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最終部 決戦 風雲魔王城! 第一章 打倒勇者! 爆裂大運動会

ファーストステージ 天空障害物競走

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『第一種目は、天空障害物競走でーす』

 急に舞台が変わって、ボクたちは空に浮かぶ足場の上に立っていた。

「な、なんだ?」
「雲で、足場の下が見えないわ!」

 叫んでいるが、マミちゃんは楽しそうだ。

『みなさまー。こんにちはー。私は実況のベルガでーす』

 というか、司会はベルガである。

 ルールの説明によると、この先にある障害物を超えて、ゴールに向かうレースらしい。

『なお、会場を覆う雲ですが、無害です。これの下に落ちたら、落下地点の手前にワープしまーす』

 障害物はチェックポイント制になっていて、落ちても即脱落というわけではないという。

『見たほうが早いですねー。では、テストチャレンジャーどうぞー』
「む、この格好、割と恥ずかしい」

 テストプレイヤーとして現れたのは、女戦士エィハスである。
 ボクの初期装備『紫熊シグマ』のレプリカを着せられている。

「よーしいくぞ、エィハス!」

 前掛けのような玉座に座っているのは、ドワーフのオンコだ。

「暴れるなうわああ!」

 エィハスがフライング気味に、坂道を駆け下りていった。
 オンコがハシャイだせいで、変なスピードが出てしまっている。

「わああ。思っていた以上に動きづらい!」

 着ぐるみ姿のエィハスは、早足にならざるを得ない。

 第一チェックポイントには、巨大なピコピコハンマーが吊るされていた。
 左右に大きく揺れている。

『最初の難関は、ギロチンハンマーゾーンです。振り子ハンマーをかわしながら、前に進んでくださいねって言ってる側からハンマーヒット!』
「あああああ」

 足がもつれて転倒したエィハスに、容赦なくピコピコハンマーの洗礼が。

 雲の中へと、エィハスとオンコが消えていった。

 と思えば、スタート地点にワープする。

「はあはあ……死ぬかと思ったぞ」

『このように、チェック地点に戻されます。ご注意を』

 この競技では、三〇〇人が先にゴールすれば打ち止めらしい。

『ヨーイ、スタート!』

 号令が鳴って、競技が始まった。

 チェックポイントの、ピコピコハンマーが見えてくる。すごい迫力だ。

「ダイキ、前回り受け身!」
「よし!」

 ボクは柔道の要領で、前転をする。よし、ハンマーをかわしたぞ。

 しかし、ボクの隣りにいたプレイヤーが、ちょうど前転した先の落とし穴に落ちてしまった。

「落とし穴まであるのか!」

 トテトテと、早足で進む。

 遅い。

 これではたやすく、ハンマーの餌食になってしまうだろう。

「前回り!」
「うん!」

 ボクの前に座るチサちゃんを潰さないように、丁寧に前回り受身をする。

「わたしを気にしなくていい」
「でも」
「ダイキを信じてる」
「ありがとう、ほっ!」

 よし、ハンマーゾーンを越えた!

「うわ、マミちゃん!」

 あやうく、マミちゃんがハンマーにやられそうに。

「手を!」

 マミちゃんの腕を取って、引っ張る。

「ありがとうダイキ。あんたは当たろうとしないで、ケイス!」
「ぐほお! うおぁ……」


 マミちゃんが、ケイスさんの脇腹をカカトで蹴り上げた。

「申し訳ありません。つい、当たりたくなってしまって」

 なんて恐ろしいゾーンなんだ。
 競技を忘れさせるほど、真性のドM精神を呼び覚ますなんて。


 よし。ボクたちの仲間は全員、第一チェックポイントを通過した。
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