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1-5 自由研究は生産職スキルで乗り切れ!
第66話 ポ●ジュース
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翌朝、ボクたちはいつも通り朝食を取っていた。
「チサ様、一大事にございます」
セイさんが血相を変えて食卓へ。
「どうしたの、セイ?」
「昨日の件なんですが、農家から報告がございます」
食後、ボクたちは農園に向かった。
お米は、まだできていない。そりゃそうだ。まだ稲ももらっていない。ゴマトマからの輸入に頼っている。
問題は、オレンジ農園で起きていた。
「なにこれ」
スイカクラスはある黄色い球を見て、ボクは息を呑む。
「突然変異した、オレンジにございます」
「これが、オレンジだって?」
そこで見たのは、とんでもない大きさのミカンだった。
ミカンはどれだけ大型化しても、せいぜい野球のボールくらいが限界である。
ところが一本だけ、ボーリングの球くらいのミカンが実っていた。
木の方も、他のミカンの木よりも太い。
「実は、課題指示書の他に、こんなものが」
真っ黒い紙が、指示書に混じって添えられていたという。
「ヱルダー・リッチからの詫び状だそうです」
無礼を働いたので、サービスをする。これで勘弁願いたい、との文章が。
「どうする、チサちゃん?」
「追い打ちはもうしない。どっちみち、ヱッチはこの世界には出禁にするけど」
とりあえず、味も見てみよう。
ヱッチのことだ。毒かも知れないし。
「うん、おいしい!」
大きいからもっと大味だと思ったけど、自然な甘味が口をすすいでくれる。
量が多くて、一口食べるとお腹いっぱいになっちゃう。
大家族用かな。でも、ジュースにもするんだっけ。
「あのさ、この土地のミカンって、形の悪いオレンジも使うんだよね」
チサちゃんはうなずいた。「ジュースにする」
「ポーションにも使うって聞いたけど?」
ジュースにするだけで、この量が消耗できるとはちょっと。
「皮に栄養成分があるから、香り付け程度に含ませている。でも、おいしくない」
地球の小説など、創作物にもよるけど、だいたいポーションはマズイというイメージがつきまとう。
「この際、スポーツドリンクみたいにジュースとして売ったらどうだろう?」
「いい感じ。飲み過ぎなければ、おいしいジュースと変わらないし、熱中症対策にもなる」
栄養満点のオレンジだしね。
「あ、でもちょっと待って。たしか、お薬ってオレンジジュースと一緒に飲んだらダメじゃなかったっけ?」
ボクの考えはボツかも。
「大丈夫。薬草とポーションは、役割が多少違うから」
ケガや病気を治すのは【薬草】だ。
【ポーション】は風邪薬でも、傷薬でもない。
直接治さず、自己の治癒力を「高める」効果があるという。
だとしたら、スタミナドリンクに近いかも。
また、体力回復剤の他に、マナを回復させるポーションもある。
「だから、成分はケンカしないはず」
チサちゃんのお墨付きをもらい、採用となった。
「あとは商品名」
「そうかー。ポーションのジュースだから……」
「うん! ポージュース!」
「ギリギリなところをついてくるね!」
危険な響きだけど、異世界だからいいかな?
こうして、ポージュースをビンに詰めて売ることが決定した。
「じゃあさ、絞りカスや皮は?」
チサちゃんがフリーズした。
「焼却処分ですね。灰にして、畑に撒くくらいでしょうか」
セイさんが、代わりに答える。
「それを、牛に食べさせませんか?」
愛媛県の農業では、実際にジュースの絞りカスを食べさせて、柔らかい牛肉を作っているらしい。
「いいかもしれませんね」
とびきり甘いポーションジュースを作り、ポーションはマズイという固定観念を叩き潰す。
牛などの家畜に、巨大ミカンの皮やカスを食べさせ、肉を柔らかくする。
この二大歯車で、生産系をクリアしようという作戦がスタートした。
「チサ様、一大事にございます」
セイさんが血相を変えて食卓へ。
「どうしたの、セイ?」
「昨日の件なんですが、農家から報告がございます」
食後、ボクたちは農園に向かった。
お米は、まだできていない。そりゃそうだ。まだ稲ももらっていない。ゴマトマからの輸入に頼っている。
問題は、オレンジ農園で起きていた。
「なにこれ」
スイカクラスはある黄色い球を見て、ボクは息を呑む。
「突然変異した、オレンジにございます」
「これが、オレンジだって?」
そこで見たのは、とんでもない大きさのミカンだった。
ミカンはどれだけ大型化しても、せいぜい野球のボールくらいが限界である。
ところが一本だけ、ボーリングの球くらいのミカンが実っていた。
木の方も、他のミカンの木よりも太い。
「実は、課題指示書の他に、こんなものが」
真っ黒い紙が、指示書に混じって添えられていたという。
「ヱルダー・リッチからの詫び状だそうです」
無礼を働いたので、サービスをする。これで勘弁願いたい、との文章が。
「どうする、チサちゃん?」
「追い打ちはもうしない。どっちみち、ヱッチはこの世界には出禁にするけど」
とりあえず、味も見てみよう。
ヱッチのことだ。毒かも知れないし。
「うん、おいしい!」
大きいからもっと大味だと思ったけど、自然な甘味が口をすすいでくれる。
量が多くて、一口食べるとお腹いっぱいになっちゃう。
大家族用かな。でも、ジュースにもするんだっけ。
「あのさ、この土地のミカンって、形の悪いオレンジも使うんだよね」
チサちゃんはうなずいた。「ジュースにする」
「ポーションにも使うって聞いたけど?」
ジュースにするだけで、この量が消耗できるとはちょっと。
「皮に栄養成分があるから、香り付け程度に含ませている。でも、おいしくない」
地球の小説など、創作物にもよるけど、だいたいポーションはマズイというイメージがつきまとう。
「この際、スポーツドリンクみたいにジュースとして売ったらどうだろう?」
「いい感じ。飲み過ぎなければ、おいしいジュースと変わらないし、熱中症対策にもなる」
栄養満点のオレンジだしね。
「あ、でもちょっと待って。たしか、お薬ってオレンジジュースと一緒に飲んだらダメじゃなかったっけ?」
ボクの考えはボツかも。
「大丈夫。薬草とポーションは、役割が多少違うから」
ケガや病気を治すのは【薬草】だ。
【ポーション】は風邪薬でも、傷薬でもない。
直接治さず、自己の治癒力を「高める」効果があるという。
だとしたら、スタミナドリンクに近いかも。
また、体力回復剤の他に、マナを回復させるポーションもある。
「だから、成分はケンカしないはず」
チサちゃんのお墨付きをもらい、採用となった。
「あとは商品名」
「そうかー。ポーションのジュースだから……」
「うん! ポージュース!」
「ギリギリなところをついてくるね!」
危険な響きだけど、異世界だからいいかな?
こうして、ポージュースをビンに詰めて売ることが決定した。
「じゃあさ、絞りカスや皮は?」
チサちゃんがフリーズした。
「焼却処分ですね。灰にして、畑に撒くくらいでしょうか」
セイさんが、代わりに答える。
「それを、牛に食べさせませんか?」
愛媛県の農業では、実際にジュースの絞りカスを食べさせて、柔らかい牛肉を作っているらしい。
「いいかもしれませんね」
とびきり甘いポーションジュースを作り、ポーションはマズイという固定観念を叩き潰す。
牛などの家畜に、巨大ミカンの皮やカスを食べさせ、肉を柔らかくする。
この二大歯車で、生産系をクリアしようという作戦がスタートした。
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