レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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4-2 復興中の街を襲ってきた敵は、殴ります

魔物の襲撃

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「なるほど。あのフォート族がχカイの工作員だとすると、この穴もアジトに通じているわけですな」

 シーデーが、分析をする。

 おそらくクリムも、χの刺客と戦闘になったのだろう。俺たちと同じ答えにたどり着き、χの来た先を辿ったに違いない。

 目的地が同じなら、この道を辿ればクリムとも合流できる。

 シーデーが地面をコンと叩くと、道が崩れて洞穴が現れた。天井が高く、人が入っても余裕がある。

「よし。追跡しよう」

「しかし、ランバート殿。倒壊の危機がありますぞ」

 地下に大きく空いた穴を、シーデーが示す。

 軽く小突いただけで、地面に穴が空いたのだ。丈夫ではないだろう。

「ひび割れた道を辿っていけば、いいんじゃないか?」

「なるほど。それで参りましょうぞ」

 シーデーが追跡用ドローンを飛ばす。

「このドローンに、道案内をさせましょうぞ。では――」

 出発しようとしたら、端末から通信が。ギルドから緊急の依頼だ。

「どうした?」

「モンスターがルダニムの街を襲っています! ハンターが出払っていて、ギルドの職員だけで対処に追われています! 近場のハンターは、戻って討伐を願います!」

 キンバリーから、通信が入った。

「まずいな」

「ドローンだけを先に行かせて、我々は街の防衛にあたりましょう」

 サピィが提案する。

「そうした方がいい。戻るぞ」

 ハンターたちに、先を越される危険があった。しかし、魔物どもを放っておくわけにも行かない。街を破壊されては、クリムを見つけても連れ戻す手立てを失ってしまう。

 急いで、ルダニムまで戻った。

「魔物を街へ近づけさせるな!」

 リックが先頭に立って、街を防衛していた。一人でよく持ちこたえたものだ。さすが腕利きのハンターである。

 しかし、四方から襲ってくる魔物たちには対応できない。

「そっちは任せたぞ、リック!」

「ランバート! よく来た! 盛大にやろうぜ!」

「おう。おらああああ!」

 魔物の群れに向けて【ディメンション・セイバー】を打ち込む。

「おら、おら、おら!」

 サピィの運転するバイクを降りて、刀で魔物たちを斬り続けた。

 フェリシアとトウコ、には、負傷者の護衛と治癒を頼む。

 バイク形態から戻ったシーデーが、指マシンガンでザコ掃討を担当した。

 俺も追随する。

 だが刀が、クモの糸のような集合体に阻まれた。

「なるほど。やる奴がいるって聞いていたけど、本当のようね」

 妖艶な女性型のフォート族が、俺の刀を長い髪で握り込んだのである。

「すごい剣。壊す勢いで掴んでいるのに、ヒビ一つはいらないなんて」

「おらあ!」

 俺は隠し剣【黒曜顎コクヨウガク】を抜き、【ディメンション・クロー】でリーチを伸ばす。

 しかし、相手も俺の行動を読んでいた。とっさに離れる。

「その技は、部下との戦いで見たよ。【秘宝殺しレア・ブレイク】のおサムライさん。アタシは【死神】のファルチェ! χで作られたフォート族どものリーダーさ!」

 コイツは、【墓穴】より強いというのか。

「殴りウィザードと呼んでもらえるかな?」

「その姿で、ウィザードだなんてね。部下どもに様子見をさせていたけど、どうやらアタシ自ら出ないとダメだったようね。基地ごと来ちゃった」

 ドドオ……と地鳴りが響く。

「あれはなんだ!?」

 北西の方角を指して、リックが茫然となっている。

 タイヤの付いた大型船のような要塞が、こちらに迫っていた。

「この移動要塞で、この街ごと潰してやるよ!」

 ルダニムの街よりデカい。あんなものが街に入ったら、すべてが破壊されてしまう。

「【インフェルノ】!」

 巨大移動要塞の進行方向へ、サピィが炎系特大魔法を放つ。
 要塞が、軌道を変える。街へ入ってこない。

 シーデーの変形したバイクを駆りながら、サピィが要塞に近づく。

「チッ! 魔王の小娘が!」

【死神】のファルチェが、要塞に戻っていく。

「シーデー。迎え撃ちなさい!」
「承知!」

 サピィがシーデーに指示を出す。

 サイドカーが外れ、飛行自律兵器となってサピィを援護する。

 銃撃で牽制をかけて、サピィは死神を寄せ付けない。

 硬い装甲のせいで、ファルチェは銃弾を浴びても倒れなかった。しかし、要塞に近づけない。

「ランバート! わたしがあの要塞を止めます! あなたは、フォート族の足止めをお願いします!」

 シーデーのバイクによって、サピィは要塞の壁をよじ登っていく。

「させるか! 撃ち落とせ!」

 反撃しに来たクモ型の移動砲台を、サピィは稲妻の範囲攻撃で撃ち落としていった。

 クモやサソリの形をした移動砲台が、なおもサピィの行く手を阻む。

「リック!」
「おうよ! 銃は治ったぜ」

 リックが銃を見せる。ソードオフと、レジェンダリのハンドキャノンだ。

「おらおらぁ!」

 俺たちで、サピィをサポートする。

 クモが一発砲撃をするより、リックがリロードする方が早い。さすが一流のハンターだ。

 とはいえ、レアアイテムは落とさない。

「すまん。俺がいてはヤツを倒したところで、レアアイテムは出ないと思う」
「もう何も言わん。やっちまえ!」

 ウィザードとガンスリンガーによる、コンビの復活だ。
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