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第三部 今度は、スタンプラリーだ! ワケあり悪役令嬢とのデットヒート! 3-1 次なるライバルは、悪役令嬢!
レース開始!
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「騒がしい女の子だったね」
「もっと暗い子だと思っていたわ! 三層に進級して、キャラチェンジしたのかしら?」
腕を組みながら、マミちゃんがククちゃんの行った先を見つめる。
「そうなの?」
「ククってね、以前はあんなタカビーじゃなかったのよ!」
マミちゃんから、妙な話を聞いた。
「たしかに、ククは暗い女の子だった。話しかけづらくて、何を考えているか分からなかった」
人懐っこいチサちゃんですら、持て余す子だったらしい。
「あの男の子が玉座になってから、態度が急変したの! どうしてか、偉そうになったわ!」
「しかし、悪い子には見えません」
「そこなのよケイス! あんたも分かるようになったじゃない!」
マミちゃんが飛び上がって、ケイスさんの脇腹を蹴る。
「げふん!」
悶絶しつつも、ケイスさんは嬉しそうだ。
でも、ククちゃんとヨアンさんの間には、何があったのだろう?
「とにかく、キャラ変にはワケがあるようなのですが、我々は把握していません。何をしてくるかも未知数です。お気をつけて」
ケイスさんがボクたちにそう告げる。
「あたしとキャラがカブってるから、ちょっと気になるのよね!」
やはり、マミちゃんはきにしているようだ。
『ではみなさん、まもなくレースが始まります』
『その前に、大事なお知らせがあるで!』
まるで運動会の校内放送みたいな口調で、司会進行の羊魔王・ケモちゃんは話す。クモ玉座が後に続いた。
『レース中、いっさいの戦闘行為を禁止します!』
場内がざわつく。
「ケンカしちゃダメってことね⁉」
『せやねん。スタンプラリーはレクリエーションや。つまり、娯楽目的の企画やねんよ。おこで魔王同士がドツき合いなんかしたら、楽しいはずの祭りが血祭りになってまうやろ?』
マミちゃんの質問に、クモ玉座が丁寧に答えた。
「でも、LO戦はどうするの⁉」
『対戦形式は、レースでしたり、早食い、尻相撲など、戦闘以外で挑戦していただけます』
ケモちゃんの説明からして、LOとは戦わず、競技で決着をつけるようだ。
「分かったわ! 百%理解したわ!」
「ですが、ワタシは納得していません!」
珍しく、ケイスさんが手を上げて抗議する。
『どないしましてん、魔王マミ・ニムの玉座はん?』
「味方からの攻撃は、受けても構わないのでは?」
必死過ぎるケイスさんの形相に、クモ玉座は引き気味になった。
『それくらいなら、大丈夫でーす。叩いてもおフトンから出てこない人もいるくらいなのでー』
ケモちゃんからの回答に、ケイスさんはガッツポーズをする。よっぽどマミちゃんの攻撃を喰らいたいらしい。
『もちろん、車両同士をぶつけ合ったりしてはいけませーん』
最も大事そうに、ケモちゃんが告げる。おそらく、最初からの乱戦を避けるためだろう。こうでも言わないと、いきなり車両事故だらけの大惨事だもんね。
『では、位置について』
各々が、配置につく。
「チサちゃん、シートベルトは締めた?」
「ばっちり」
ボクたちは、ほぼ最後尾だ。高レベルで、後から十分追いつけるから。
マミちゃんは、ボクの後ろにいる。ネウロータくんチームなんて、もっと向こうにいた。
『では、カリダカ始まります。スタート!』
ブーッというブザー音が鳴り、各車両が一斉にスタートした。
「じゃあダイキ、お先に。第一チェックポイントで待ってるわ!」
「ごきげんよう」
ケイスさんのアクセルさばきで、マミちゃんのバイクは遥か彼方へと消えていく。
「じゃあ、わたしも。ウフフ」
トシコさんが、ボクたちの脇を横切る。
二つの車両は、もう姿すら捉えられない。後続だったはずなのに、いつのまにか最前列に陣取っていた。みんな、すごく飛ばすなあ。
「ボクたちは、のんびり行こう」
焦る必要はない。ボクは安全運転で先へと進む。
道は広く、追い抜こうと思えは追い抜ける。けど、娯楽ラリーと言われたばかりだから、急ぐのもなぁ。
「チサちゃんは、早く目的地に到着したい?」
「もう少し、のんびり走りたい」
窓に持たれながら、チサちゃんは視界に広がる光景を眺めていた。絵になる。
「分かった。窓の向こうでも見ていよう」
景色を楽しみながら、チェックポイントへと向かう。
そういえば、チサちゃんと一緒にこうやって同じ道を走るって、そんなになかったかも。今までは、お店を建てたり、困っている人たちを助けたり、何か目的があって行動してきた。
この旅は、自分たちを見つめ直すいい機会かもしれない。
「それにしても、スタンプラリーって面白いね。お遍路みたい」
「オヘンロ?」
「八十八箇所あるお寺を歩いて回る、大陸一周の修行旅のことだよ」
他にも、外国には「カミーノ」という、聖地を巡礼する長旅があるという。安宿に雑魚寝する人もいれば、高級ホテルで過ごす人もいるそうだけど。
この旅行も、それに近いのだろう。
「聖地巡礼という意味は、合っているかも」
チサちゃんから聞いた話だと、このスタンプラリーも聖地巡礼が元だという。各寺院を周り、悪い邪神を沈めたのが走りだったとか。
それに宗教性が消えて、今の形式になったそうだ。
「もっと暗い子だと思っていたわ! 三層に進級して、キャラチェンジしたのかしら?」
腕を組みながら、マミちゃんがククちゃんの行った先を見つめる。
「そうなの?」
「ククってね、以前はあんなタカビーじゃなかったのよ!」
マミちゃんから、妙な話を聞いた。
「たしかに、ククは暗い女の子だった。話しかけづらくて、何を考えているか分からなかった」
人懐っこいチサちゃんですら、持て余す子だったらしい。
「あの男の子が玉座になってから、態度が急変したの! どうしてか、偉そうになったわ!」
「しかし、悪い子には見えません」
「そこなのよケイス! あんたも分かるようになったじゃない!」
マミちゃんが飛び上がって、ケイスさんの脇腹を蹴る。
「げふん!」
悶絶しつつも、ケイスさんは嬉しそうだ。
でも、ククちゃんとヨアンさんの間には、何があったのだろう?
「とにかく、キャラ変にはワケがあるようなのですが、我々は把握していません。何をしてくるかも未知数です。お気をつけて」
ケイスさんがボクたちにそう告げる。
「あたしとキャラがカブってるから、ちょっと気になるのよね!」
やはり、マミちゃんはきにしているようだ。
『ではみなさん、まもなくレースが始まります』
『その前に、大事なお知らせがあるで!』
まるで運動会の校内放送みたいな口調で、司会進行の羊魔王・ケモちゃんは話す。クモ玉座が後に続いた。
『レース中、いっさいの戦闘行為を禁止します!』
場内がざわつく。
「ケンカしちゃダメってことね⁉」
『せやねん。スタンプラリーはレクリエーションや。つまり、娯楽目的の企画やねんよ。おこで魔王同士がドツき合いなんかしたら、楽しいはずの祭りが血祭りになってまうやろ?』
マミちゃんの質問に、クモ玉座が丁寧に答えた。
「でも、LO戦はどうするの⁉」
『対戦形式は、レースでしたり、早食い、尻相撲など、戦闘以外で挑戦していただけます』
ケモちゃんの説明からして、LOとは戦わず、競技で決着をつけるようだ。
「分かったわ! 百%理解したわ!」
「ですが、ワタシは納得していません!」
珍しく、ケイスさんが手を上げて抗議する。
『どないしましてん、魔王マミ・ニムの玉座はん?』
「味方からの攻撃は、受けても構わないのでは?」
必死過ぎるケイスさんの形相に、クモ玉座は引き気味になった。
『それくらいなら、大丈夫でーす。叩いてもおフトンから出てこない人もいるくらいなのでー』
ケモちゃんからの回答に、ケイスさんはガッツポーズをする。よっぽどマミちゃんの攻撃を喰らいたいらしい。
『もちろん、車両同士をぶつけ合ったりしてはいけませーん』
最も大事そうに、ケモちゃんが告げる。おそらく、最初からの乱戦を避けるためだろう。こうでも言わないと、いきなり車両事故だらけの大惨事だもんね。
『では、位置について』
各々が、配置につく。
「チサちゃん、シートベルトは締めた?」
「ばっちり」
ボクたちは、ほぼ最後尾だ。高レベルで、後から十分追いつけるから。
マミちゃんは、ボクの後ろにいる。ネウロータくんチームなんて、もっと向こうにいた。
『では、カリダカ始まります。スタート!』
ブーッというブザー音が鳴り、各車両が一斉にスタートした。
「じゃあダイキ、お先に。第一チェックポイントで待ってるわ!」
「ごきげんよう」
ケイスさんのアクセルさばきで、マミちゃんのバイクは遥か彼方へと消えていく。
「じゃあ、わたしも。ウフフ」
トシコさんが、ボクたちの脇を横切る。
二つの車両は、もう姿すら捉えられない。後続だったはずなのに、いつのまにか最前列に陣取っていた。みんな、すごく飛ばすなあ。
「ボクたちは、のんびり行こう」
焦る必要はない。ボクは安全運転で先へと進む。
道は広く、追い抜こうと思えは追い抜ける。けど、娯楽ラリーと言われたばかりだから、急ぐのもなぁ。
「チサちゃんは、早く目的地に到着したい?」
「もう少し、のんびり走りたい」
窓に持たれながら、チサちゃんは視界に広がる光景を眺めていた。絵になる。
「分かった。窓の向こうでも見ていよう」
景色を楽しみながら、チェックポイントへと向かう。
そういえば、チサちゃんと一緒にこうやって同じ道を走るって、そんなになかったかも。今までは、お店を建てたり、困っている人たちを助けたり、何か目的があって行動してきた。
この旅は、自分たちを見つめ直すいい機会かもしれない。
「それにしても、スタンプラリーって面白いね。お遍路みたい」
「オヘンロ?」
「八十八箇所あるお寺を歩いて回る、大陸一周の修行旅のことだよ」
他にも、外国には「カミーノ」という、聖地を巡礼する長旅があるという。安宿に雑魚寝する人もいれば、高級ホテルで過ごす人もいるそうだけど。
この旅行も、それに近いのだろう。
「聖地巡礼という意味は、合っているかも」
チサちゃんから聞いた話だと、このスタンプラリーも聖地巡礼が元だという。各寺院を周り、悪い邪神を沈めたのが走りだったとか。
それに宗教性が消えて、今の形式になったそうだ。
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