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憎奪戦争編
半幽半霊体ディー・アモン伯爵
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【マリニウム城の西の山の手前の森】
「この様な非常時に紛れ、多くの民の生命を貪(むさぼ)ったその罪、王都クラウンの聖騎士ミャンジャム・イレイユが許しませんっ!」
静かに怒るミャンジャムは、古代兵器【ベイオネット】を構えた。そんな彼女に向き直り、両手を斜め上にあげるディー・アモン
「吾輩は高潔にして真祖なる吸血鬼(ヴァンパイア)【ディー・アモン】!!…貴女だって生きる為に牛や豚などを食べるのでしょぉう!?…ならば!吸血鬼である吾輩が生き血を啜(すす)って何が悪いと言うのですかねぇ?意見があるのでしたらぁ…その武力(チカラ)で語ってみなさぁい!クハハハハっ!」
「やるぞっ、ミャン!」
「行くわよ、ベイオ!…はあぁ…壱閃!」
……………………………………………
「そんなっ!?斬った感覚がありませんわ…まるで素振りをしたかのような?」
ランスモードのベイオネットで、ディー・アモンの身体を刺し貫いたミャンジャム。だったが…
「ふぅーアハハハハっ!久しぶりの戦闘になりましたがぁ……やはりっ!ナマクラでの攻撃など、この偉大なる吾輩の身体に傷ひとつ付ける事など出来ない様でぇすね~うおっほっほっほっ(笑)」
「馬鹿なっ!?僕のクレリアソードよりも上のランクの武器なのにか!?」
ベイオネットの攻撃でさえ、ディー・アモン伯爵にはノーダメージだった。攻撃したミャンジャムはおろか、見守っていたアドルも驚愕している
「どういう事なの?まるで無の空間に攻撃したかの様な、手応えの無さでしたわ??」
「クハハハハっ!悠久とも言える刻(とき)を生き抜いてきた、この吾輩の極秘の肉体の秘密をっ!貴方達のような少年少女などには、一生理解出来るハズが、ぬわぃのでぇすっ!!」
妖(あやかし)にでも化かされたの?という驚きの表情を浮かべているミャンジャムに対し、高笑いで余裕を魅せているディー・アモン。すると、アリスを守るように彼女の横に立っていたヨシュアが一歩前へ出た
「元魔王(ザッド)の腹心にして【半幽半霊体(アストラバディ)】を持つ、最強のアンデッド軍団を率いる吸血鬼(ヴァンパイア)だろう?」
「半幽半霊体(アストラバディ)だって?コイツがかい?」
ヨシュアの言葉に驚く三姉妹とディー・アモン
「そこな少年よ!ぬわぜに吾輩の極秘の肉体の秘密を知っているのですかぁ?その辺を是非ともご教授して頂きたいものですねぇ!」
「アリス。お前達は俺に留守番させてエルドラ山脈に向かった時、その頂上で不死の肉体を追求する魔道士と戦って大苦戦したと言ってただろう?」
「うん、エリエスちゃんも居たのにぃ…すっごい苦戦させられたんだぁ!」
アリスもあの時の戦いを思い出していた
「恐らくだが…その魔道士が追い求めていた、オリジナルにして完全な半幽半霊体(アストラバディ)の持ち主が、このディー・アモン伯爵だ。お前はその強さと忠誠心を買われ、元魔王である俺の父親(ザッド)の左腕として仕えていただろうが!」
ヨシュアは自分が元魔王(ザッド)の息子であると明かした。その話に打ち震えているディー・アモン
「今宵はぬわんと素晴らしい夜なのでぇすか!我が主ザッド様のご子息とお会い出来るとはっ!このディー・アモン感激に震えておりますぞっ!高ぶりますねぇ♪闇の波動が打ち震えているのを感じますよォ♬」
ディー・アモンは20年前、ザッドからアンデッド軍団を託され、侵攻してくるマリニウム王国の軍勢を撃破していた
その戦いには勝利したものの仕えるべき主(あるじ)が敵の主力を巻き込み自爆して、その生命を散らしたと聞かされ失意の底に叩き落とされた事があったのだ。それ以来、彼は歴史舞台の表側から姿を消していたのだが…
「あの人…もの凄く感情表現が忙しい方みたいですの…なんと言うか、まるで子供みたいですのw」
「その通りなんだサーシャ。元魔王(オヤジ)がアイツを左腕として信頼していたのはその強さだけでなく、子供のように素直な感情表現を気に入ったからだ。と聞いているぜ」
その言葉を聞いたディー・アモンは、俯(うつむ)いて震えていたその顔を天に向けて咆哮した!
「ふおぉぉぉっ!その極秘情報を知っているとはぁ!!まさしく貴方様は、吾輩の主(あるじ)ザッド・クルス様のご子息に間違いありまんねぇぇ!このディー・アモン感激ですぞぉ!記念すべき今日の日を祝いたくて、仕方がありませんねぇぇぇ♬」
「あははw何だか面白いオジサンだねぇ…凄まじい強さは感じるけど、話している限りは愉快なオジサンにしか見えないねw」
半幽半霊体のオリジナル吸血鬼と聞いて、警戒して恐れていたカルーア達だが彼の素直な反応に、緊張が少し緩み笑顔まで零れていたが…
「そんな事は私(ワタクシ)には何にも関係ない事ですっ!人民を虐殺した大罪、絶対に許されるモノではありませんっ!!」
今は敵対関係にないミャンジャムとヨシュアだが、いかにディー・アモンがヨシュアの父親のかつての家臣とは言え、人民を虐殺した者を聖騎士である彼女が許せるハズは無いのだ!
「とっ、ととと…そうでしたなぁ…いかに貴方様がザッド様のご子息であったとしても…どうしてもお伺いしなければならない事がありますなぁ…
ヨシュア様。貴方は魔族の再興を望んでおられるのですかぁ?それとも…むぅわさか、魔族を裏切り人間どもの味方になろうなどと、お考えではありますまいよなぁ?」
「そうだよな…魔族の闇の軍勢を率いるお前なら、当然そこは気になるよな…」
そうなのである。いかにヨシュアが忠誠を捧げた元魔王(ザッド)の息子であったとしても、魔族に仇なす者をディー・アモン伯爵が見過ごせるハズはないのだ
獣人族のアリスと付き合っている事で、ヨシュアは魔族と人間側の中間地点に佇んでいた。そのヨシュアは今、どちら側に身を置くつもりなのか?その決断の時を迫られていた
続く
「この様な非常時に紛れ、多くの民の生命を貪(むさぼ)ったその罪、王都クラウンの聖騎士ミャンジャム・イレイユが許しませんっ!」
静かに怒るミャンジャムは、古代兵器【ベイオネット】を構えた。そんな彼女に向き直り、両手を斜め上にあげるディー・アモン
「吾輩は高潔にして真祖なる吸血鬼(ヴァンパイア)【ディー・アモン】!!…貴女だって生きる為に牛や豚などを食べるのでしょぉう!?…ならば!吸血鬼である吾輩が生き血を啜(すす)って何が悪いと言うのですかねぇ?意見があるのでしたらぁ…その武力(チカラ)で語ってみなさぁい!クハハハハっ!」
「やるぞっ、ミャン!」
「行くわよ、ベイオ!…はあぁ…壱閃!」
……………………………………………
「そんなっ!?斬った感覚がありませんわ…まるで素振りをしたかのような?」
ランスモードのベイオネットで、ディー・アモンの身体を刺し貫いたミャンジャム。だったが…
「ふぅーアハハハハっ!久しぶりの戦闘になりましたがぁ……やはりっ!ナマクラでの攻撃など、この偉大なる吾輩の身体に傷ひとつ付ける事など出来ない様でぇすね~うおっほっほっほっ(笑)」
「馬鹿なっ!?僕のクレリアソードよりも上のランクの武器なのにか!?」
ベイオネットの攻撃でさえ、ディー・アモン伯爵にはノーダメージだった。攻撃したミャンジャムはおろか、見守っていたアドルも驚愕している
「どういう事なの?まるで無の空間に攻撃したかの様な、手応えの無さでしたわ??」
「クハハハハっ!悠久とも言える刻(とき)を生き抜いてきた、この吾輩の極秘の肉体の秘密をっ!貴方達のような少年少女などには、一生理解出来るハズが、ぬわぃのでぇすっ!!」
妖(あやかし)にでも化かされたの?という驚きの表情を浮かべているミャンジャムに対し、高笑いで余裕を魅せているディー・アモン。すると、アリスを守るように彼女の横に立っていたヨシュアが一歩前へ出た
「元魔王(ザッド)の腹心にして【半幽半霊体(アストラバディ)】を持つ、最強のアンデッド軍団を率いる吸血鬼(ヴァンパイア)だろう?」
「半幽半霊体(アストラバディ)だって?コイツがかい?」
ヨシュアの言葉に驚く三姉妹とディー・アモン
「そこな少年よ!ぬわぜに吾輩の極秘の肉体の秘密を知っているのですかぁ?その辺を是非ともご教授して頂きたいものですねぇ!」
「アリス。お前達は俺に留守番させてエルドラ山脈に向かった時、その頂上で不死の肉体を追求する魔道士と戦って大苦戦したと言ってただろう?」
「うん、エリエスちゃんも居たのにぃ…すっごい苦戦させられたんだぁ!」
アリスもあの時の戦いを思い出していた
「恐らくだが…その魔道士が追い求めていた、オリジナルにして完全な半幽半霊体(アストラバディ)の持ち主が、このディー・アモン伯爵だ。お前はその強さと忠誠心を買われ、元魔王である俺の父親(ザッド)の左腕として仕えていただろうが!」
ヨシュアは自分が元魔王(ザッド)の息子であると明かした。その話に打ち震えているディー・アモン
「今宵はぬわんと素晴らしい夜なのでぇすか!我が主ザッド様のご子息とお会い出来るとはっ!このディー・アモン感激に震えておりますぞっ!高ぶりますねぇ♪闇の波動が打ち震えているのを感じますよォ♬」
ディー・アモンは20年前、ザッドからアンデッド軍団を託され、侵攻してくるマリニウム王国の軍勢を撃破していた
その戦いには勝利したものの仕えるべき主(あるじ)が敵の主力を巻き込み自爆して、その生命を散らしたと聞かされ失意の底に叩き落とされた事があったのだ。それ以来、彼は歴史舞台の表側から姿を消していたのだが…
「あの人…もの凄く感情表現が忙しい方みたいですの…なんと言うか、まるで子供みたいですのw」
「その通りなんだサーシャ。元魔王(オヤジ)がアイツを左腕として信頼していたのはその強さだけでなく、子供のように素直な感情表現を気に入ったからだ。と聞いているぜ」
その言葉を聞いたディー・アモンは、俯(うつむ)いて震えていたその顔を天に向けて咆哮した!
「ふおぉぉぉっ!その極秘情報を知っているとはぁ!!まさしく貴方様は、吾輩の主(あるじ)ザッド・クルス様のご子息に間違いありまんねぇぇ!このディー・アモン感激ですぞぉ!記念すべき今日の日を祝いたくて、仕方がありませんねぇぇぇ♬」
「あははw何だか面白いオジサンだねぇ…凄まじい強さは感じるけど、話している限りは愉快なオジサンにしか見えないねw」
半幽半霊体のオリジナル吸血鬼と聞いて、警戒して恐れていたカルーア達だが彼の素直な反応に、緊張が少し緩み笑顔まで零れていたが…
「そんな事は私(ワタクシ)には何にも関係ない事ですっ!人民を虐殺した大罪、絶対に許されるモノではありませんっ!!」
今は敵対関係にないミャンジャムとヨシュアだが、いかにディー・アモンがヨシュアの父親のかつての家臣とは言え、人民を虐殺した者を聖騎士である彼女が許せるハズは無いのだ!
「とっ、ととと…そうでしたなぁ…いかに貴方様がザッド様のご子息であったとしても…どうしてもお伺いしなければならない事がありますなぁ…
ヨシュア様。貴方は魔族の再興を望んでおられるのですかぁ?それとも…むぅわさか、魔族を裏切り人間どもの味方になろうなどと、お考えではありますまいよなぁ?」
「そうだよな…魔族の闇の軍勢を率いるお前なら、当然そこは気になるよな…」
そうなのである。いかにヨシュアが忠誠を捧げた元魔王(ザッド)の息子であったとしても、魔族に仇なす者をディー・アモン伯爵が見過ごせるハズはないのだ
獣人族のアリスと付き合っている事で、ヨシュアは魔族と人間側の中間地点に佇んでいた。そのヨシュアは今、どちら側に身を置くつもりなのか?その決断の時を迫られていた
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