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3-2 みんなでキャンプ ~シコーシ湖畔キャンプ場~

第一チェックポイント 

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 約一時間ほど走っただろうか。荒れ地ばかりだった景色に、自然が増えていく。木々が生い茂り、大きな湖が見えてきた。

 ハチシャクで抜きつ抜かれつ、マイペースに飛ばす。

「眠くない、チサちゃん?」

 チサちゃんの魔力で、この車は動いている。エネルギー切れを起こさなければいいけど。

「大丈夫」

 まだ、チサちゃんは元気そうだ。そこまで燃費は悪くないか。

 旅って、車を運転していなくても眠くなってくるものだけど。

「だいたい、何日くらい掛かりそうなのかな、チサちゃん?」
「どんなにゆったりしても、一週間くらいって」

 手押し車の人がいるくらいだもんね。それでもすさまじく早くて、ドラゴンを追い抜いていたけど。ポテンシャルで言えば、彼が一番早いだろう。

 運転席に取り付けた、小悪魔型ナビを確認する。
 小悪魔の頭を指でコツンとすると、お腹にある地図が映し出された。
 地図には、赤い点が示されている。

「もうすぐ、目的地に到着しそうだね」

 あの湖あたりが、第一チェックポイントのようだ。

『ダイキ、ちょっといい?』
 ナビから、マミちゃんが声をかけてきた。

『今、ネウロータとチェックポイントについたのよ!』
「うわ、早いね。何をすればいいの」

『キャンプよ!』

「どんなトコロ?」

『【シコーシ湖】って湖のほとりよ!』

「すごい名前だね」

 一日目は、テントを張って過ごすそうだ。山を一望できる湖畔に、キャンプ場があるという。

『お昼から一泊して、翌日のお昼まで待機らしいわ!』

 お昼を食べた後、小さな山に登って、頂上でスタンプを押す。そこから夕飯、一泊して帰るのだという。

 ちなみに、飯ごうや焚き火台など、必要な装備はすべて会場で手に入る。

「楽しみだね」

『それでね、みんなでカレーを作ろうって話になったの! チサもどう?』
 マミちゃんが、チサちゃんに問いかけた。

「やる!」
 両手を上げて、チサちゃんは嬉しそうに返事をする。

「急いだほうがいいかな?」

 早く現場に向かわないと、丈夫なテントを先に買われるかも。
 山に登る時間もあるんだよね。

『食材は、みんなの分もこっちで買ったわ! あなたたちは自分たち用のキャンプ用品とゴハンを買いなさい! 場所取りはネウロータがバッチリしてあるから、安心なさい!』

 ネウロータくんとケイスさんが、それぞれ設営を。マミちゃんとトシコさんが、マキを集めているらしい。

「お昼ごはんも必要だよね?」

 結構、買うものが多いな。

『買わなくていいわ! お昼はみんなで食べましょ!』
「いいのかな」
『普段からお世話になってるもの! それくらいおごるわよ!』

 声のトーンからして、ボクたちに食べさせたいような感じだなぁ。
「ありがたく、ちょうだいするよ」
『覚悟なさい!』 
 ここは、お言葉に甘えることにしよう。


「ありがと、マミ。花火は売ってる?」
 チサちゃんが問いかけたが、マミちゃんは首を振る。

『あたしも探したけど、花火はなかったわ!』

 安全面を考慮してのことだろうか。大勢で花火をすると、テントに燃え移ったりして危ないもんね。

『その代わり、火を見て楽しみましょ! 心が落ちつくそうよ!』

「ねえ、場所取りと案内のお礼に、なにか買うよ。欲しいものはあるかな?」

 マミちゃんが、ネウロータくんペアにだけ、要望を聞く。自分の玉座には何も聞かないあたり、手慣れている。

『みんなにジュースを買ってきて! あと、山登り中に食べられそうなお菓子!』

「分かった。ありがとうねマミちゃん!」

 通信を切った。

「あ、あれだね」

 すぐに、キャンプ場が見えてきた。すぐ隣に、用品店が。

「午前中には、なんとか着いたね」

 パーキングには、すでに大勢のお客が。彼らは、全員が魔王なのだろう。

 ひときわ目を引くリムジンまで見えていた。ククちゃんも到着しているのか。

「ちょっとゴメンね」

 ボクはチサちゃんのシートに肩を回す。

 一度やってみたかったんだよね。女性は嫌がるらしいけど。
 
 どうにか一発で、駐車できた。

「ダイキ、バック駐車上手」
 チサちゃんが、頬を染めている。

「えっと、ジュースだったね」
 ボクは車を降りた。

「それと、お菓子」
 チサちゃんは、下車直後に伸びをする。やっぱり座りっぱなしは退屈だったよね。

「うん。先にキャンプ道具を見に行こうか」

 まず、ボクらはキャンプ用品を見て回った。
 どれもお手頃価格なので、予算は気にしなくていい。

「ダイキ、何を買えばいい?」
「最初は、寝袋とカトラリーだね」
「カトラリーって、なに?」
「お箸とかフォークとか、食器類のことだよ」

 カレー用だから、ちょっと丈夫なのを選ぶ。
 何が出てくるかわからない。割り箸も買っておくか。

 ガスコンロをカゴに入れる。焚き火台で調理してもいい。けど、ススが着いちゃうって聞いたから、コンロは不可欠だろう。

「ところで、キャンプ用品って、レンタルじゃないのかな?」
「宿に泊まれないトラブルがあったら、また必要になる」
「ちょっと怖いね」

 バイク旅なら、大きさなどを気にする必要がある。けど、今日は日帰りだから、考えなくていい。ボクらは車だし。
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