?
続く
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