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2-完 恋人たちの岬で

みんなで魔リカー

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 ボクとチサちゃんは今、ネウロータくんのお城に遊びに来ている。マミちゃん組と、魔リカーを遊んでいた。

「たっはー、また負けた!」
 ボクは、コントローラーを放り投げる。

「お前、これで七回目だぞ。谷底に落ちるの」
「アタシのスライムボールでスッテンコロリンするやつなんて、初めて見たわ! いつもノーコン呼ばわりされるのに!」


 ネウロータくん、マミちゃんにからかわれた。


 ボクのキャラはコントロールが利くタイプだ。
 が、ボクの判断ミスのせいで、何度もカーブから落ちてしまう。 

「ダイキ、運転ヘタすぎ」
 ボクの膝の間に座るチサちゃんにまで、バカにされる。

「免許はあるんだけど、ゲームは得意じゃないんだ」
「ウフフ、そういうことってあるわよね」
 ネウロータくんといい勝負をしていた、トシコさんが笑う。

「にしても意外だったよ。チサちゃんがゲームしたいなんて」

 ゲーム対決の言い出しっぺは、チサちゃんである。
 普段はアナログゲームが好きなのに、ネウロータくんの土俵に上がったのだ。

「新しい文化に触れることも大切。自分の主張ばかり貫きすぎると、老害になる」

「なんか、難しい言葉を知っているね」
 ともあれ、今回の件で、チサちゃんにも心境の変化があったのかも知れない。

「今度は、ボクに強いキャラを選ばせてよ」

「ペガサスがオススメです、ダイキ様」
 玉座組でぶっちぎりのビリであるケイスさんが、強いキャラをススメてくる。

 ボクのペガサスは、カーブを曲がれずに谷底へ落ちていった。
 コントロールが追いつかなかったのだ。

「またかよ、いい加減にしろよ!」
 呆れながら、ネウロータくんはゲラゲラ笑う。

「忖度プレイはほどほどにね!」
「いや、これ全力なんだけど……」

 マミちゃんの慰めが悲しい。

「キュラちゃん、大丈夫かなぁ?」
 つぶやくと、チサちゃんがボクの肩を叩く。

 キュラちゃんの判決が下るのが、今日なのだ。

 ネウロータくんの心境だと、おそらくゲームどころではない。

 少しでも気が紛れれば、とチサちゃんは思ったのだろう。

「今日のゲーム対決だって、ネウロータくんの緊張を解こうと思ったからだよね?」

 ボクが意見すると、チサちゃんは黙り込む。

「もうひと勝負」

 照れ隠しをするかのように、チサちゃんはコントローラを握った。

「最終的には、ダイキがキュラを説得した。ダイキの言葉は、きっとキュラにも届く。安心していい」

 主人公キャラを操るネウロータくんと競りながら、チサちゃんはボクを励ましてくれる。

「すごいね。言い切れるなんて」

「女のカン」

 きっぱり言い張るチサちゃんもスゴイね。
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