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4-3 ラストダンジョンへ!
据え膳食わぬは……
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セイさんの言葉が物々しい。
物騒な発言に、ボクは気持ちが引き締まる。
「お腹が膨れたら性欲を満たせ」といった、軽いノリではない。
「ここを抜ければ、ダンジョンも終盤です。が、攻撃も激しくなってきます。チサ様と言えど、最悪命を落とすかも知れません。なので、悔いの無きよう」
「そんなに厳しい戦いになるんですか?」
「これまで、ご経験されたことのない戦いが、待ち構えております」
百戦錬磨のセイさんに、そこまで言わせるとは。
いつ死んでもいいように、契りを交わしておけ、なんて。
魔王の提供するバトルは、だいたいコミカルさが含まれていた。なんとなく、乗り越えられるような。
今回は、そんな調子ではないのだろう。
「雰囲気が出ないようでしたら、また例のガスを発動しますが」
「結構ですっ」
あれは刺激が強すぎる。お互いが同意できないままに、行為に及んでしまいそうだ。
「相手の気持を思いやらない、独りよがりなエッチになりそうなので」
「そうですね。実際そうなりますから」
どうせするなら、切羽詰まってないほうがいい。
据え膳食わぬは男の恥、というけれど。
「寝ようか、チサちゃん」
「うん」
普段より、チサちゃんはグッタリしている。横になると、すぐに寝てしまった。
「ムリもありません。言葉にはしていませんでしたが、チサ様はずっと……その、軽くオーガズムに達しっぱなしだったので」
ボクと同じように性的な情報を送り込まれ、サキュバスの呪いを受けて、ムラムラしっぱなしだったという。
「ですが、大きい波がまったくこない、いわゆる寸止め状態を維持させられていました。脱出したことによって、興奮の糸が切れてしまったのでしょう」
「……なるほど」
「今は、ダイキ様の腕に抱かれているだけでも、満足げです。大切になさってください」
「はい。ではおやすみなさい」
ボクが横になると、部屋の明かりがひとりでに消えた。
みんなは、どうしているだろうか? 最後の部屋が意外と難所だったからな。みんな淫らになっちゃったのだろうか?
他の子たちを考えても仕方ない。どうせ、旅を続けていたら出会うんだ。
ボクは眠りにつく。
翌朝、ボクたちはセイさんの作った朝食を食べて、最後のエリアへ。
「ここからは迷宮はございません。ボスフロアのみです」
セイさんが、最後のフロアへ続く扉を開けてくれた。
「ごちそうさまでした」
「いってきます、セイ」
チサちゃんが頭を下げると、セイさんは黙礼する。
そこを抜けたら、あとは魔王ロイリさんと、最強の玉座である邪神ラヴクラホテプだけ。
たどり着いたのは、赤黒いオーラが立ち込める広場である。
目の前に、見覚えのあるシルエットが。
そこにいたのは、猫耳のフードを頭にかぶった褐色の幼女だった。足元に、スフィンクスを従えている。
あれが、ボスだろ……うっ!? あれは、どう見ても。
「……え、マミちゃん!?」
ボクたちの前に立ちはだかるのは、マミちゃんとケイスさんだった。
物騒な発言に、ボクは気持ちが引き締まる。
「お腹が膨れたら性欲を満たせ」といった、軽いノリではない。
「ここを抜ければ、ダンジョンも終盤です。が、攻撃も激しくなってきます。チサ様と言えど、最悪命を落とすかも知れません。なので、悔いの無きよう」
「そんなに厳しい戦いになるんですか?」
「これまで、ご経験されたことのない戦いが、待ち構えております」
百戦錬磨のセイさんに、そこまで言わせるとは。
いつ死んでもいいように、契りを交わしておけ、なんて。
魔王の提供するバトルは、だいたいコミカルさが含まれていた。なんとなく、乗り越えられるような。
今回は、そんな調子ではないのだろう。
「雰囲気が出ないようでしたら、また例のガスを発動しますが」
「結構ですっ」
あれは刺激が強すぎる。お互いが同意できないままに、行為に及んでしまいそうだ。
「相手の気持を思いやらない、独りよがりなエッチになりそうなので」
「そうですね。実際そうなりますから」
どうせするなら、切羽詰まってないほうがいい。
据え膳食わぬは男の恥、というけれど。
「寝ようか、チサちゃん」
「うん」
普段より、チサちゃんはグッタリしている。横になると、すぐに寝てしまった。
「ムリもありません。言葉にはしていませんでしたが、チサ様はずっと……その、軽くオーガズムに達しっぱなしだったので」
ボクと同じように性的な情報を送り込まれ、サキュバスの呪いを受けて、ムラムラしっぱなしだったという。
「ですが、大きい波がまったくこない、いわゆる寸止め状態を維持させられていました。脱出したことによって、興奮の糸が切れてしまったのでしょう」
「……なるほど」
「今は、ダイキ様の腕に抱かれているだけでも、満足げです。大切になさってください」
「はい。ではおやすみなさい」
ボクが横になると、部屋の明かりがひとりでに消えた。
みんなは、どうしているだろうか? 最後の部屋が意外と難所だったからな。みんな淫らになっちゃったのだろうか?
他の子たちを考えても仕方ない。どうせ、旅を続けていたら出会うんだ。
ボクは眠りにつく。
翌朝、ボクたちはセイさんの作った朝食を食べて、最後のエリアへ。
「ここからは迷宮はございません。ボスフロアのみです」
セイさんが、最後のフロアへ続く扉を開けてくれた。
「ごちそうさまでした」
「いってきます、セイ」
チサちゃんが頭を下げると、セイさんは黙礼する。
そこを抜けたら、あとは魔王ロイリさんと、最強の玉座である邪神ラヴクラホテプだけ。
たどり着いたのは、赤黒いオーラが立ち込める広場である。
目の前に、見覚えのあるシルエットが。
そこにいたのは、猫耳のフードを頭にかぶった褐色の幼女だった。足元に、スフィンクスを従えている。
あれが、ボスだろ……うっ!? あれは、どう見ても。
「……え、マミちゃん!?」
ボクたちの前に立ちはだかるのは、マミちゃんとケイスさんだった。
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