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2-3 いよいよ海へ。人魚姫との遭遇!?

ヌシ、撮影快調

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「階層が上がったことで、リミッターが解除された」

 チサちゃんによると、ボクには今までの戦闘でも、経験値が手に入っているらしい。その分が加算されたのでは、という。

 でも、レベル九九以上なんて。未知の数字だぞ。

「その調子でジャンジャンレベルを上げていってよ。じゃあ」

 今度こそ、ボクたちはギルドを後にする。

 緊張から解放されたせいか、チサちゃんのお腹が鳴った。
 朝が早すぎたもんね。

「じゃあ、お茶にしよう」

 まだ昼ごはんには早い。軽めのブランチにする。

「何があるんだろう? あ、あそこなんてどう?」

 ボクが提案したのは、ココナッツの屋台だ。
 売っているのは、熟していない緑色のココナッツである。
 先をナタで切り落とし、中の水分を飲むワイルドなスタイルだ。
 この世界にはストローが普及していないから、仕方がない。

「面白い!」
 チサちゃんもはしゃいでいる。

 ヤシの実ジュースなんて、食べたことがない。いかにも南国なスイーツだ。

 ボクたちは二つ頼んで、手に持ちながら食べ歩く。
 
 すごく甘い。ホンモノって食べたことないけど、だいたいこんな味なのかな。見た目はココナッツだから、合っているんだろうけど。

 他にも、切り売りされているパイナップル、間にイチゴを挟んだ平たいお餅など、フルーツメインの屋台を回った。

「あ、あれって!」

 たこ焼きまである。これは買いだ。六個入りを買って、ベンチでチサちゃんと食べる。

 まるで縁日だな。

「今日ってお祭りなの?」
「違う。この市場は毎日こんな感じらしい」

 ボクたちがエリア解放する以前から、この街は存在するという。解放したからボクたちも辿り着けただけで。
 ただ、いいことばかりではない。

「冒険者ギルドにも、海底にいる大型モンスターを討伐する依頼があった」

 おそらく、そいつが二層のボスだろう。
 海賊討伐の依頼まである。

「一見すると、平和そうなのにね」
「それより、わたしが気になっているのは」
「分かってるよ。海のヌシ釣りでしょ?」

 チサちゃんは冒険者ギルドで、一つの依頼書をずっと眺めていた。

 そのポスターは、他の依頼書より遥かに大きく貼られている。

「海のヌシを釣ること」

 別に捕獲して食べるとかではないんだけど、釣ったら自慢できるくらいに難易度が高いイベントらしい。

「すごく面白そう。主に一度会ってみたい」

 チサちゃんは好奇心の塊だ。楽しいことがあれば飛びつく。

「そのヌシが、二層のボスかも知れないからね」


「ヌシ、撮影快調」


 テレビドラマの宣伝みたいな宣言だね、チサちゃん。
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