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第三章 魔王、本格始動

第38話 逆転

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「もろたで、ジェンシャンナイト・シェリダン!」

 タキが、背後から銃で狙っている。

「くっ」

 こちらは、シールドも防御に使っているため、反撃できない。

 だったら。

 敵の射撃と同時に、こちらも武器を展開した。

「ディスク・アックス!」

 空いている手から、斧を投げ飛ばす。

「なっ!?」

 相手の腕には足らなかったが、武器には命中した。

「ぬおっ!」

 タキの銃が暴発し、弾が魔王の目に直撃する。

 魔王が目をかばう。

 そのスキに、マーゴットが魔王の腹を殴った。

 しかし、魔王はとっさにローブで腹を守る。ダメージを吸収し、マーゴットに蹴り返す。

「しつこい男ですわ!」

 マーゴットは両手に火炎弾を作り出し、魔王に投げつけた。

 魔王はすべて、ローブで受け止める。

「加勢しに行かなくて、いいのか?」
「こっちは、お前を押さえるのがやっとや」
「俺は魔王の味方じゃない。共闘するなら手を貸す」

 こいつに、王都を攻める気はない。なら、厄介者をまず倒すべきだ。

「せやな。こっちの目論見がバレた以上、魔王に手を課す必要もないんやった。不意打ちって戦い方も、性に合わん。休戦と行こか」

 タキが、銃を拾う。

「ただし手は貸さん。休戦は一時的や。魔王を倒したら、次はお前やからな!」
「それでいい」

 共闘ではない。各々が魔王を倒す。これで話はまとまった。

 障害さえ消えれば、ソレでいい。

「ドクター・イシロウ。やはり我の邪魔をするか。己のローブで技を受け流されて果てるがよい」
「じゃかあしいわ! 無理した分の跳ね返りはキツイで!」

 タキが、珍しく格闘戦でローブを攻撃する。

「やけになったか、ドクターッ! こんな攻撃……ぬお!?」

 いつものように、魔王はローブで受け流そうとした。

 しかし、ローブが簡単に破れる。すぐにマーゴットが攻撃を繰り出す。

 魔王に、大ダメージが入った。

「残念やったな。そのローブとワシのインナーは、同じ素材なんや!」

 同じ力がぶつかり合うことで、威力が対消滅してしまう仕組みなのだ。

「ダメージを受け流す能力は、そこまで万能やあらへん。すぐに壊れてしまうんや。せやから装甲が必要やったっちゅうわけや」

 ローブの耐久値まで考えて、相手に渡していたと。どこまで狡猾な奴なのか。

「しかし、我にはウォリハルカニウムがついている。無敵・無限のエネルギーが!」

 胸部の装甲から、赤黒い宝玉が光りだす。

 おびただしいほどの魔力を放ち、マーゴットでさえ近づけない。

 だが、オレは宝玉の違和感に気づく。今までの輝きと比べて、どうもイビツだ。まさか。

「アホか。それも計算済みや」

 やはり、タキがなにか仕掛けていたか。

「まさか、宝玉が!?」

 赤黒い宝玉に、ヒビが入る。
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