レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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3-6 堕天使を殴りに行きます 後編

第三章 完 指名手配

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 塔の入り口まで送ってもらい、俺たちはビョルンと別れることに。

「またな、ランバート。コナツによろしく」
「ああ。伝えておくよ、ビョルン。地上に降りてくる機会があったら、また鍋をつつこう」
「かーっ、まいったね。あのメシを食えなくなるんだったな。どうしよっかな?」

 ビョルンが、調子のいいことを言う。

「なんだったら、届けてやるよ」

 ルーオンが、腰に手を当てながら自信ありげに告げた。

「いいのかい、ぼっちゃん?」
「この塔でもうちょっと修行したいし、今ならリックもいる。負ける気がしねえよ」
「そうかいそうかい。楽しみにしてるぜ」

 ビョルンはおどけているが、どこか悲しげな表情を覗かせる。

「今生の別れってわけじゃないから、いいじゃない」
「だな。ありがとうよ、リュボフ。そんじゃ。オイラたちはこの辺で」

 ビョルンが去ろうとしたところを、俺は呼び止めた。サピィも後に続く。

「なんだよ。オイラたち、夫婦水入らずでやっていこうと思ってるんだぜ?」
「本当に、地上で暮らすのか?」

 俺の問いかけに、ビョルンはハア、とため息をついた。

「オイラたちだけで話そう」と、回復の泉の場所まで向かう。
「……んだよ。気づかれちまったか」
「わかります。あなたは一度、死んだ身体です。再生に、神の力が使われました。あなたは生き返る代わりに、人としての生を終えたのではないですか?」
「ああ。そうだよ」

 サピィからの質問に、ビョルンは呑気に答えた。あくまでも、平静を装って。

「オイラは死んだ。で、正式に神のしもべとなった。リュボフとは夫婦になれたけど、完全な形では一緒にいられない」

 リュボフがビョルンの肩に触れようとした。

 しかし、すり抜けてしまう。

「な? こんな感じだ」
「それでいいのか、二人は?」

 覚悟したような表情で、リュボフは腹を擦る。

「いいの。あたしは、ビョルンの子どもを産むから」
「ご存知だったのですね。自身の体に起きていることが」
「以前から。だから、もういいの。ビョルンは神に仕える。わたしはこの地上を守る。それは、名誉なことなの」

 二人が納得しているなら、引き止めることはできない。

「わかった。じゃあ元気でな」
「おうよ。二人も、χカイなんかに負けるなよ」
「ああ」

 俺たちは、塔を後にした。

「じゃあなリック。ありがとう」
「礼を言うのはこっちだ。ルーオンとコネーホを守ってくれてありがとうよ、ランバート」

 握手を交わして、俺はヒューコを去る。



「ただいま……って、アレ?」

 なぜか、ダフネちゃんが後を付いてきていた。

「お前、ヒューコはいいのか?」
「はいです。あてくしの仕事は、あなたたちのサポートになりましたです」

 塔の管理で自由が効かないルエ・ゾンの代わりに、フィーンドジュエル系のアイテムを管理してくれるらしい。

 それはありがたかった。俺とコナツだけでは、作業の幅が狭い。

「コナツ。いま帰った」
「おう。無事だったか」

 なんだか、コナツのリアクションが薄い。

「まあ、座ってろよ。もうすぐメシが、できるから」
「歯切れが悪いな。どうしたんだ?」
「なんでもねえ」

 言葉ではそう言うが、コナツは振り下ろすハンマーに力が入っていない。

「これまで手に入れた、フィーンド・ジュエルを見てもらえるか?」
「ああ」

 ブラックドラゴンでゲットした【復活】の効果があるジュエルは、ビョルンの体内に埋め込んでしまった。

 残ったのは、ラムブレヒトの落とした分と、ペトロネラのジュエルである。

「堕天使の長まで、フィーンド・ジュエルに変えてしまうとか。とんでもねえな」

 言葉では絶賛してくれているが、コナツの目はジュエルに向いていない。

「どうしたんだ、コナツ? 今日はなんか、おかしいぞ」

 俺が声をかけると、コナツの子どもたちが騒いでいた。テレビに向かってなにかしゃべっている。

「とーちゃーん、またお友達がテレビに映ってるぞー」
「うるせえ! ランバートに見せるんじゃねえ!」

 珍しく、コナツが子どもたちに向かって怒鳴った。こんな風景、まず見ない。

 俺は、テレビに目を向ける。



『……秘密結社χカイの起こした一連の騒動に突きまして、政府はこの男を重要参考人として、世界で指名手配しました』



 政府がお尋ね者として公開した男の名は、クリム・エアハート。


 俺とコナツの親友だった。

 
(第三章 完)
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