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2-2 おねショタ魔王と激突する。

人生初の、海

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 気がつくと、ボクは見知らぬ土地に立っていた。
 船酔いみたいな体感なども、痛みもない。
 一瞬で辿り着いたようだ。
 目をつむっていたから、何も分からなかったけど。

 辺りから、どこか懐かしい匂いが。

 コレは、潮の香りだ。

 エヒメとは違うけど、確かに海を鼻で感じられる。

「波の音だ」
 音につられて、チサちゃんと手を繋ぎながら進む。



 丘のてっぺんに立ち止まって、ボクはため息をつく。



 エメラルドグリーンの景色が、視界を覆った。

 海だ。

 緩やかな波が崖に当たる。

「チサちゃん、これが海だよ」

「海、大きい」
 はじめて海を見るのか、チサちゃんは漣に目を奪われていた。

「降りてみる?」
「うん」

 興奮気味に、チサちゃんが丘を駆け下りていった。

 チサちゃんと砂浜を歩く。海なんて何年ぶりだろう。じっくりと、砂の感触を踏みしめる。

 大きな水瓶に、チサちゃんは手を入れた。

「冷たい。でも、気持ちいい」
「なめっちゃダメだよ。喉が渇きまくるから」

 口に入れそうになった海水を、チサちゃんは海に帰す。

 続いて、岩場に向かう。
 岩に張り付いたイソギンチャクに、チサちゃんは興味を持ったらしい。

「小さい。モンスター? でも、魔力を感じない」
「あれは海産物だよ。たぶん無害なんじゃないかな」
「美味しいの?」
「たいして、身はないと思うよ」

 イソギンチャクなんて、食べられるんだっけ?

 早歩きしながら、チサちゃんは浅瀬を歩くカニを追いかける。

 こっち側には、人の気配はない。
 もっと向こうに人気が集まっている。

 あちらに召還されていたら、パニックになっていたかも。
 ボクたち、いわゆる侵略者だもんね。

 ここは一言で言うと、南の島と呼ぶに相応しい。
 ボクたちの暮らしている街とは大分様相が違う。
 
 砂も茶色ではなく、どこか白い。海外旅行のパンフレットに載っている、リゾート地を思わせた。

 右手の方に、港が見えた。何隻もの漁船が停泊している。周りを、海鳥が飛んでいた。

「あれは?」
「船だよ。魚を釣りに行くんだ」

 一際大きく頑丈な船は、別大陸を目指すのだろうか。

「あの宮殿」
 ボクは、橋が架かっている小さな島を指さす。

 小島が連なっているエリアに、一際大きな宮殿が。
 さしずめ、陸に上がった竜宮城かと思わせた。
 赤と緑を基調にした、水の宮殿である。庭のあちこちで噴水が作動していた。

「おそらく、あそこが魔王の城」
「行ってみよう」

 ボクたちは、宮殿へ向かう。

 本当は、偵察のために街をもっと見て回りたいけど。他の人がどんな暮らしをしているかは気になる。とはいえ、相手を待たせてはいけない。
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