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2-3 いよいよ海へ。人魚姫との遭遇!?

釣れた……かも!

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「どれが欲しいかは、ハッキリしてもいい。テレビゲームが欲しいなら分けてもらう。食べたいモノがあれば、用意する。わたしは助けてもらっているんだから」

 少し心配げに、チサちゃんはまくしたてた。

 そこまで不安にさせていたのか。

「気を使ってくれてありがとう、チサちゃん。でもね、ボクはこの世界に来られただけで満足なんだ」

 毎日のように、新しい発見があって、刺激もある。それでいて、心地よい。なにより、何もないボクを迎え入れてくれた。

「ボクは、チサちゃんの側にいるだけでいいんだ。ボクが欲しいとしたら、それはチサちゃんだなぁ」

 チサちゃんが、ボクのお腹に頭を置く。

「あ、ごめん。いきなりだったね。忘れて」

 何を言っているんだ、ボクは。
 いくらチサちゃんがボクに優しいからって、調子に乗りすぎだろ。

 ボクが謝ると、チサちゃんは首を振った。

「ありがと、ダイキ」
 穢れのない瞳で、チサちゃんがボクを見ている。

「さ、さて、ゴハンを……あっ!」

 急に照れくさくなって、お弁当に手を伸ばす。だが、足場が悪いところで食べたのが行けなかったのか、ボクはおにぎりを落っことしてしまう。

 おにぎりは、海にドボンと沈んでいく。

 せっかく、チサちゃんが握ってくれたのに。

「ゴメンチサちゃん」
「いい。あのおにぎりは魚のエサになって、わたしたちの竿に帰ってくる」
「お弁当で釣れたら、シャレにならないね」

「これで釣れたら苦労はない」
 チサちゃんも、本気で思っているのではないらしい。

「エサを変える?」

 ボクが言いかけると、竿がピクリと動いた。
 やっと竿に魚がヒットしたみたい。

「うわわ。まだエビしかつけてないよ!」

 ヌシの好物って、エビだったの?

「ダイキ、網!」
「よしきた!」

 ボクは網を掴んで、獲物を獲る準備をする

 竿が、ビクンと跳ね上がった。

「さすがに魔法で強化した竿でも、限界かも!」

 魚を誘導しながら、チサちゃんは踏ん張る。

 竿が折れんばかりにしなる。

 ボクはチサちゃんの後ろに回って、腰を持つ。少しでもバランスを維持得きるように。

「しっかり」
「もう少しガマン」

 魚の頭が見えてきた。

 大きい。人間サイズくらいはあるのでは。
 
 チサちゃんが、一気に竿を引き揚げる。

「釣れた! ってえええええええええええ!?」

 全貌を現した魚が、海面に飛び上がった。上が貝殻ビキニをつけた女性で、下半分が魚のヒレを持っている。

 あまりの驚愕な事実に、ボクとチサちゃんは呆然とした。

 糸をしっかりと咥えた、貝殻ビキニの女性と目が合う。

 釣れたのは、人魚だった。
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