上 下
44 / 48
第七章 世界樹 VS 黒の世界樹

第44話 闇の世界樹の特性

しおりを挟む
 天使と魔王たちは、ボクのお酒で意気投合したみたい。
 ボクたちが「闇の世界樹」を退治している間、ケンカをしないことを約束してくれた。

「この時期のみと言わず、いつでも我が城に参られよ! 歓迎しようぞ魔王殿!」

「そうであるか! 我々も、海鮮でお出迎えするのである!」

 急に仲良くなりすぎじゃない?
 でもまあ、これで地上はひとまず安心かな。

「よろしく頼む、コーキ殿。闇の世界樹には、我々天使も困っていたところぞ。なんせ、こちらの攻撃が通用せぬ」

「海へ一撃を食らわせるだけでは、ダメなんですか?」

「うむ。特殊な結界が張っておってな」

 物理的な攻撃も魔法も、すべて術式障壁で弾き飛ばしてしまうらしい。天使族が直接、世界樹に切りかかったこともあるそうだ。しかし、まるで効果がなかったという。

「向こうから襲ってくることはないのだ。ただ闇の世界樹は、ダークサイドのクトーニアンを大量に産み落として、送り込んでくるのだ」

 魔王によると、世界樹自体が攻撃をしてくる気配はないらしい。しかし、攻撃しようとするとクトーニアンが襲ってくるという。

 単純に一回攻撃したら、三倍は跳ね返ってくるそうだ。なんて、めんどくさい。

「それで、ボクに声をかけてくれたんですね?」

「うむ。お主なら、平和的に解決してくれそうだったのだ。頼めるか?」

「やってみます」

 とはいうものの、どうやって闇の世界樹なんておとなしくさせればいいのやら。

「あなたは、過激派のリーダーを倒しています。なので、邪魔は入らないと思うのです」

 ハィラさんのいうことは、信じていいみたい。

 あのミイラは、闇の世界樹を盾に自分の思想を周りに押し付けていたそうだ。

「闇の世界樹だって、自分の居場所がほしいだけかもしれないね。その思想を悪用されただけで」

「その発想は、ありませんでした」

 これは、案外大変かもしれない。
 天使たちに任せていたら、本当に世界は焦土になっていたことだろう。初期のアプレンテスどころか、世界すべてが荒野になっていたかもしれない。

「わかりました。対話を試みます」

「対話とな?」

「はい」

 闇の世界樹と話し合ってみて、交渉可能な相手かどうか、確かめる。

「それでダメなら?」

「……あきらめて攻撃しましょう」

 ボクが言うと、パロンが手を握ってきた。

「コーキ、ワタシもついていこう。なんたって、キミの作り主だからね。キミのよりどころになって、キミの精神が闇の世界樹に汚染されないように見守るよ」

「ありがとう、パロン」

 ボクも手を握り返す。


 こうしてボクたちは、本格的な対話作戦を開始した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

長生きするのも悪くない―死ねない僕の日常譚―

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:695pt お気に入り:1

オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,346pt お気に入り:625

実は私、転生者です。 ~俺と霖とキネセンと

BL / 連載中 24h.ポイント:213pt お気に入り:1

星を旅するある兄弟の話

SF / 連載中 24h.ポイント:639pt お気に入り:0

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,328pt お気に入り:1,505

令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,218pt お気に入り:16,079

処理中です...