転生特撮ヲタ、異世界でダークエルフの霊にそそのかされてパワードスーツの開発をして、世界を救うことに。俺は特撮フィギュアが作りたいだけなのに。

椎名 富比路

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第三章 魔王、本格始動

第32話 悪党の本質

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 タキのブラックドラゴンに、オレはバイクを突撃させる。
 ラファロだったか……もうツッコまねえからな。

「真正面からの勝負かいな! 漢やんけ! せやけど、ナメすぎや!」

 ドラゴンの爪が、オレのシールドをかすめた。

 それだけで、ミスリル製のシールドに傷がつく。

「竜人族の炎すら弾く魔法の鉱石でも、ダメージが通るのかよ!?」
「安心したまえ」

 ミスリルのすごさを知るのは、ここからだった。傷を負った場所から、光が。

「傷が、ふさがっていく!」

 魔法石というだけあって、負傷箇所が自動的に修復されていく。

「ただし、使い手の魔力を大量に消費するけどね」

 戦闘中は、なるべく当たらないようにしたほうがよさそうだ。

「お前さんは、オレだけを狙っているって言ったな? どういう意味だ!?」
「あんたも飢えてんのやろ? こういうヒーロー的な活動に。ごっこやない。本物の」

 タキからの問いかけに、オレは何も言い返さない。言い返せなかった。

「この世界は、よく読んだ小説と同じや。『読者がイメージしやすいような』中世風の風景ばかりが広がっとる。敵も、『現実の街にいる、その辺のチンピラ』みたいなヤツラばかりやんけ。お前も見てきたやろうが。違うんか?」

 この世界はくだらないと。だから自分が変えなくては、とタキは主張してくる。

 タキは、自身こそ悪の役割にふさわしいと。

「……ちょっと前なら、お前に賛同していただろうな」

 オレだって、ヒーローに憧れていた。

 しかし実際の辛さを前にして、オレは戸惑っている。

 たしかにタキなら、オレの乾いた心を満たしてくれるに違いない。

 こいつも、オレと同じだ。ただの特撮好きで、ヒーロー物が好きで。オレと違って、こいつは悪役の方に惹かれているが。

 だが、タキの行動さえオレの望んでいる世界ではないと、今ならわかる。

「マーゴットとかいったな? お前はどうなんだ?」
「人類の支配は、我々魔族の共通目的ですわ。経緯はどうあれ、目的が達成されればよいのです」

 腰に手を当てながら、マーゴットは堂々と語った。

 なにも考えていないな、コイツは。

「タキに一任しているみたいな、言い草だな?」
「そうとも言いますわ。召喚された者の手綱を引くことが、召喚したものの礼儀。ただ、そのリードに引っ張られるものまた、楽しいのではなくて?」

 好き勝手やらせてやろうって腹か。
 これはこれで、厄介だな。
 めんどくさがりというより、放任主義で快楽主義のようだ。

 自分たちが面白ければ、世界なんてどうでもいいんだろう。

 彼女にとって、戦場は遊び場でしかないんだ。

 一歩間違えると、ウェザーズよりタチが悪くなる危険があった。
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