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1-4 「おさんぽ」という名の迷宮探索

第54話 レベルとは?

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「聞いてもいい?  この世界のレベルって、どんな感じなの?」

「人間で平均レベルは一〇。レベル二〇もあれば超人クラス。だから、レベル四〇以上もあるダイキは驚かれた」
 チサちゃんが、この世界のレベル要素を解説してくれた。

「じゃあ、目の前にいるのは凶悪な化物なんだね?」


「国が動くレベル」



 さすが、元魔王候補だけある。



『我が野望を阻む者には、たとえ魔王と言えど容赦せぬ!』
 喋る度にいちいちポーズを取るのが、またウザい。

「お前はここで浄化する。覚悟を」

『ぬかせ半人前の魔王が! 仲間共々地獄へ送ってくれる!』
 祭壇から降りて、ヱッチは手をかざす。


 骨の手の中心が紫色に光り、死霊が湧き出てきた。


「精霊よ、邪気を振り払うのである。ふうっ!」

 片手に持った本を開き、ゼーゼマンはボクたちの周辺に障壁を張った。

 死霊は障壁にぶつかると、弾け飛んだ。

 まるで誘蛾灯のようである。

『なんの。防いでいるだけでは我は倒せぬぞ!』
 確かに、突破口はない。

「聖剣さえあれば。しかし、ドワーフが解禁されていないとなると、作るのは難しい」

 さしものエィハスも、弱音を吐く。

「ボクが行ってみる!」
 スコップを持って、ボク結界から出た。

「無茶だって。ダイキが死んじゃったら、チサちゃんが」
「大丈夫だ、オンコ。ボクの装備が一番マシみたいだから。チサちゃんはみんなを守っていてくれ」

 障壁を抜けて、ボクはヱッチと一対一になる。

「ダイキ、信じてる」
 チサちゃんも、手を貸そうとしない。
 ボクの意図を汲んでくれているのだ。

「もぐもぐ」
 今、お弁当食べるの?
 それだけ信頼してくれているんだろうけど。

 本当にボクは強いのか、このモンスターで試す。

『余裕だな、魔王チサ・ス・ギルよ。配下に全てを託すなど』

「お前なんかわたしが出るまでもない。それに、わたしが攻撃するとご褒美になるだけ」

『おのれ、我が性癖をことごとく!』

 チサちゃんは、こういう感性は本当に鋭い。
 相手の性癖を見破る力に長けている。

 その証拠に、ヱッチに飛びかからんとしているオンコを、片手で押さえ込んでいた。

 敵からすると、オンコが攻撃しても「女の子に虐げられる」ご褒美になるからだそう。

『しかして魔王、むさい男だけに任せて我を倒せるとでも?』
「ダイキは強い。全部任せられる」

『ほざけ、小娘が! この男を倒したら、お主を乗っ取ってくれる』
 ヱッチが、大仰なポーズを取る。

「やってみないと分からない。そりゃ!」
 闇雲に、ボクはスコップを振り回した。

『ぐう!』
 刃が腕や腰に当たり、ヱッチが苦悶の声を上げる。
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