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【都内某病院】
「僕…例え反対されたとしても、例え1人ででも僕は産んで育てます!」
「ポーン、ポーン…」
病室の壁に掛けられた時計が、午後1時を報せている。メルルの報告と意思を聞いたオリビアは、予想外過ぎる話の内容に言葉を失っていた
「……そうだ!社長は今回のこと、知っているの?」
「はい…先輩が仮眠してた時に電話しました。17時頃に来てくれると…」
「あ、そうか…今日はどうしても外せない用事があるって、年末頃から言ってたわね…」
オリビアは悩んでいた。この先メルルはどうなってしまうのか?自分は彼女に対してナニをしてあげれば良いのか?…もちろん、初めて直面している後輩ライバーが妊娠してしまった。という事態に動揺しているので、スグに答えは浮かばなかった
「…先輩…すみません…僕、もう少し寝ても良いですか?」
メルルの声に振り返ると、彼女は起きていられる限界に達しているのが分かった
「気が付かなくてごめんなさい。社長が来るまで居るから、気にせずに眠ってね」
オリビアの言葉を最後まで聞いていたのか?メルルはスグに眠りに落ちた
「……はぁ。新年早々なんて事なの…」
オリビアはメルルが寝ているベッドに近寄り、静かな寝息をたてている彼女の顔を見た。そして、その視線を彼女の腹部に移動させた
(あのお腹の中に生命が宿っているの?…普段ハッキリ物を言えないメルルが、あそこまで強い意志を示していたのだから出産は確定よね?)
オリビアは考えていた
(3年間活動していた配信者がイキナリ「妊娠したからママになります」と言ったらどうなるか?…おそらく大炎上して人気は急降下…いえ、コンプリにも大きな影響が出るのは避けられないかも?…でも…)
メルルの配信スタイルは、少し危なかしいハタチ過ぎの女がひたむきに頑張っているので庇護欲を駆られてしまう感じだ
事実、彼女のチャンネル登録者は30歳以上の男性が80%を超えている。年の離れた兄か?娘の頑張りを見守る父親のような目線で、彼女を支持している者が多い
(ライバーの妊娠が発覚したら事務所が炎上するのは避けられないだろうけど…あのメルルが「絶対に育てます」と言っているのだから、同じ女性配信者としては応援したいわね)
会社の今後を思うのならば、世間に知られる前に堕ろすのが正解なのだろうが、同じ女性としては応援してあげたいオリビア
「………きゅうぅぅ。あ、今日はまだ何も食べてなかったわね。確か1階の待合室の隣に売店があったハズ…何か買ってくるわね」
お腹の虫が空腹を報せてきたので、オリビアは財布を持ち1階の売店に行ってくる。と寝ているメルルに呟いて部屋を出た
【売店】
「はいよ、いらっしゃい」
時刻は14時になる数分前だった
オリビアが12畳くらいの店内に入ると、年配の女性が室内の清掃を慣れた手付きで行っている
ショーウィンドウの中に並べられた決して多くない商品をひと通り見渡したオリビアは、その女性に話し掛ける
「水と烏龍茶とダージリンを1つずつと、オニギリとサンドイッチを3つずつお願いするわ。あと袋もお願いね」
「あいよ。………以上10点で2605円になります…電子決済ですか?…はい、有難うございました!」
スマホの電子決済で、自分の分とメルル、(夜前には来るらしい)社長の3人分を購入した。昼時を過ぎた頃だったので、ショーウィンドウの中には選べれるほどの商品は残っていなかった
「あ!?あんた215号室のハタチ過ぎの女性の連れの方かい?」
「そうですけど…何か?」
「上手く説明出来ないんだけどね…午前中に来た中学生か?小学6年くらいの女の子がね…215号室の見舞いに来た女性が来たら、この手紙を渡して欲しい。と頼まれててね」
「え!?入院しているあの子宛じゃなくて、見舞いに来た私にですか?」
「そうなんだよ。私もよく分からないけど、引き受けてしまってさ…とにかく渡したからね」
変わった話だった。こういう場合、入院した本人に対して渡したい物を持ってくる者は居るだろう。しかし、そういうのはフロントに預けるのがセオリーだろうし、ましてや見舞いに来た者に渡すとは不思議な話だ
「有難うございます…」
オリビアは売店の女性からタバコの箱くらいの手紙としては、やや小さめなソレを手渡された。もちろん厚みはタバコの箱より遥かに薄かった
(何かしら?…落とさないように財布に入れておこうっと…)
【215号室】
「ガチャ…あ、社長。いらしてたんですね」
「ちょうど今、着いたばかりでね。それよりも聞いたよ…予想外な事だな。キミ個人的には、どうするべきだと思うね?」
オリビアが売店で買い物を済ませて、メルルが寝ている個室に戻って来ると…既に社長が居た
「……正直、分かりませんけど、視聴者への説明の仕方が肝心かな?と思います」
正直、オリビアには産むのか?堕ろすのか?どちらが正解なのかは、ハッキリとは分からない。ただ、産んでも配信者を続けるのであれば、視聴者への説明の仕方が大きなターニングポイントになるだろうと予想していた
「…そうだな…説明は慎重にしなければならないな…明日には退院して良いと言われたし、取り敢えず配信は明後日まで休みなさい。Twitterで「今日と明日は疲労で休みます」と伝えておきなさい」
「はい、そうします。社長、すみませんけど携帯を取ってもらえますか?」
「ほら…あまり詳しくは、まだ書かないようにしなさい。そうだオリビアは帰りなさい。私は今夜から関西に出張しなければならないので、明日の彼女の退院に付き添って欲しい…朝の9時頃で良いだろう」
「そうですね。今夜の配信を済ませたらスグに寝て、明日の朝には迎えに来るわね」
「有難うございます、オリビア先輩…」
「良いのよ。じゃあね……」
オリビアは笑顔で、メルルと社長に挨拶を済ませると駐車場へと向かった
【立体駐車場】
「ガチャ…ストん」
オリビアはマイカーのアクア(トヨタ)に乗り込んだ。彼女はコンパクトカーの中でも燃費性能に優れ、乗り心地も柔らかく快適なこの車を去年の夏に購入していた
安全性に重きを置く彼女がこの車を選んだのは、昼夜の歩行者や昼間の自転車にも対応している高性能な自動ブレーキを備え、上位グレードではボタン一つで駐車をサポートしてくれる「アドバンストパーク」も搭載できるからだった
「キュルルるん…ブロン!ふぅ…まさかメルルが妊娠してたなんて…メルルに何をしてあげたら良いの?」
マイカーに乗り込んだオリビアは、この先どうするべきなのか悩んでいる
「そうだ!あの手紙は…」
車を走らせる前に、財布の中に入れていた手紙を開いて見た
「この手紙を見ているのがオリビアさんである事を祈ります。さて、私は昨日、メルルさんが盗まれた財布を取り返した者なのですが…オリビアさん。メルルさんの事で悩んでいますよね?もし良ければ今夜23時に次の場所に訪れてください。キットお役に立てると思います」
「……はぁ!?これは一体どういう事なの?……確か…メルルが浅宮(アミ)と火影(すもら)と浅草に居た時に、10歳くらいの子に財布を取り返してもらった。って言ってたけど…あ!」
……………………………………………
「上手く説明出来ないんだけどね…午前中に来た中学生か?小学6年くらいの女の子がね…」
「…いえ、入院している人ではなくて、その人を見舞いに来た20代半ばの外国人のお姉さんに渡してください」
伊賀忍軍頭領の服部の妹の茜が、何故か今日もメルルが運び込まれた病院に現れ、オリビア宛ての手紙を売店の女性に託していたのだ
「…って売店の人から聞いたけど……あ!?そう言えば火影が言っていた、浅草でメルルの財布を取り返してくれた女の子と…この手紙の女の子って、もしかしたら同一人物じゃないかしら?」
自分の後輩であるメルルが妊娠した!という驚きの出来事に、偶然絡んできた見知らぬ10歳くらいの女の子。おそらく彼女が何か知っている気がしてならないオリビア
(だけど…中学生に入ったばかりくらいの女の子が、メルルの妊娠にどう役に立てるって言うのかしら?…さっぱり分からないわ)
「神奈川県横浜市鶴見区大黒ふ頭〇〇〇番地か…マンションから車で1時間くらいかしら?今夜の配信を終えてからでも間に合うわね…」
中学生に入ったくらいらしい見知らぬ女の子に、今回の大問題の解決の糸口を期待するのは、普通に考えたら有り得ない話だと分かっているオリビア
「ふぅ…1度帰ってシャワーを浴びて配信して、その後でもう1度考えましょうか…」
取り敢えず考えをまとめたオリビアは、マイカーのアクアを発進させた
【215号室】
「ふむ。帰ったようだ…しかし、避妊薬を飲んでもらっていたのに…出来てしまったか…」
「社長。約束ですよ…ゴムは使わなくても良いから、妊娠したら産ませてください。って言ってましたよね?」
病院の2階のメルルが居る病室から僅かにカーテンを開けて、オリビアが帰っていくのを見守った社長
「もちろんだとも。産んでもらって構わないよ、約束していたからね…」
「あ、有難うございます♪」
どうやらメルルを孕ませたのは…彼女や亜沙美たちが所属する事務所【コンサート・プリンセス】の社長のようだ
彼から出産の許可が降りないかも?と心配していたメルルは、あっさりと認めてもらえたので安堵したようだ
「コンコン…失礼します」
メルルはオリビアの手配で、都内の病院のお高い個室に入院している。ナースが定期検診に訪れたようだ
「御気分はどうですか?…18時に面会時間が終わりますので、それまでに連れの方はお帰りお願いします。その頃にまた、お邪魔しますので…ガラガラガラ」
ナースはメルルを気遣い笑顔で丁寧に説明をしてから、静かに部屋を出て行った
「ありがとうございます。社長も年明けは忙しいと思いますので、後は僕1人で大丈夫ですから…」
「ふふ。そうかね…私を気遣ってくれるのかね?…ならば、そうだな。もうすぐキミを抱くのは難しくなるだろうから、相手をしてもらえるかな?(笑)」
「えっ!?今からですか?…ここは病院ですよ?…それに、僕のお腹には赤ちゃんが…冗談ですよね?」
メルルは驚愕した!お腹の子の父親である社長がよりにもよって、個室とはいえ病院内で身篭っている自分を抱くと言うのだ
しかも、彼女の了解を聞く言い方だが、社長はメルルが着ている病院服の隙間から、彼女の下着の上下を慣れた手付きで脱がせてしまった
「ふっふっふ、だからこそだよ。私は1度、妊娠中の女性を抱きたい願望があってね。ソレをキミで果たせるなんて、興奮を止められないよ♪」
「本気…なんですか?」
メルルは社長に恐怖していた。この前も、火影と亜沙美を泊めている日の夜中にやって来たかと思ったら、トイレの中で自分を抱き、男の欲望を胎内に吐き出して帰ったのだ。そして、今日は病院で抱きたいと言ってきた
ここまで常識を無視して身体を重ねようとしてくる社長に、自分に求められているのは愛情などではなく、若い女の身体が目的だったのではいのか?と、大きな不安が込み上げてきた
果たしてメルルの今後は、どうなってしまうのか?過剰にやる気を出してエッチぃ過ぎる姿で配信している亜沙美は?
続く
最終回まで後4話(予定)
「僕…例え反対されたとしても、例え1人ででも僕は産んで育てます!」
「ポーン、ポーン…」
病室の壁に掛けられた時計が、午後1時を報せている。メルルの報告と意思を聞いたオリビアは、予想外過ぎる話の内容に言葉を失っていた
「……そうだ!社長は今回のこと、知っているの?」
「はい…先輩が仮眠してた時に電話しました。17時頃に来てくれると…」
「あ、そうか…今日はどうしても外せない用事があるって、年末頃から言ってたわね…」
オリビアは悩んでいた。この先メルルはどうなってしまうのか?自分は彼女に対してナニをしてあげれば良いのか?…もちろん、初めて直面している後輩ライバーが妊娠してしまった。という事態に動揺しているので、スグに答えは浮かばなかった
「…先輩…すみません…僕、もう少し寝ても良いですか?」
メルルの声に振り返ると、彼女は起きていられる限界に達しているのが分かった
「気が付かなくてごめんなさい。社長が来るまで居るから、気にせずに眠ってね」
オリビアの言葉を最後まで聞いていたのか?メルルはスグに眠りに落ちた
「……はぁ。新年早々なんて事なの…」
オリビアはメルルが寝ているベッドに近寄り、静かな寝息をたてている彼女の顔を見た。そして、その視線を彼女の腹部に移動させた
(あのお腹の中に生命が宿っているの?…普段ハッキリ物を言えないメルルが、あそこまで強い意志を示していたのだから出産は確定よね?)
オリビアは考えていた
(3年間活動していた配信者がイキナリ「妊娠したからママになります」と言ったらどうなるか?…おそらく大炎上して人気は急降下…いえ、コンプリにも大きな影響が出るのは避けられないかも?…でも…)
メルルの配信スタイルは、少し危なかしいハタチ過ぎの女がひたむきに頑張っているので庇護欲を駆られてしまう感じだ
事実、彼女のチャンネル登録者は30歳以上の男性が80%を超えている。年の離れた兄か?娘の頑張りを見守る父親のような目線で、彼女を支持している者が多い
(ライバーの妊娠が発覚したら事務所が炎上するのは避けられないだろうけど…あのメルルが「絶対に育てます」と言っているのだから、同じ女性配信者としては応援したいわね)
会社の今後を思うのならば、世間に知られる前に堕ろすのが正解なのだろうが、同じ女性としては応援してあげたいオリビア
「………きゅうぅぅ。あ、今日はまだ何も食べてなかったわね。確か1階の待合室の隣に売店があったハズ…何か買ってくるわね」
お腹の虫が空腹を報せてきたので、オリビアは財布を持ち1階の売店に行ってくる。と寝ているメルルに呟いて部屋を出た
【売店】
「はいよ、いらっしゃい」
時刻は14時になる数分前だった
オリビアが12畳くらいの店内に入ると、年配の女性が室内の清掃を慣れた手付きで行っている
ショーウィンドウの中に並べられた決して多くない商品をひと通り見渡したオリビアは、その女性に話し掛ける
「水と烏龍茶とダージリンを1つずつと、オニギリとサンドイッチを3つずつお願いするわ。あと袋もお願いね」
「あいよ。………以上10点で2605円になります…電子決済ですか?…はい、有難うございました!」
スマホの電子決済で、自分の分とメルル、(夜前には来るらしい)社長の3人分を購入した。昼時を過ぎた頃だったので、ショーウィンドウの中には選べれるほどの商品は残っていなかった
「あ!?あんた215号室のハタチ過ぎの女性の連れの方かい?」
「そうですけど…何か?」
「上手く説明出来ないんだけどね…午前中に来た中学生か?小学6年くらいの女の子がね…215号室の見舞いに来た女性が来たら、この手紙を渡して欲しい。と頼まれててね」
「え!?入院しているあの子宛じゃなくて、見舞いに来た私にですか?」
「そうなんだよ。私もよく分からないけど、引き受けてしまってさ…とにかく渡したからね」
変わった話だった。こういう場合、入院した本人に対して渡したい物を持ってくる者は居るだろう。しかし、そういうのはフロントに預けるのがセオリーだろうし、ましてや見舞いに来た者に渡すとは不思議な話だ
「有難うございます…」
オリビアは売店の女性からタバコの箱くらいの手紙としては、やや小さめなソレを手渡された。もちろん厚みはタバコの箱より遥かに薄かった
(何かしら?…落とさないように財布に入れておこうっと…)
【215号室】
「ガチャ…あ、社長。いらしてたんですね」
「ちょうど今、着いたばかりでね。それよりも聞いたよ…予想外な事だな。キミ個人的には、どうするべきだと思うね?」
オリビアが売店で買い物を済ませて、メルルが寝ている個室に戻って来ると…既に社長が居た
「……正直、分かりませんけど、視聴者への説明の仕方が肝心かな?と思います」
正直、オリビアには産むのか?堕ろすのか?どちらが正解なのかは、ハッキリとは分からない。ただ、産んでも配信者を続けるのであれば、視聴者への説明の仕方が大きなターニングポイントになるだろうと予想していた
「…そうだな…説明は慎重にしなければならないな…明日には退院して良いと言われたし、取り敢えず配信は明後日まで休みなさい。Twitterで「今日と明日は疲労で休みます」と伝えておきなさい」
「はい、そうします。社長、すみませんけど携帯を取ってもらえますか?」
「ほら…あまり詳しくは、まだ書かないようにしなさい。そうだオリビアは帰りなさい。私は今夜から関西に出張しなければならないので、明日の彼女の退院に付き添って欲しい…朝の9時頃で良いだろう」
「そうですね。今夜の配信を済ませたらスグに寝て、明日の朝には迎えに来るわね」
「有難うございます、オリビア先輩…」
「良いのよ。じゃあね……」
オリビアは笑顔で、メルルと社長に挨拶を済ませると駐車場へと向かった
【立体駐車場】
「ガチャ…ストん」
オリビアはマイカーのアクア(トヨタ)に乗り込んだ。彼女はコンパクトカーの中でも燃費性能に優れ、乗り心地も柔らかく快適なこの車を去年の夏に購入していた
安全性に重きを置く彼女がこの車を選んだのは、昼夜の歩行者や昼間の自転車にも対応している高性能な自動ブレーキを備え、上位グレードではボタン一つで駐車をサポートしてくれる「アドバンストパーク」も搭載できるからだった
「キュルルるん…ブロン!ふぅ…まさかメルルが妊娠してたなんて…メルルに何をしてあげたら良いの?」
マイカーに乗り込んだオリビアは、この先どうするべきなのか悩んでいる
「そうだ!あの手紙は…」
車を走らせる前に、財布の中に入れていた手紙を開いて見た
「この手紙を見ているのがオリビアさんである事を祈ります。さて、私は昨日、メルルさんが盗まれた財布を取り返した者なのですが…オリビアさん。メルルさんの事で悩んでいますよね?もし良ければ今夜23時に次の場所に訪れてください。キットお役に立てると思います」
「……はぁ!?これは一体どういう事なの?……確か…メルルが浅宮(アミ)と火影(すもら)と浅草に居た時に、10歳くらいの子に財布を取り返してもらった。って言ってたけど…あ!」
……………………………………………
「上手く説明出来ないんだけどね…午前中に来た中学生か?小学6年くらいの女の子がね…」
「…いえ、入院している人ではなくて、その人を見舞いに来た20代半ばの外国人のお姉さんに渡してください」
伊賀忍軍頭領の服部の妹の茜が、何故か今日もメルルが運び込まれた病院に現れ、オリビア宛ての手紙を売店の女性に託していたのだ
「…って売店の人から聞いたけど……あ!?そう言えば火影が言っていた、浅草でメルルの財布を取り返してくれた女の子と…この手紙の女の子って、もしかしたら同一人物じゃないかしら?」
自分の後輩であるメルルが妊娠した!という驚きの出来事に、偶然絡んできた見知らぬ10歳くらいの女の子。おそらく彼女が何か知っている気がしてならないオリビア
(だけど…中学生に入ったばかりくらいの女の子が、メルルの妊娠にどう役に立てるって言うのかしら?…さっぱり分からないわ)
「神奈川県横浜市鶴見区大黒ふ頭〇〇〇番地か…マンションから車で1時間くらいかしら?今夜の配信を終えてからでも間に合うわね…」
中学生に入ったくらいらしい見知らぬ女の子に、今回の大問題の解決の糸口を期待するのは、普通に考えたら有り得ない話だと分かっているオリビア
「ふぅ…1度帰ってシャワーを浴びて配信して、その後でもう1度考えましょうか…」
取り敢えず考えをまとめたオリビアは、マイカーのアクアを発進させた
【215号室】
「ふむ。帰ったようだ…しかし、避妊薬を飲んでもらっていたのに…出来てしまったか…」
「社長。約束ですよ…ゴムは使わなくても良いから、妊娠したら産ませてください。って言ってましたよね?」
病院の2階のメルルが居る病室から僅かにカーテンを開けて、オリビアが帰っていくのを見守った社長
「もちろんだとも。産んでもらって構わないよ、約束していたからね…」
「あ、有難うございます♪」
どうやらメルルを孕ませたのは…彼女や亜沙美たちが所属する事務所【コンサート・プリンセス】の社長のようだ
彼から出産の許可が降りないかも?と心配していたメルルは、あっさりと認めてもらえたので安堵したようだ
「コンコン…失礼します」
メルルはオリビアの手配で、都内の病院のお高い個室に入院している。ナースが定期検診に訪れたようだ
「御気分はどうですか?…18時に面会時間が終わりますので、それまでに連れの方はお帰りお願いします。その頃にまた、お邪魔しますので…ガラガラガラ」
ナースはメルルを気遣い笑顔で丁寧に説明をしてから、静かに部屋を出て行った
「ありがとうございます。社長も年明けは忙しいと思いますので、後は僕1人で大丈夫ですから…」
「ふふ。そうかね…私を気遣ってくれるのかね?…ならば、そうだな。もうすぐキミを抱くのは難しくなるだろうから、相手をしてもらえるかな?(笑)」
「えっ!?今からですか?…ここは病院ですよ?…それに、僕のお腹には赤ちゃんが…冗談ですよね?」
メルルは驚愕した!お腹の子の父親である社長がよりにもよって、個室とはいえ病院内で身篭っている自分を抱くと言うのだ
しかも、彼女の了解を聞く言い方だが、社長はメルルが着ている病院服の隙間から、彼女の下着の上下を慣れた手付きで脱がせてしまった
「ふっふっふ、だからこそだよ。私は1度、妊娠中の女性を抱きたい願望があってね。ソレをキミで果たせるなんて、興奮を止められないよ♪」
「本気…なんですか?」
メルルは社長に恐怖していた。この前も、火影と亜沙美を泊めている日の夜中にやって来たかと思ったら、トイレの中で自分を抱き、男の欲望を胎内に吐き出して帰ったのだ。そして、今日は病院で抱きたいと言ってきた
ここまで常識を無視して身体を重ねようとしてくる社長に、自分に求められているのは愛情などではなく、若い女の身体が目的だったのではいのか?と、大きな不安が込み上げてきた
果たしてメルルの今後は、どうなってしまうのか?過剰にやる気を出してエッチぃ過ぎる姿で配信している亜沙美は?
続く
最終回まで後4話(予定)
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