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3-6 堕天使を殴りに行きます 後編

弱点を探るジュエル

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 俺は、手に持ったオレンジ色のジュエルを手に取った。

「ほう。それがフィーンド・ジュエルか。なかなかの色合いではないか」

 ブラック・ドラゴンも、ジュエルの色に見とれている。

「手応えのある攻撃を頼むぞ」

 完全に、ドラゴンはこちらを舐めていた。敵と認識していない。いつでも踏み潰せると。

「後悔するなよ、デカブツ!」
「フン。期待せず、迎え撃つとしよう」

 相手は、こちらの煽りなど意に介さない。

 それが、お前の限界と知れ。

 とはいえ、このジュエルの特性はなんだ? サピィさえいれば。

 いや。サピィを救い出すためにも、俺は、このジュエルを使いこなす。

 ものは試しだ。やってやるさ。

「おらああ!」

 ディメンション・セイバーを、ドラゴンの胴体へ。複数の属性を、一度に放った。

 しかし、そのどれもがウロコによって弾かれる。

 属性効果には、変化なしと。

 だとしたら、なんだ?  銃に取り付けるなら、マガジンなどの薬室みたいな形になっているはずだ。

 堕天使兵の一人が、俺に槍を振りかぶってきた。ジュエルを持つ手の方を、狙ってくる。

「どけおらああ!」

 片手で刀を振り上げ、相手の胴を払う。

「ン? さっきの光は」

 とっさに判断できたのは、ジュエルが敵を映し出したからだ。そのとき、ジュエルはハンターの胴体へ、真一文字に光の線を描いていた。まるで、「相手のスキを教えてくれた」ような軌道を、ジュエルが示したかのように。


 まさか、このジュエルは。


「ブレスが来るぞ! フェリシアの後ろへ急ぐんだ!」

 トウコが合図をして、兵士たちが一斉にフェリシアの背後に回った。

 試しに俺は、ジュエルでブラックドラゴンを映し出す。

「あっ!」

 ドラゴンのノドが、わかりやすいくらいにまばゆい光を放つ。

「ランバート、早くしろ!」

 トウコが大きく手招きをしてきた。

 俺はトウコの体をすり抜け、フェリシアの腰にしがみつく。

「ちょっとランバート! こんなときにセクハラしないでよ!」
「あそこだ! フェリシア、銃を貸してくれ!」

 俺は、フェリシアのホルスターから強引に銃を引き抜いた。

 神の福音ゴッド・ノイズ、これならヤツの頭を吹っ飛ばせる。

「くらえドラゴン野郎! おらあああ!」

 ドボゥ……と、およそ銃からは発せられないだろう音が鳴り響く。まさに大砲だ。

 ヴァイパー族の王、ヴァスキーを破壊したときより遥かに巨大な火球が、ブラックドラゴンの頭を貫通した。ドラゴンのブレスなど、まるで問題にせず。

「バ、バカな。我が人間ごときに」

 ドラゴンはブレスで火球を押しのけるどころか、逆に飲み込まれてしまった。

 その勢いは、はるか上空にいる堕天使にまで及ぶ。天使たちの三分の一ほどを、蒸発させる。

「おい、ランバート。いくらなんでもヤバイぜ!」

 サピィ救出班をしてもらっているビョルンとリュボフに、危うく当たりそうになった。

「すまん! ビョルン!」
「ドラゴンをやったんなら、急げよ!」
「おう! うわああ」

 大量のジュエルとなって、ブラックドラゴンが溶けていく。

 やはりこのジュエルは、相手のスキや弱点を見つけ出す効果があるらしい。
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