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化け物たちとの遭遇編
犯人を見つけたミクイ
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【アナンナの部屋】
「アナンナが殺されたのは…30~60分くらい前だと思うがミクイとやら貴様はその頃、誰と何をしていた?」
つい先ほど怒りに任せて有栖と優輝に蛮行を働いてしまった事をアナンナに強く咎(とがめ)められたベイは、今回は感情をグッと抑えてミクイに質問した
「なんか…訊問されてるみたいでメッチャ気分悪いんすけど。そーね、60分前くらいならミントスと支給された部屋に居たよ」
「そうですわ!俺がたまたま彼女たちの部屋の前を通りかかって、ベイ様たちの前祝いに、部下が切り盛りしてるBARで飲まないか?って誘いにお邪魔したんですわ」
アナンナの義兄のロックが口を挟んだ。彼の話によるとミクイは疲労のため遠慮して、ロックはミントスと2人でBARに行き、仲間たちにミントスの事を紹介しがてら、ベイたちの結婚を祝い軽く飲んでいたと言う
「貴様ら!アナンナが殺されていた時にのうのうと酒を飲んでいたと言うのか!?」
その報告を聞いたベイが、また頭に血が上り手を出しそうになったが…
「貴方様!今は話を聞きましょう!」
「そ、そうだな…でミクイ。何故、貴様は一緒に飲みに行かなかったんだ?」
「ミクイたちはさ、アレクスさんのお城から有栖さんの魔法で転移して【死者の森】からこの城を目指して歩いたんよね」
「そうだよね。まる1日近く歩いたから、俺も疲れたんだって…」
「あのね。軟弱な優輝はバテるかも知んないけど、彼女はマスタークラスのアサシンなんだよ。あれくらいでバテたりしないって」
優輝はミクイを庇おうと言葉に余計なひと言が混ざりガチになっているので、有栖がサポートを入れていた
「ミクイだけなら平気だったさ。消去の魔女の有栖さんや、ダークエルフのミントスなら心配要らないけどさ…何かあったら優輝は死んでもおかしくないじゃん?アイツの事に神経使いながら歩いてたから、かなり疲れたんだって!」
「なるほどね?でも、ソレは無用な心配よ。私が横に居るんだから優輝に何かあっても、私が何とでもするって。本当にソレだけの理由?」
「なにさソレ!アリもしない疑い掛けられてんのに正直に説明したらさ、揚げ足とられてまで疑われるんじゃやってらんないよ!もう!ミクイ少し出てるから!」
我慢が効かなくなったミクイは、アサシンマスターのスキルを使い完全に姿を消して、ひとり部屋から出ていってしまった
「待て、貴様。逃げる気かっ!?」
「まぁ待ってよベイ。今のやり取りで分かったからさ」
他の者たちは今のやり取りでは、ミクイが黒か白か?は分かり兼ねていたが、有栖はミクイの事を理解したようだ
「何が分かったのですか?有栖様」
「彼女がアナンナを殺った犯人じゃないって事が分かったのよ」
「おいおい、どうしてそんな事が言い切れる?」
有栖はみんなの前で「クルリ」と回り、右手の人差し指を自分の頬にあて、可愛さアピールをしてから説明を始めた
「今回のアナンナ殺害事件はさ…魔導師たちの部屋を通り、私の居た向かいの部屋で彼女に暴れられること無く殺害に成功した訳よね?」
「そういう事になるな……で?」
有栖の説明を聞いてはいるが、ベイは早く答えが知りたくて仕方ない。と言う感じが顔に出ていた
「今回の件は成功させるのに、ものすごーくハードルが高かった訳よ」
「そりゃそうだよ。それだけの危険を犯してまで殺る理由がミクイには無いだろう?」
「アッハッハッハッハッ!優輝にしては珍しく冴えてるね(笑)」
「優輝にしては。は余分だって!」
「そう!万が一バレたら、どう足掻いたところで死は避けられないんだよ。でも、ソレを乗り越えてでも殺らなぎゃならない理由が犯人には有る訳よ!」
「そうか!分かったぞ。有栖が少し意地悪な聞き方をしていたにもかかわらず、ミクイの話し方からは普通さ。しか感じられなかったな…とてもじゃないが、そんな大きい目的を持って殺害を成功させた奴の態度には程遠かったな。という事か…」
「そういう事よ。ミントス、さっきは意地悪な聞き方して悪かった。って私が謝ってたって言っといて」
「嫌だよ!そういう事は自分で言うべきじゃないかな?その方が伝わるでしょうよ」
「それもそうね。うん、そうする。彼女には悪い事をしたわ。城の全員が納得できる証明をする必要があったとは言え、少し意地悪し過ぎたわね」
「なぁ!ミクイの事はどうするんだよ!?怒って出ていったんだぞ」
「子供じゃないんだし、そのうち戻って来るでしょ?見かけたらみんなで「疑って悪かった」って謝りましょう。それよりも…」
「アナンナを殺った真犯人を探さねばならんな!」
「そういう事よ。ベイ、貴方は捜索はしないで私たちに任せてよ。代わりに腕の立つ者を20-30人程度集めておいて。捕まえる時に活躍してもらうわ」
「良いだろう。任せておけ」
【中庭の外れ】
「全く…なぁんでミクイが犯人として疑われなくちゃならないんさ。やってられないっての…優輝に付いてきた流れで魔族側に付いちゃったけど…失敗しちゃったかな?」
城の者たちが居ないあたりまでやって来たミクイは、沈黙していた口を開きボヤきながら歩いていた頃
前方の茂みの中から数人の気配を感じ、アサシンスキルを全開にして気取られない様に近付いた
……………………………………………
「おい、上手く行ったのか?」
「えぇ。イシス王国の騎士が使うナイフを現場に置いておいたから、あのベイ・ガウザーって奴の気性の荒さなら、イシスに戦争を吹っ掛けかねないわ」
(ははーん。コイツらがアナンナさんを殺した犯人たちか…なるほどね。そんな企みがあった訳ね…それにしてもコイツらの容姿。なかなか見ない感じね……まさか、最近噂の地底世界の魔界の住人?)
ミクイは彼らに気付かれないように注意を払い、足はやに優輝の元へと戻って行った
続く
「アナンナが殺されたのは…30~60分くらい前だと思うがミクイとやら貴様はその頃、誰と何をしていた?」
つい先ほど怒りに任せて有栖と優輝に蛮行を働いてしまった事をアナンナに強く咎(とがめ)められたベイは、今回は感情をグッと抑えてミクイに質問した
「なんか…訊問されてるみたいでメッチャ気分悪いんすけど。そーね、60分前くらいならミントスと支給された部屋に居たよ」
「そうですわ!俺がたまたま彼女たちの部屋の前を通りかかって、ベイ様たちの前祝いに、部下が切り盛りしてるBARで飲まないか?って誘いにお邪魔したんですわ」
アナンナの義兄のロックが口を挟んだ。彼の話によるとミクイは疲労のため遠慮して、ロックはミントスと2人でBARに行き、仲間たちにミントスの事を紹介しがてら、ベイたちの結婚を祝い軽く飲んでいたと言う
「貴様ら!アナンナが殺されていた時にのうのうと酒を飲んでいたと言うのか!?」
その報告を聞いたベイが、また頭に血が上り手を出しそうになったが…
「貴方様!今は話を聞きましょう!」
「そ、そうだな…でミクイ。何故、貴様は一緒に飲みに行かなかったんだ?」
「ミクイたちはさ、アレクスさんのお城から有栖さんの魔法で転移して【死者の森】からこの城を目指して歩いたんよね」
「そうだよね。まる1日近く歩いたから、俺も疲れたんだって…」
「あのね。軟弱な優輝はバテるかも知んないけど、彼女はマスタークラスのアサシンなんだよ。あれくらいでバテたりしないって」
優輝はミクイを庇おうと言葉に余計なひと言が混ざりガチになっているので、有栖がサポートを入れていた
「ミクイだけなら平気だったさ。消去の魔女の有栖さんや、ダークエルフのミントスなら心配要らないけどさ…何かあったら優輝は死んでもおかしくないじゃん?アイツの事に神経使いながら歩いてたから、かなり疲れたんだって!」
「なるほどね?でも、ソレは無用な心配よ。私が横に居るんだから優輝に何かあっても、私が何とでもするって。本当にソレだけの理由?」
「なにさソレ!アリもしない疑い掛けられてんのに正直に説明したらさ、揚げ足とられてまで疑われるんじゃやってらんないよ!もう!ミクイ少し出てるから!」
我慢が効かなくなったミクイは、アサシンマスターのスキルを使い完全に姿を消して、ひとり部屋から出ていってしまった
「待て、貴様。逃げる気かっ!?」
「まぁ待ってよベイ。今のやり取りで分かったからさ」
他の者たちは今のやり取りでは、ミクイが黒か白か?は分かり兼ねていたが、有栖はミクイの事を理解したようだ
「何が分かったのですか?有栖様」
「彼女がアナンナを殺った犯人じゃないって事が分かったのよ」
「おいおい、どうしてそんな事が言い切れる?」
有栖はみんなの前で「クルリ」と回り、右手の人差し指を自分の頬にあて、可愛さアピールをしてから説明を始めた
「今回のアナンナ殺害事件はさ…魔導師たちの部屋を通り、私の居た向かいの部屋で彼女に暴れられること無く殺害に成功した訳よね?」
「そういう事になるな……で?」
有栖の説明を聞いてはいるが、ベイは早く答えが知りたくて仕方ない。と言う感じが顔に出ていた
「今回の件は成功させるのに、ものすごーくハードルが高かった訳よ」
「そりゃそうだよ。それだけの危険を犯してまで殺る理由がミクイには無いだろう?」
「アッハッハッハッハッ!優輝にしては珍しく冴えてるね(笑)」
「優輝にしては。は余分だって!」
「そう!万が一バレたら、どう足掻いたところで死は避けられないんだよ。でも、ソレを乗り越えてでも殺らなぎゃならない理由が犯人には有る訳よ!」
「そうか!分かったぞ。有栖が少し意地悪な聞き方をしていたにもかかわらず、ミクイの話し方からは普通さ。しか感じられなかったな…とてもじゃないが、そんな大きい目的を持って殺害を成功させた奴の態度には程遠かったな。という事か…」
「そういう事よ。ミントス、さっきは意地悪な聞き方して悪かった。って私が謝ってたって言っといて」
「嫌だよ!そういう事は自分で言うべきじゃないかな?その方が伝わるでしょうよ」
「それもそうね。うん、そうする。彼女には悪い事をしたわ。城の全員が納得できる証明をする必要があったとは言え、少し意地悪し過ぎたわね」
「なぁ!ミクイの事はどうするんだよ!?怒って出ていったんだぞ」
「子供じゃないんだし、そのうち戻って来るでしょ?見かけたらみんなで「疑って悪かった」って謝りましょう。それよりも…」
「アナンナを殺った真犯人を探さねばならんな!」
「そういう事よ。ベイ、貴方は捜索はしないで私たちに任せてよ。代わりに腕の立つ者を20-30人程度集めておいて。捕まえる時に活躍してもらうわ」
「良いだろう。任せておけ」
【中庭の外れ】
「全く…なぁんでミクイが犯人として疑われなくちゃならないんさ。やってられないっての…優輝に付いてきた流れで魔族側に付いちゃったけど…失敗しちゃったかな?」
城の者たちが居ないあたりまでやって来たミクイは、沈黙していた口を開きボヤきながら歩いていた頃
前方の茂みの中から数人の気配を感じ、アサシンスキルを全開にして気取られない様に近付いた
……………………………………………
「おい、上手く行ったのか?」
「えぇ。イシス王国の騎士が使うナイフを現場に置いておいたから、あのベイ・ガウザーって奴の気性の荒さなら、イシスに戦争を吹っ掛けかねないわ」
(ははーん。コイツらがアナンナさんを殺した犯人たちか…なるほどね。そんな企みがあった訳ね…それにしてもコイツらの容姿。なかなか見ない感じね……まさか、最近噂の地底世界の魔界の住人?)
ミクイは彼らに気付かれないように注意を払い、足はやに優輝の元へと戻って行った
続く
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