ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

因縁の地

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 【ダイダ山岳地帯】
スズカの街とマリニウム国の中間に拡がるダイダ山岳地帯。その中央にある森林地帯
ホロミナティの3人が、その森林地帯の中でも認識阻害(ハードゥーン)に隠された古代遺跡を調査している頃、そのすぐ近くを移動する自称【北の勇者隊】のプディングとラデュード

古代遺跡を隠している認識阻害(ハードゥーン)は、同じその魔法の中でも遥かに高度な術式で隠されている為、見破るには魔法や隠し身に関して高いレベルに居ないと難しいようだ
【北の勇者隊】は古代遺跡はおろか、認識阻害(ハードゥーン)にすら気が付かずに通り過ぎて行く

「取り敢えず…街に入ったらご飯が食べたいわぁ…クエストするにも、まず食べないとねぇ…」

「そうだよなぁ…空腹過ぎて目が回りそうだぜ。金はあっても食い物買えなきゃ意味ねーよな…」

スズカの街に入っていく2人。その後を付けているランドルフとレキシントン

「ねぇランドルフ。彼らを襲って持ち物を奪うんじゃなかったの?」

「まぁ待て、俺の考えを聞いてくれ。あの2人も金はあっても生活用品や食料品は、ほとんど持ってない感じじゃねーか?ならよ。アイツら街でしこたま買い集めるんじゃねーか?俺らは金とか奪っても、あんまし意味ねーだろ?」

「そうね。私はまだ見た目が人に近いけど、狼魔人(ランドルフ)は街に入ったら騒ぎになるわね。必要な物をアイツらに買わせてから、襲った方が効率良いって訳ね」

「ま、そういう事だな」

何やら企んでいるホロミナティの首領
活躍の場を求める北の勇者隊
その2人を付け狙う魔獣族の2人



【アレクス城】
「うわー!可愛いお洋服!ねぇ、フュールお姉様。似合ってると思いませんか?似合ってますよね♪」
 

アレクス城の大広間で可愛いらしい服に身を包み、鏡の前で自分の姿に見とれているエーデ

「エーデお嬢様、素敵ですよ」

彼女に長年仕えるリッチーも、主君の艶やかな姿に感極まっているようだ

「ありがとうね。エーデも凄く喜んでいるわ!あの子の可愛い姿が見れて私も嬉しいわ
……ところでさ良かったの?有栖達は新婚旅行(ハネムーン)に行く途中じゃなかったの?」

ベイ城から遠く北東に位置するここ【アレクス城】にも、【消去の魔女】徳川有栖が遂に結婚した!という報告は聞こえて来ていた

「まーね。でもさ、彼をベイの城で少し長い年数を掛けて育てるつもりなんだ……その、今までみたいに、あまり会いに来れなくなるかも知れないな
と思ったら挨拶しておきたくなっちゃって……で、手ぶらでお邪魔するのもどうかと思ってスズカの街で買い物してたらさ、可愛い服を見付けたのよ!コレはエーデちゃんに似合うよな!って思ってさ!喜んでもらえたみたいで良かったわ」
 

「有栖様。エーデに素敵な洋服のお土産を頂きまして、本当にありがとうございます!もう、エーデ嬉しくって、嬉しくって!」

有栖からもらった服をかなり気に入ったエーデは、室内をクルクルと回るように喜んでいる

「エーデ。もの凄く見栄えが良いんだから、城内の者たちに魅せてきてあげなさいな。頑張って働いている男性たちの目の保養になってあげなさい」

「エーデがですか?…でも、エーデみたいなお子様じゃ…喜んでもらえないかも?……」

尊敬する師匠のフュールから言われても自信の持てないエーデ。まだ幼い見た目で、前回の武闘会でカルーアに負けている事などが、彼女に自信を持てなくしているようだ

「エーデってさ。私の若い頃に良く似てるんだよね!」

「えっ!?」

突然、世界最強の魔女である徳川有栖から「自分の若い頃に似ている」と言われて思考が止まるエーデ

「背が低いとことかさ、自分に自信が持てなかったとことかも凄く似てるのよね。ナニかキッカケがあって、そこから【バビューン!】って1度飛躍できたら…後は突き進んだ分だけ、人の上に立っていたわ(笑)」

「有栖様……エーデにも、その可能性があると言ってくださるのですか?」

「あはは、ナニ言ってんの!有るに決まっているじゃない!女は人に見られながらも自分に自信が持てるようになって、ソコからが本当の意味でのスタートラインなのよ!自信を持って良い女になりなさいな!」

「はい、有栖様。有難うございます!今から見せびらかしてきます♫」

エーデは仕えるリッチーを連れて、洋服を見せびらかす為に部屋の外へ出て行った

「喜んでもらえて良かったな、有栖」

「そうね。でメイビー様の分も買ってきたのよ!なんと選んだのは優輝なんです。服のセンスが悪くても勘弁してあげてくださいね(笑)」

「まぁ有栖。メイビー様の分まで買ってきてくれたのね、本当にありがとうね」

「ふふん!もちろんだけど…フュールの分も買ってあるわよ。それと!ローナの分もね」

次期魔王であるメイビーのお世話係であるローナの分の服まで、ちゃんと買ってきていた有栖

「私やローナの分まで用意してくれたなんて…もしかして、トンデモナイお願いとか有ったりするわけ?」

「あはは。残念だけど今のところは…頼みたい事は何も無いわよ♪」


「俺の分まであったりするのか?」

この城の主であるアレクスが、あまりにも有栖がみんなの分の服を買ってきていたので、ついつい自分の分も有るのでは?と期待して質問してきた

「アレクス様の服は買ってきては無いのですが……このペンダントをお受け取りください」

「何だコレは?手作りの様だが……有栖が作ったのか?………ほう!加護のペンダントか!それは有り難いな。感謝するぞ!」

城主のアレクスの分までソツ無く手土産を渡す有栖に、何やら疑問を感じるフュール

「で、有栖。頼みごとは無いにしても、何か話があるのでしょう?……もしかしてエーデに関係ある事なの?」
 
「おろ?流石フュールね。鋭いなんてもんじゃないんだけど…良く分かったわね?」

「そりゃーね。気分で行動することが多い有栖が、こんなに大勢にまで気を利かせてくれるだなんて…何もない訳ないじゃない?」

「あはは。バレてたか…確か、あの子が昔、滅亡させられた領土って……オヅベルド公爵家に騙し討ちされたんだったよね?…さっきスズカの街で良からぬ噂を耳にしてさ…」

「まさか?奴ら、また何か企んでいるのかしら?」

ホロミナティ、北の勇者隊、魔獣族、オヅベルド公爵。それぞれの思惑が【マリニウム】の地で交差しようとしている
そこは…かつてエーデが不死になる前に住んでいた地方でもあり、両親と使用人たちを皆殺しにされた場所でもあった



続く
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