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1-2 新しいお友達ができました

第24話 賢者タイム

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「大毅様、今日はチサ様について行って、大変だったでしょう? マナ放出のお手伝いもなさったとか」

「今日は疲れました。ドッと疲労感が出たのですが?」

 魂が抜け落ちていくような感覚といえばいいか。
 この地に来て、初めて体験した。


 まんま、久しく忘れていた快感である。



「いわゆる、『アレ』の疲労みたいだったでしょ?」
「アレとは?」
「いわゆる『賢者タイム』とでも申しましょうか」


 ボクは鍋の具を吹き出す。
 よく、チサちゃんにかからなかったものだ。

「大丈夫、ダイキ?」
 いきなり咳き込んだボクを心配してか、チサちゃんが声をかけてくる。

「平気だよ。ごめんねチサちゃん」

 むせながら、ボクはちゃぶ台を拭く。

「聞けば、一〇〇メートルを全力疾走した時と、同じだとか?」

 ボクのお椀に具をよそいつつ、セイさんは艶めかしい視線をボクに送ってきた。

「ええ、そうですね」
 余計なことは言わない。ボクは沈黙する。

「ダイキって、賢者なの?」
 興味津々の様子で、チサちゃんが聞いてきた。

「いいから、食べててくださいね。冷めちゃいますから」
 この手の話題は、まだチサちゃんには早すぎる。 

「大毅様、それはあなたが、マナを消費なさったからです」
 ボクのマナを使って、チサちゃんは薬草を育てたのだという。

「やみつきになりそうですか?」
「とんでもない。ボクはそんな快楽主義者じゃない」

 そう何度も、あの感覚は体験しちゃいけないんだろうなって思った。
 自分の欲求のために、マナを発動させようなんて思わない。

「あなたがそのような方で、安心しました」
 セイさんが一礼する。

「農地被害がイノシシ程度で済んでいるのは、大毅様のように、人間のマナを使ったからなのです」

「そうだったんですね」

 薬草を活性化させることは、チサちゃんのマナにもできた。
 だが、魔王クラスのマナでは育ちすぎてしまう。
 また、土壌も元気になりすぎて、モンスターまで湧く事態に発展してしまう。

「魔王と言えど、ウカツに自然界へマナを発生できない理由は、ここにあります」

 自然界に奇跡をもたらすには、それなりのリスクがあるらしい。
「なんでもかんでも魔王の魔力で解決!」
 とはいかないのだなぁ。

「ましてやチサ様はサキュバスです。あのレベルのマナを放出させる際に引き出す快感は、計り知れません。その威力は麻薬をも上回るでしょう」

 サキュバスタイプの魔王候補に玉座として認められた者の中には、快感を得たいがためにマナ放出を急かす輩もいるのだとか。
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