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1-6 命がけの遠足!?
第78話 うますぎて失敗!?
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瓶に詰めた中身を、今度は小さなグラスに注ぐ。
「さあ、めしあがれ」
チサちゃんが、コップを全員に配った。
少しだけのジュースを、みんなは一斉に飲む。
「まことに美味である。これほど深い甘みは、ポーションでは出ない」
うっとりした表情のゼーゼマンから、この上ない評価を得た。
「ホントだな。実にうまい!」
料理屋の娘であるエィハスも、太鼓判を押す。
蜜を使ったポージュースは、大成功! これ以上ない味を出してくれた。
しかし、首をかしげている人物が、ただ一人いた。
「ちょっと待って。これさあ、【エリクサー】じゃね?」
ビンの中身を少量コップに注ぎながら、オンコが言う。
蒼白になったチサちゃんが、慌てて味見をやり直す。
「エリクサーだった」
チサちゃんが愕然とした。
「だと、何がヤバいの?」
「とんでもない偉業なんだけどね。エリクサーを人間が作るなんて」
エリクサーは、体力回復だけでなく、マナも回復し、万病に効く。毒や病気など、たちどころに治してくれるのだ。
「この世界で、もっとも価値のある秘薬だよ。でも、コスパは最悪なんだよねー」
ポーションは銅貨数枚で買える。
対して、この世界最高の価値がある「大金貨」が数枚あっても、エリクサーは買えない。
ポーションとエリクサーの価格差は、実に一万倍だ。
庶民の手に行き渡らない。
「ふむ、だとしたら、安価での店売りは難しいのである」
ポーションをジュースで薄めるのは、安く売ろうと思っていたからだ。
これでは逆に高くついてしまう。
ましてや、エリクサーは超がつくほどの貴重品だ。
「うかつだった。エリクサーができるなんて、考慮していなかった」
チサちゃんが悔しがった。
「あと、味がやや濃すぎる。これではジュースとしてはクドい。スムージーに近い」
コップに残った液体を舐め取り、チサちゃんが首を振る。
ボクも、違和感を覚えていた。
野菜ジュース並のドロドロ感がある。
「たしかに、おいしいけどノドに引っかかる感じだな」
「欲しいのは清涼感。スムージーのようなトロみじゃない」
エィハスとチサちゃんが、互いに意思疎通し合う。
「原因は?」
「いきなり、蜜を大量に入れすぎたのである」
味を見ないで、いきなり入れまくったのがいけなかったのか。
「このままでは、店に出せない。かといって、調整はかなり難しい」
となると、味見役が必要だ。
魔王城に戻り、セイさんにそれとなく聞いてみる。
「あのー、セイさん、あの二人に連絡していただけませんか?」
当然、この間魔王城に愉快な遊びを提供してくれた二人組だ。
「もう連絡を済ませてございます。明日の朝には、お見えになるかと」
さすがセイさん、仕事が早い!
「さあ、めしあがれ」
チサちゃんが、コップを全員に配った。
少しだけのジュースを、みんなは一斉に飲む。
「まことに美味である。これほど深い甘みは、ポーションでは出ない」
うっとりした表情のゼーゼマンから、この上ない評価を得た。
「ホントだな。実にうまい!」
料理屋の娘であるエィハスも、太鼓判を押す。
蜜を使ったポージュースは、大成功! これ以上ない味を出してくれた。
しかし、首をかしげている人物が、ただ一人いた。
「ちょっと待って。これさあ、【エリクサー】じゃね?」
ビンの中身を少量コップに注ぎながら、オンコが言う。
蒼白になったチサちゃんが、慌てて味見をやり直す。
「エリクサーだった」
チサちゃんが愕然とした。
「だと、何がヤバいの?」
「とんでもない偉業なんだけどね。エリクサーを人間が作るなんて」
エリクサーは、体力回復だけでなく、マナも回復し、万病に効く。毒や病気など、たちどころに治してくれるのだ。
「この世界で、もっとも価値のある秘薬だよ。でも、コスパは最悪なんだよねー」
ポーションは銅貨数枚で買える。
対して、この世界最高の価値がある「大金貨」が数枚あっても、エリクサーは買えない。
ポーションとエリクサーの価格差は、実に一万倍だ。
庶民の手に行き渡らない。
「ふむ、だとしたら、安価での店売りは難しいのである」
ポーションをジュースで薄めるのは、安く売ろうと思っていたからだ。
これでは逆に高くついてしまう。
ましてや、エリクサーは超がつくほどの貴重品だ。
「うかつだった。エリクサーができるなんて、考慮していなかった」
チサちゃんが悔しがった。
「あと、味がやや濃すぎる。これではジュースとしてはクドい。スムージーに近い」
コップに残った液体を舐め取り、チサちゃんが首を振る。
ボクも、違和感を覚えていた。
野菜ジュース並のドロドロ感がある。
「たしかに、おいしいけどノドに引っかかる感じだな」
「欲しいのは清涼感。スムージーのようなトロみじゃない」
エィハスとチサちゃんが、互いに意思疎通し合う。
「原因は?」
「いきなり、蜜を大量に入れすぎたのである」
味を見ないで、いきなり入れまくったのがいけなかったのか。
「このままでは、店に出せない。かといって、調整はかなり難しい」
となると、味見役が必要だ。
魔王城に戻り、セイさんにそれとなく聞いてみる。
「あのー、セイさん、あの二人に連絡していただけませんか?」
当然、この間魔王城に愉快な遊びを提供してくれた二人組だ。
「もう連絡を済ませてございます。明日の朝には、お見えになるかと」
さすがセイさん、仕事が早い!
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