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1-4 「おさんぽ」という名の迷宮探索

第48話 オンコの依頼

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 え、なんか妙だな。
「さっき、財宝が目的って言ってなかったっけ?」

「財宝は個人的に欲しいだけ。見つからなかったら、依頼が終わってからもう一回潜って探すよ」
 
 オンコの、おちゃらけた雰囲気が陰る。

「依頼って言うのは、ドワーフを苦しめているモンスターの討伐なんだ」

 聞くと、ドワーフたちはみんな、突然現れた正体不明のモンスターによって、捕まっているという。
 鉱山近くの霧が立ちこめるエリアに、全員が幽閉されているらしい。

「アタシは別の仕事をしていたから、無事だったんだけど、家族が」

 無事であることは確認されている。
 でも、時間の問題だろう、と。

「強いの? モンスターって」

「分からない。ただ、ドワーフの力が通じないかも知れないと、エルフのゼーゼマンを頼って仲間を募ったんだ」

 それが、ボクたちだと。

「わかった。助けに行く」

 敵の正体は不明、力量も分からない。
 だけど、助けに行くという。
 それでこそチサちゃんだ。

「チサちゃんが行くなら、ボクもやる。だから心配しないで」


「ありがとうチサちゃん! 魔王がいるなら百人力だね。お礼はちゃんとするから」

 少し元気になったのか、オンコは食欲を取り戻す。
 こういうときこそ、しっかり食べておかないとね。

「オンコ、チサはいい子だな」
「うん。最高の仲間だね!」

 仲間、か。チサちゃんは、いい仲間に恵まれているなぁ。

「ダイキもありがとう! 依頼が片付いたら、ウチへ遊びにきなよ。ご馳走するからさ」
「ありがとう、オンコ。お世話になります」

 ボクも、チューリップをモリモリと腹に詰める。

 気がつけば、あれだけあった唐揚げマウンテンは、すっかり更地になっていた。

「ごちそうさま」
 チサちゃんが、手を合わせる。

「気に入ってくれたら、またおいで」
 これは、毎日でも飽きないおいしさだ。

「はいこれ、お弁当だよ」
 帰り際に、バニングさんが大きな包みをくれた。チューリップ唐揚げのいい香りが漂う。

「これを作ったの、息子なんだ」
 バニングさんが、厨房の向こうへ目を移す。

 小さな頭が、厨房からこちらを覗いている。
 少しでも役に立ちたくて、作ったらしい。

「ありがとう、おいしそうだよ」
 ボクが礼をいうと、息子さんはパアッと明るくなる。

「バニングさんすいません! ごちそうさまでした!」
「おばちゃん、ありがと。大切に食べる」

 お弁当は、チサちゃんのアイテムボックスへ。

「うふふ、またおいで!」

 バニングさんに見送られ、ボクたちはゴマトマ鉱山へ「おさんぽ」に出かける。
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