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3-2 みんなでキャンプ ~シコーシ湖畔キャンプ場~
一日目 終了
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「ドモドモー」
オンコが作業服姿で現れた。他のメンバーも勢揃いである。
「どうしたの、みんな? 暗い顔して」
「なんでもないよ」
心配させまいと、ボクは平成を装った。オンコたちが解決できる話じゃないし。
「それより、お願いできるかな?」
「任せておいてよ! その前に、いっただっきまーす!」
夏野菜カレーは、オンコたちにも気に入ってもらえたようだ。
「それにしても、このミルフィーユカツってのはおいしいな。発想が大胆だ。うちの店でも出そう!」
レースクイーン姿のエィハスが、ボクのカツを絶賛してくれた。そこまでなのか。料理人のお眼鏡にかなってうれしい。
「お野菜を素揚げしただけなのに、こんなにも味わいが深くなるなんて。学生たちの野菜嫌いも克服できそうです!」
ベルガが、学校のメニューにこのカレーを提供しようかと思案している。
「このカレーなる料理に使われるスパイスやハーブ、回復剤や毒消しにも使えるのである」
学者目線で、ゼーゼマンは語った。
「もう無くなりそうですね」
ベルガが言うが、カレー祭りは終わらない。
「まだ、とっておきがあるよ」
そう告げて、ボクが用意したのは、おうどんである。
実はこっそり、チサちゃんと小麦粉を使ってこねていたのだ。お米を炊いている間、ヒマだったし。
「切ったのは、チサちゃんだよ」
「ドヤア」
キメ顔をしながら、チサちゃんは麺棒でバッティングフォームを取る。
「で、ですね。このうどんをカレーの鍋にドッサリと」
カレーの中にうどんを投下した。よくかき混ぜて、和風のダシと混ぜる。
「できだよ。トマトカレーうどんだ」
全員に、お椀を回して実食だ。
麺をすすると、トマトの風味酸味が一気に鼻をくすぐった。
「これ、想像していた以上においしいよ」
涙が出るくらい、おいしい。
これを、ククちゃんたちに食べてもらえないなんて。
「ありがとうダイキ。おいしかった!」
「トシコさんとマミちゃんに感謝だね!」
味付けは、二人の担当だ。ボクは手を加えただけ。
腹ごしらえをした後、オンコは作業にかかる。
「あちゃあ、なるほどねえ」
ボンネットを見ながら、オンコはため息をつく。
「どんな感じ?」
「見れば分かるよ。ほれ」
オンコが、ボンネットを開ける。
ボクらは、どうしてククちゃんがリムジンなんて大きい車に乗っていたか理解した。
「こんな場所に、ヴァンパイア要素があったとは」
車体の半分が、棺桶の入るスペースだったのである。
「実際、乗り心地としてはどうなんだい?」
「非効率もいいところだね。かなり無理していると思うよ」
「どの程度ヤバイの?」
「ぶっちゃけ、霊柩車に乗って移動したほうがマシなくらい」
実際に、夜型のアンデッドは、ほとんど霊柩車を利用しているらしい。寝心地は段違いだから。
「リムジンなんて、車体はデカイわ燃費最悪だわで、見栄を張りながら運転するようなもんなのね。『俺様の魔力量スゴイ!』って感じで。だから、魔力総量の低いモンスターでは乗りこなせないわけ」
「たとえるなら?」
「箸より重いものなんか持ったことのない文化系のモヤシくんが、ゾウをリードで引っ張ってるのを想像してみて」
なるほど、無理だ。
「でも、指摘したところで、ククちゃんは意固地になるだけじゃないかな?」
さっきの様子を見ている限り、素直に聞き入れるとは思えないよね。
「かといって、棄権させるわけにもいかないわ!」
「任せてよ。みんなが出発する頃には、全部終わってるから」
どうやら、夜通しで作業するつもりだ。
「徹夜で? しんどくない?」
「慣れてるよ。それに、実際は朝までかからないから」
仮眠を取りつつなので、時間がかかるのだという。
「とはいえ、思っていた以上に手がかかりそう。応援を呼んだ」
数十人のドワーフたちが、駆けつけてくれた。
「いいかい? 目標は、エネルギー効率の充実! 速さとかは考えなくていいから」
「ウイッス!」
ドワーフたちから、威勢のいい声が上がる。
「じゃあ、メンテガレージまで運ぶから」
ドワーフたちが手分けして、近くのガレージまでリムジンを押す。
「報酬はこっちで渡すから、二人は何も気にしなくていいよ」
専門的な仕事なので、予算などは後ほどちゃんと請求するので、見積もりまで待ってくれとのことだ。
「セイさんに、費用を頼むから」
「わかった。助かるよ、オンコ」
「友達の頼みだもん。なんなりと言っておくれ」
「お願いします」
オンコと分かれて、寝る時間になった。
ボクらは、高床式テントを張る。思っていたより丈夫で、くつろげそう。
寝袋を敷くと、チサちゃんが一番乗りする。
「ダイキ。ここ、開いてますよ」
チサちゃんが、空席をポンポンと叩く。
「はいはい。お邪魔します」
ノリに便乗して、寝袋に入る。
「見て、チサちゃん」
ボクは夜空を指差す。
「星がすごくきれい」
チサちゃんもうんとうなずく。
「今日は楽しかったね。チサちゃん」
「色んな人とお話できて、楽しい」
次は、どんな旅が待っているんだろう。
「おやすみ、チサちゃん」
「ダイキ、おやすみ」
オンコが作業服姿で現れた。他のメンバーも勢揃いである。
「どうしたの、みんな? 暗い顔して」
「なんでもないよ」
心配させまいと、ボクは平成を装った。オンコたちが解決できる話じゃないし。
「それより、お願いできるかな?」
「任せておいてよ! その前に、いっただっきまーす!」
夏野菜カレーは、オンコたちにも気に入ってもらえたようだ。
「それにしても、このミルフィーユカツってのはおいしいな。発想が大胆だ。うちの店でも出そう!」
レースクイーン姿のエィハスが、ボクのカツを絶賛してくれた。そこまでなのか。料理人のお眼鏡にかなってうれしい。
「お野菜を素揚げしただけなのに、こんなにも味わいが深くなるなんて。学生たちの野菜嫌いも克服できそうです!」
ベルガが、学校のメニューにこのカレーを提供しようかと思案している。
「このカレーなる料理に使われるスパイスやハーブ、回復剤や毒消しにも使えるのである」
学者目線で、ゼーゼマンは語った。
「もう無くなりそうですね」
ベルガが言うが、カレー祭りは終わらない。
「まだ、とっておきがあるよ」
そう告げて、ボクが用意したのは、おうどんである。
実はこっそり、チサちゃんと小麦粉を使ってこねていたのだ。お米を炊いている間、ヒマだったし。
「切ったのは、チサちゃんだよ」
「ドヤア」
キメ顔をしながら、チサちゃんは麺棒でバッティングフォームを取る。
「で、ですね。このうどんをカレーの鍋にドッサリと」
カレーの中にうどんを投下した。よくかき混ぜて、和風のダシと混ぜる。
「できだよ。トマトカレーうどんだ」
全員に、お椀を回して実食だ。
麺をすすると、トマトの風味酸味が一気に鼻をくすぐった。
「これ、想像していた以上においしいよ」
涙が出るくらい、おいしい。
これを、ククちゃんたちに食べてもらえないなんて。
「ありがとうダイキ。おいしかった!」
「トシコさんとマミちゃんに感謝だね!」
味付けは、二人の担当だ。ボクは手を加えただけ。
腹ごしらえをした後、オンコは作業にかかる。
「あちゃあ、なるほどねえ」
ボンネットを見ながら、オンコはため息をつく。
「どんな感じ?」
「見れば分かるよ。ほれ」
オンコが、ボンネットを開ける。
ボクらは、どうしてククちゃんがリムジンなんて大きい車に乗っていたか理解した。
「こんな場所に、ヴァンパイア要素があったとは」
車体の半分が、棺桶の入るスペースだったのである。
「実際、乗り心地としてはどうなんだい?」
「非効率もいいところだね。かなり無理していると思うよ」
「どの程度ヤバイの?」
「ぶっちゃけ、霊柩車に乗って移動したほうがマシなくらい」
実際に、夜型のアンデッドは、ほとんど霊柩車を利用しているらしい。寝心地は段違いだから。
「リムジンなんて、車体はデカイわ燃費最悪だわで、見栄を張りながら運転するようなもんなのね。『俺様の魔力量スゴイ!』って感じで。だから、魔力総量の低いモンスターでは乗りこなせないわけ」
「たとえるなら?」
「箸より重いものなんか持ったことのない文化系のモヤシくんが、ゾウをリードで引っ張ってるのを想像してみて」
なるほど、無理だ。
「でも、指摘したところで、ククちゃんは意固地になるだけじゃないかな?」
さっきの様子を見ている限り、素直に聞き入れるとは思えないよね。
「かといって、棄権させるわけにもいかないわ!」
「任せてよ。みんなが出発する頃には、全部終わってるから」
どうやら、夜通しで作業するつもりだ。
「徹夜で? しんどくない?」
「慣れてるよ。それに、実際は朝までかからないから」
仮眠を取りつつなので、時間がかかるのだという。
「とはいえ、思っていた以上に手がかかりそう。応援を呼んだ」
数十人のドワーフたちが、駆けつけてくれた。
「いいかい? 目標は、エネルギー効率の充実! 速さとかは考えなくていいから」
「ウイッス!」
ドワーフたちから、威勢のいい声が上がる。
「じゃあ、メンテガレージまで運ぶから」
ドワーフたちが手分けして、近くのガレージまでリムジンを押す。
「報酬はこっちで渡すから、二人は何も気にしなくていいよ」
専門的な仕事なので、予算などは後ほどちゃんと請求するので、見積もりまで待ってくれとのことだ。
「セイさんに、費用を頼むから」
「わかった。助かるよ、オンコ」
「友達の頼みだもん。なんなりと言っておくれ」
「お願いします」
オンコと分かれて、寝る時間になった。
ボクらは、高床式テントを張る。思っていたより丈夫で、くつろげそう。
寝袋を敷くと、チサちゃんが一番乗りする。
「ダイキ。ここ、開いてますよ」
チサちゃんが、空席をポンポンと叩く。
「はいはい。お邪魔します」
ノリに便乗して、寝袋に入る。
「見て、チサちゃん」
ボクは夜空を指差す。
「星がすごくきれい」
チサちゃんもうんとうなずく。
「今日は楽しかったね。チサちゃん」
「色んな人とお話できて、楽しい」
次は、どんな旅が待っているんだろう。
「おやすみ、チサちゃん」
「ダイキ、おやすみ」
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