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2-5 回転寿司屋さん完成!
小さなお客さん
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回転寿司のお客は、大半が大人ばかりだ。
子ども連れもいるが、あまり食が進んでいない。
お刺身を美味しいと思える子は、多くないようだ。
ところが、今は違う。
から揚げ軍艦巻きが飛ぶように売れている。
「本当だ。子どもの食いつきがシャレになってない」
「この調子で、もっと子どもが好きそうなネタを増やそう」
「うむ。考えてみる」
その後、エィハスはコーンのバター焼きや、小さいエビフライを軍艦にのせてみた。
客から高評価を得て、エィハスも満足げである。
やっぱり、お客さん目線で入ってよかった。
チサちゃんの言うとおりだな。
「すごいよエィハス。ボクなんて、レーンを動かすことばかり考えていた」
そのせいで、子どももお寿司を食べるんだってことを、すっかり忘れていた。
「気づかせてくれて、ありがとう」
「何を言ってるんだ? 私はただ、ダイキのマネをしただけなんだ」
「ボクのマネを? どういうこと?」
「最初に、子どもでも食べられるメニューを作ろうって言い出したのは、他ならぬダイキじゃないか」
「そ、そうだっけ?」
謙遜するボクに、エィハスはさらに言葉を続ける。
「ダイキはネウロータと料理で戦うとき、審査員が子どもだって分かったからメニューを家庭料理にしただろ? 私も見習ったんだ。ダイキがいなかったら、こんな発想には至らない」
エィハスから、こんなにも感謝されるなんて。
お店に、ひときわ小さいお客さんが来た。
チサちゃんより細くて、小さいかも。一人なのかな?
白髪のロングヘアだが、老けた印象はなかった。
肌も白く、瞳の色が赤い。黒いドレスを着ている。
ゴスロリ調だけど、スカートの丈がやけに短くて肌の露出が激しい。
「いらっしゃい。お席にどうぞ」
チサちゃんの誘導で、少女は席に座る。
チサちゃんもお客さんなのに、優しさが出たね。
「あの子、カンパチって」
見た目は子どもみたいなのに、子どもらしくない寿司のチョイスである。
一口食べて、少女は微笑みながらうなずく。
「おいしいですか?」
「ま、まあまあだもん!」
ボクが声をかけると、少女はビクッとなる。
お金を置いて、少女は出て行こうとした。
「待って」
不審に思ったのか、チサちゃんは少女を呼び止める。
「問題点があった? 意見が欲しい」
「意見なんてないもん。すごくおいしかったもん」
何の感情も持ち合わせないかのような顔で、少女は答えた。
「価格も庶民的で手に取りやすいし、接客も完璧だもん。最大の魅力は、このギミックだもん。申し分ないもん」
まるでロイリさんみたいな口ぶりだなぁ。
「でも、お兄ちゃんの方がおいしいもん」
「お兄ちゃん?」
「あんたには関係ないもん。それじゃあ」
少女は、チサちゃんを押しのけるように去って行った。
あの子は何者なんだ?
子ども連れもいるが、あまり食が進んでいない。
お刺身を美味しいと思える子は、多くないようだ。
ところが、今は違う。
から揚げ軍艦巻きが飛ぶように売れている。
「本当だ。子どもの食いつきがシャレになってない」
「この調子で、もっと子どもが好きそうなネタを増やそう」
「うむ。考えてみる」
その後、エィハスはコーンのバター焼きや、小さいエビフライを軍艦にのせてみた。
客から高評価を得て、エィハスも満足げである。
やっぱり、お客さん目線で入ってよかった。
チサちゃんの言うとおりだな。
「すごいよエィハス。ボクなんて、レーンを動かすことばかり考えていた」
そのせいで、子どももお寿司を食べるんだってことを、すっかり忘れていた。
「気づかせてくれて、ありがとう」
「何を言ってるんだ? 私はただ、ダイキのマネをしただけなんだ」
「ボクのマネを? どういうこと?」
「最初に、子どもでも食べられるメニューを作ろうって言い出したのは、他ならぬダイキじゃないか」
「そ、そうだっけ?」
謙遜するボクに、エィハスはさらに言葉を続ける。
「ダイキはネウロータと料理で戦うとき、審査員が子どもだって分かったからメニューを家庭料理にしただろ? 私も見習ったんだ。ダイキがいなかったら、こんな発想には至らない」
エィハスから、こんなにも感謝されるなんて。
お店に、ひときわ小さいお客さんが来た。
チサちゃんより細くて、小さいかも。一人なのかな?
白髪のロングヘアだが、老けた印象はなかった。
肌も白く、瞳の色が赤い。黒いドレスを着ている。
ゴスロリ調だけど、スカートの丈がやけに短くて肌の露出が激しい。
「いらっしゃい。お席にどうぞ」
チサちゃんの誘導で、少女は席に座る。
チサちゃんもお客さんなのに、優しさが出たね。
「あの子、カンパチって」
見た目は子どもみたいなのに、子どもらしくない寿司のチョイスである。
一口食べて、少女は微笑みながらうなずく。
「おいしいですか?」
「ま、まあまあだもん!」
ボクが声をかけると、少女はビクッとなる。
お金を置いて、少女は出て行こうとした。
「待って」
不審に思ったのか、チサちゃんは少女を呼び止める。
「問題点があった? 意見が欲しい」
「意見なんてないもん。すごくおいしかったもん」
何の感情も持ち合わせないかのような顔で、少女は答えた。
「価格も庶民的で手に取りやすいし、接客も完璧だもん。最大の魅力は、このギミックだもん。申し分ないもん」
まるでロイリさんみたいな口ぶりだなぁ。
「でも、お兄ちゃんの方がおいしいもん」
「お兄ちゃん?」
「あんたには関係ないもん。それじゃあ」
少女は、チサちゃんを押しのけるように去って行った。
あの子は何者なんだ?
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