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第二章 盗賊団のしまつ

第7話 盗賊団を退治する

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 盗賊団・ドクロ党のアジトを探している過程で、とんでもない情報を手に入れた。

 なんと、貴族の屋敷に盗賊団らしき人物が出入りしていると言うではないか。

「こんな目立つ屋敷に、ドクロ党がいるとは思えないけれど」

 壮大な館を前に、エリちゃんがつぶやく。

「評判は最悪みたいだけどね」

 聞けば、黒い噂の絶えない人物だという。絶大な権力を持ち、ギルドすら手を出せない連中だとか。そりゃあ、ギルドも機能しないよね。

「どうやって忍び込むの?」
「もち、掃除係として」
「やっぱり……潜入の予行練習だったのね?」

 というわけで、お掃除屋さんとして忍び込むことに成功した。

「準備はOK?」
「ええ。目潰し煙幕、なんでもござれよ」
「その方がいいよ」

 集団戦闘ではヘタに攻撃魔法を使うより、こういった攻撃のほうが有効だ。

 直接攻撃には、多少スキルを振っている。とはいえ僕たちはまだ、どっちも戦闘に慣れているわけじゃないからね。

「僕が遊んでいたゲームでも、序盤は催眠魔法が有効だったよ」
「言っている意味がよくわからないけれど、あんたが言うならそうなんでしょうね」
「信じてくれてありがとう。じゃあ、いくよ」

 掃除屋のフリをして、辺りを探る。

「薬草学もそうだけど、別のスキルも覚えたね?」
「ええ。一応は」

 僕たちは街じゅうのお掃除をする過程で、とあるスキルを習得した。これは、脱出などに有効のはずだ。

「麻薬に関連する資料を集めよう。それが最優先だよ」
「貴族が関わっている証拠をつかむのね?」
「僕たちなら探せるよ」

 掃除をしつつ、怪しまれないように書斎へGO。

 僕は、書斎を警備している衛兵の肩を叩く。

「ああ?」

 兵士が振り返る。

 だが、そこにいるのは僕じゃない。エリちゃんだ。

「は~い。一杯どう?」
「なっ」

 ボクは驚く兵士の首を後ろから腕で締め上げて、口を開けさせる。

 そこへ、エリちゃんが特製のポーションを飲ませた。

「おやすみ」

 衛兵は、長い夢の中へ。

 鍵開けのスキルを使用し、書斎へ忍び込む。

「これだわ。麻薬の調合法と、どこへおろすかの指示書よ!」

 となれば、ここはもう用済みだ。

 しかし、寝転がっている兵士が見つかってしまったらしい。

「誰だ。そこにいるのは!?」

 僕たちを追いかけてきたのは、盗賊団だ。三日月刀を手に、僕たちに襲いかかってきた。

「やるよ、エリちゃん。【パルクール】だ!」
「OK!」

 屋根や壁を伝って、ボクとエリちゃんは盗賊団から逃げる。わざと騒ぎ立てるように。屋根瓦などを激しく踏みしめる。

 僕たちが習得したスキルこそ、パルクールだ。シーフの持つスキルの一種で、応用がききそうだったので選んでみた。

 屋根瓦をダダダっと駆け抜ける。

 向こうも追ってきた。

 僕の足元に、矢が突き刺さる。僕は、止まらざるを得ない。

「ヘヘ、追い詰めたぞ!」

 切っ先を、盗賊団は僕に向けてくる。

 対するボクは、手に掃除用のモップしか持っていない。

「そら」
「ざけんな!」

 案の定、モップは切り落とされてしまう。

「あらら」

 短くなったモップを捨てる。

 武器を失い、万事休す……だが、この状態こそ狙い目だった。

「死ねえ!」

 盗賊が、今度は僕の首に狙いを定める。

 僕はしゃがむ。その際に、思い切り屋根瓦を破壊した。破片を払って、野盗ともの目を狙う。

 目潰しを食らって、野盗共が怯んだ。

「【居合】!」

 腰の巾着であるアイテムボックスから、僕は直接抜剣した。

「ぎゃう……」

 目から生気をなくし、盗賊は天井から転落していく。

「こいつ、冒険者じゃねえか!」

 バレたときにはもう遅い。ここからは遠慮せずに行くだけ。

「エリちゃん。攻めよう! 攻撃魔法も撃っていいと思う」
「ええ。いい的にさせてもらうわ! やられた仕返しもしなきゃ!」

 エリちゃんも、戦闘モードへ突入した。

 煙幕を辺りに撒き散らし、相手の視界を奪ってからの魔法攻撃を繰り出す。

 攻撃に、僕も混ぜてもらった。

 相手の顔に屋根瓦を投げつけ、振り返ったところで窓から足で組み付く。そのまま、窓の外へダイブしてもらった。狭い廊下だから、効果は抜群である。

「おっと」

 ひときわゴージャスな部屋に入ってしまう。

 メイドさんに囲まれ、お人形さんのような女性がベッドから半身を起こす。

「お騒がせして、すいません。避難したほうがいいです。経路はあっちへ」

 悪いのは貴族本人で、親族一同に罪はない。逃げてもらう。

 お嬢さんが撤退している間に、僕が壁役を務める。

「そらそら、どうした!?」

 僕の剣と、エリちゃんの放つ炎の矢で、盗賊団はほぼ壊滅した。

 ホントは、トキシックによる全体催眠ポーションで撃退するのが一番被害が少ない。

 だが、それじゃあダメだ。ボクたちの目的は、騒ぎを大きくすることだから。

「さてさて、地下には……ん?」

 地下には他に、牢獄しかなかった。

 大勢の女性や子どもたちが、捕らえられている。

「すぐに助けるよ。さあ、逃げるんだ!」

 鍵開けのスキルを駆使して、みんなを避難させた。

「最後は、ここだね」

 奥から、うめき声のような音が。
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