勇者が最速魔王討伐に夢中で世界が崩壊寸前。代わりに友人の僕が領地経営やモフモフ娘の救出など人助けしまくっていたら最強に

椎名 富比路

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第五章 天空城のあとしまつ

【加筆】第36話 王都の歴史を知った

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 その後、僕は技の練度を上げるために、クロードさんの元で訓練を始めた。
 宇宙人の対策、他の魔将の情報、僕に足りないスキルなどを学ぶ。

 王都での冒険者仕事も、たくさん受けた。

 特に、この一帯のダンジョンは興味深い。捨てられた宇宙船に、魔物が住み着いている。人工物と天然素材が合わさった、奇妙なダンジョンができあがっていた。

 大サソリが、カリカリという鳴き声を出しながら僕たちに立ちはだかる。

「そりゃ!」

 僕は、銃で魔物を撃った。クロードさんのお古を、イーサクさんに調整してもらっている。

 銃があったのには、驚いた、まあ、宇宙人がいるくらいだからね。

 弾丸は、サソリの硬い装甲を一撃で粉砕した。すごいよ、イーサクさんは。

「アユム、これあたしの短剣と同じ金属だ!」

 マルちゃんが、拾った素材を僕に見せてくる。

「ホントだ。あとでイーサクさんに加工してもらおう」
「おーっ」

 さすが、ハイレベルでないと立ち入れないダンジョンだ。とんでもない素材が、大量にある。こんな強いモンスターがいても、野心とかは持たないで住み着いているんだなぁ。

「ダンジョンを調査して、素材を取ってきて欲しい」という依頼なのだが、敵が強すぎて誰も入れなかった。そのせいで、より強いモンスターが増えてしまったらしい。

「宇宙人がいないぞ」

 たしかに。強い宇宙人などが、徘徊していると思っていたけど。

「ミサイルとかレーザーとかを出して、もっと派手に暴れまわっていると思っていた」
「そういう歴史は、あったみたいね。古戦場跡とか見に行ったけれど、細長い岩山がなにか熱の魔法で溶けていた痕跡があったわ」

 アムンセンのイーサクさんの店で得た魔導書を持ちながら、エリちゃんがモンスター相手に魔法を放つ。

 魔法で撃退されるってことは、この世界も相当に強い人達がいたってわけだ。今は勇者に頼りっぱなしで、見る影もないが。

「昔読んだSF小説で、軍隊が過去の時代にタイムスリップしたって内容があってさ」
「歴史が変わったの?」

 僕は、首を振る。

「補給ができなくて全滅した」

 エリちゃんとマルちゃんが、青ざめた。

「ここでも、同じことがあったはずよ。文明同士がぶつかり合って、共に滅びた可能性が高いわ」

 最初は蹂躙されっぱなしだったが、宇宙人と交流して技術を授かって抵抗し始めたと。

「クロードさんの文献にも、アムンセンが指揮を取ったと書いてあったね」

 最初は小さな国だったが、宇宙人の文明を極秘裏に集めて大きくなったという。

「アムンセンも、キレイなことばかりしていられなかったのね」
「……どうしたのエリちゃん?」
「ねえアユム。あなたもマルグリットも、私が王様の血を継いでいるってわかっても、普通に接してくれるのね? どうして?」


 エリちゃんは、王様と侍女の間に生まれた子だ。
 僕たちが旅をしていく中で、この話題は避けて通れない。


「エリアーヌはエリアーヌだぞ。別に気にしない」
「僕も、同じ考えだよ。キミにとっては、簡単に割り切れる問題じゃないだろうけどね」

 エリちゃんは、僕たちの言葉を噛みしめるかのように、じっと見つけてくる。

「本音を言うと、僕はユウキができないことをするだけだ。キミの出生とかは、正直関係ない」
「私のことより、勇者が心配だと?」

 僕は、肯定する。

「クロードさんから聞いた。ユウキは魔王退治を最優先しているわけじゃない。周りを助けたくても、助けられないからなんだって」
「どうして?」

 僕は一呼吸置いて、続けた。


「自分が、兵器として利用されるからなんだってさ」
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