ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

モテる男達と気に病む女達

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【ベイ城の廊下】
「はぁ…結婚式での優輝ってば…嬉しそうな顔してたなぁ…ついでに消去の魔女さんも…はぁ…私の可能性はもう無いのだろうか?」

ひとり廊下を歩いているダークエルフのミントス。彼女も優輝が差し伸べてくれた手に、未来の希望を見出した女性なのだが…
生まれと生い立ちの不遇さに世の中を恨み、悪事を働き生きてきた彼女は素直になれず優輝との仲を進められずにいる内に、徳川 有栖に優輝を持って行かれてしまった

そんな事を考えていたら…廊下の向こう側に、その徳川有栖を発見した

「やっぱり甘い判断だったかな……でも、ここは地球じゃない。一夫一婦制なんて貴族でも平民でも、それに捕らわれて生きてる人は少ないんだよなぁ…それでも地球での考えがデフォルトの私には、優輝が他の女を抱いているのは我慢したくないなぁ。はぁ…」
 

アサシンマスターのミクイの有能さと想いを尊重して、1晩旦那を貸し出してしまった事を悩んでいる有栖が向こうから歩いてきた

「有栖さんじゃない、どうかしたの?」

普段、自信満々の笑みを絶やさない彼女が元気なさそうな顔で歩いてくる姿に違和感を感じたミントスは、有栖に声を掛けた

「あー……ミントスだっけ?…えっと、魔力調整でね、朝まで1人で寝ることにしたのよ。そういう訳なの、じゃあね…」

「そうなんだ、お疲れ様です……
(んっ!?今、朝まで1人って言った?……なら、久しぶりに優輝とゆっくりするチャンス!)
どこよ?何処に居るのー」

優輝が有栖と朝まで合わない。その情報を得たミントスは彼の姿を求めて城内を駆けずり回った



【露天風呂】
「はぁ…はぁ……えへへへ。優輝、良かったぞ!ポンコツ勇者のクセに、こういう事には強かったんだな!あはは(笑)」

「よく言うぜ!「優輝っ、あぁん!イイ!もっと、もっと強く感じさせてよ~」って良い声で鳴いてたのは誰だったっけ(笑)」

「ちょ、ちょっと!そんな恥ずかしい事わざわざ言う?デリカシー足りないんじゃね?」

いつもミクイに一方的にからかわれるばかりで、マトモに言い返せなかった優輝だが、今回ばかりは笑いながら言い返していた

「でもさ、良いのかな?」

「んっ?何がさ?」

いつものように笑いあって話していた優輝が、急に真面目な顔で話し出したのでミクイも落ち着いて質問した

「俺、有栖と結婚したばかりだろ?なのにさ、その日の内にミクイと合体しちゃったろ?浮気にも程があるんじゃねーかなって…」

「なぁに、一夫一婦制ってヤツ?…今どき、そんなの流行らないよ?…世の中を見てみなよ。みんな生きるだけで必死な世の中じゃん?1人が1人を!なんて言ってたら世の中まわらないよ?……もしかして地球って星では、それが普通だったとか?それとも、ミクイに手を出しちゃった事を後悔してるとか?」
 

「まさか!ミクイはその…凄く良い女だと思うよ。有栖とはかなりタイプ違うけど…凄く可愛かった。正直、嬉しいよ。俺なんかを好きになってくれて…そうだよ……ミクイの言う通りだな。一夫一婦制とか、そんな事言ってられない世の中だよなぁ…」

この星の常識や日常は、地球と似て非なるものだと頭では分かっていたつもりだが、自分がまだまだ地球的思考で考えていた事を思い知った優輝

「ま、そんな堅苦しい事は置いといてさ…もう1ラウンド楽しませてよ、ね?本妻はあの【消去の魔女】さんなんだからさ、こんな機会はそうそう無いだろし…ね?」
 
「そうか…そうだな!俺は変わるっ!って決めたんだ。この世の中で、ベイ城に優輝アリ!って示す為に俺は良い男になってやる!もちろんミクイにも後悔されない男にな!」

「たっぷりミクイを感じさせて、優輝の虜にしてみなよ!ミクイさんは、そんな容易(たやす)くは堕ちないけどね!」

「言ったなぁ!足腰立たないようにしてやるぞ。覚悟しろよぉ!」

「良いよー、やってみろよぉ!あはは(笑)」

じゃれ合う2人。この時ミクイは優輝に悟られないように涙を流していた。それは、アサシンマスターと認められた時に捨てた【普通の幸せ】を、今噛み締めている。そんな気がしたからだった



【アルバート工房】
「だーかーら!リキュールはヒイロにベタベタし過ぎだって言ってるじゃないかっ!」

「うひゃっ!?カルーアどうしたのかなぁ?」

「なんだか荒れてますね…」

不安を抱いていた通り、散々身体を触りまくられたアリスが、触ってきたエリエスと共に長い時間になった入浴から出てきた時の事だった

「お姉さん、そんなに怒ることないじゃないですか?私も少しくらい良いでしょ?」

「嫌だよ!わたしはヒイロだけを愛してるんだ。だからヒイロにも、わたしだけを愛して欲しいんだよ!」

中庭に出て2人きりで話し合ったのだが、室内に戻るやいなやリキュールの猛アピールを受け、タジタジになっているヒイロの姿に耐えきれなくなったカルーアがキレていた

「一夫一婦制ですか?そんなの流行らないと思いますよ?」

偶然ベイ城でもたった今、語られていたセリフがここアルバート工房でも出ていた

「確かにリキュールさんの言う通り、その制度は地方貴族の一部でしか聞いた事ないですの」

「ないですの!」

「もうコハラコ!そんなセリフは真似しなくて良いからね!」

サーシャの口癖を真似るのが楽しいコハラコは、もちろんサーシャの言った意味など知らないまま真似をしていた。たぶん、そうなんだろうと思いつつもツッコミを入れてしまうカルーア

「確かにな、そんなのは庶民の間でもあんま馴染まなかったらしいよな?」

「ですけど~カルーアちゃんの気持ちは分かりますよ~大変な目に遭って~なんとか帰宅した直後くらいは~自分だけを見て欲しいですよね~」

ヨシュアはリキュールの意見を推したが、エルデスはカルーアの気持ちを汲んでいた

「確かに馴染まなかった制度だよな…」

「ちょっと!ヒイロまでそんな事言わないでよっ!」

ヒイロにまで否定されるような事を言われ、今にもカンシャクを起こしそうなカルーア

「まぁ聞いてくれ。この人数だからさ難しいよな?けどさ近場になるが、たまには2人で1泊しに出掛けたいよな?…それならどうだ?」

「本当かい?嘘じゃないよね?…行こう、行こうよヒイロ!なるだけ近い日にさ!」
 

ヒイロからのお泊まり提案に、目をキラキラ輝かせ喜ぶカルーア。その姿を見たヨシュアが、恋人のアリスが羨ましそうにカルーア達を見ている顔と見比べて、思いついたばかりの提案を口にした

「なぁヒイロさん。ハイミスリル、少し足りなさそうだ。って言ってたよな?」

「あぁ、鎧とソードを両方直そうとする明らかに足りないんだが…それが?」

「アリス、エルデス。明日から俺たちでもう1度エルドラ山脈に行かねーか?」

カルーアとリキュールのヒイロに対する関係性で揉めていた中に出した提案。何か秘策を思い付いたヨシュアのこの行動は、どんな意味を持っているのだろうか?



続く
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