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第六章 天空の住人と対話
第34話 天空の島伝説
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その後、ボクは何年もかけて、ネイス・クルオン村にある山の再生を試みた。広葉樹を植えて、たびたび海から現れるクトーニアンを撃退する。
おかげで、ダリエンツォとの国交も続けることが可能になった。近隣の村とも、取引をしている。
そんな毎日を続けて、空を見上げた。
「ピオナ、天空にはなにがあるか、わかった?」
ボクはピオナに、この世界の歴史を調べてもらっていた。
「雲の上に、浮遊している島があるといいます。そこには、古代から存在する城があるとか」
なんでも海洋のクトーニアンを嫌がって、空に島を浮かべて住んでいる一族がいるとか。
「お話を伺いにいかないとね。もう安心ですよって」
「はい。それにはまず、天空城へ向かう集団を作る必要がございます」
「じゃあ、時間をかけてそこまで木を伸ばそう」
山を再生させつつ、ボクは世界樹にパワーを送り続けている。天空まで伸びる大樹にするために。
「すごいね、コーキ。もう雲を突き破りそうだよ」
天に手をかざして、パロンがつぶやいた。
「木に魔力を注ぎながら、ずっと空を見上げておったのう」
パロンの肩の上で、賢人クコが同じポーズを取る。
世界樹は、一見すると細い。だが、根っこの時点で大陸を埋め尽くすほどにまで育っている。天を突き破る日も近いだろう。
伸びた枝からは、すごい数の果物が身をつけている。リンゴや桃、柿などが同じ木からなっていて、節操がないけど。こんなカオスさも、ボクらしいのかもしれなかった。
クトーニアンは、ここまで育った世界樹には手が出せないらしい。神聖な大樹には、近づけないという。じゃあ村は安心だね。
「普通、ここまで育てようとしたら四〇〇年くらいかけてもムリだよね。それを数年でこなすなんて」
「そうだな。従来の育ち方を待っていたら、私など生きていまい」
ダリエンツォの王女ヴェリシモさんが、到着した。ドワーフのナップルも、ついてきている。
「海に汚れなどはできていますか、ヴェリシモさん?」
「いや。大丈夫だ。水質はまったく問題ない。クトーニアンもおとなしいものだ」
世界樹に力を注いだためか、この大陸全体が活性化していったようだ。
「準備はいい? ヴェリシモさん、ナップル?」
「おう! いつでも出かけられるぜ」
ナップルもパロンも賢人クコも、準備はいいらしい。
「おみやげは、なににしよう?」
相手の領土にお邪魔するのだ。攻め込むわけじゃない。手土産の一つくらいは必要だと思った。
「果物でいいじゃん。それかワインを」
「コメの酒じゃ! あれが一番うまいし、水が新鮮であるという証となろう!」
パロンの提案にかぶせるように、賢人クコが主張する。
日本酒かぁ。たしかに、異世界で飲めるとは思わなかったよ。それが一番、喜んでくれるかも。たしかに、土も水もいい証拠になるし。
「じゃあ、出発しよう!」
ボクたちは、天空の島へ向かった。
おかげで、ダリエンツォとの国交も続けることが可能になった。近隣の村とも、取引をしている。
そんな毎日を続けて、空を見上げた。
「ピオナ、天空にはなにがあるか、わかった?」
ボクはピオナに、この世界の歴史を調べてもらっていた。
「雲の上に、浮遊している島があるといいます。そこには、古代から存在する城があるとか」
なんでも海洋のクトーニアンを嫌がって、空に島を浮かべて住んでいる一族がいるとか。
「お話を伺いにいかないとね。もう安心ですよって」
「はい。それにはまず、天空城へ向かう集団を作る必要がございます」
「じゃあ、時間をかけてそこまで木を伸ばそう」
山を再生させつつ、ボクは世界樹にパワーを送り続けている。天空まで伸びる大樹にするために。
「すごいね、コーキ。もう雲を突き破りそうだよ」
天に手をかざして、パロンがつぶやいた。
「木に魔力を注ぎながら、ずっと空を見上げておったのう」
パロンの肩の上で、賢人クコが同じポーズを取る。
世界樹は、一見すると細い。だが、根っこの時点で大陸を埋め尽くすほどにまで育っている。天を突き破る日も近いだろう。
伸びた枝からは、すごい数の果物が身をつけている。リンゴや桃、柿などが同じ木からなっていて、節操がないけど。こんなカオスさも、ボクらしいのかもしれなかった。
クトーニアンは、ここまで育った世界樹には手が出せないらしい。神聖な大樹には、近づけないという。じゃあ村は安心だね。
「普通、ここまで育てようとしたら四〇〇年くらいかけてもムリだよね。それを数年でこなすなんて」
「そうだな。従来の育ち方を待っていたら、私など生きていまい」
ダリエンツォの王女ヴェリシモさんが、到着した。ドワーフのナップルも、ついてきている。
「海に汚れなどはできていますか、ヴェリシモさん?」
「いや。大丈夫だ。水質はまったく問題ない。クトーニアンもおとなしいものだ」
世界樹に力を注いだためか、この大陸全体が活性化していったようだ。
「準備はいい? ヴェリシモさん、ナップル?」
「おう! いつでも出かけられるぜ」
ナップルもパロンも賢人クコも、準備はいいらしい。
「おみやげは、なににしよう?」
相手の領土にお邪魔するのだ。攻め込むわけじゃない。手土産の一つくらいは必要だと思った。
「果物でいいじゃん。それかワインを」
「コメの酒じゃ! あれが一番うまいし、水が新鮮であるという証となろう!」
パロンの提案にかぶせるように、賢人クコが主張する。
日本酒かぁ。たしかに、異世界で飲めるとは思わなかったよ。それが一番、喜んでくれるかも。たしかに、土も水もいい証拠になるし。
「じゃあ、出発しよう!」
ボクたちは、天空の島へ向かった。
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