新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

文字の大きさ
28 / 77
第四章 幼女、ドワーフと荒野を目指す(ちびっこ同士やな!

第28話 幼女、遺跡のボス戦

しおりを挟む
『アトキン、無事か?』

 メフティの操っているゴーレムから、ベヤムの声がした。
 
「おおお、おおきにな、ベヤム。そっちはどないや?」

『まったく問題はない。なあ、オレならそこの案内ができると思うんだ』

 ゴーレムの操作はメフティに頼んで、ベヤムがゴーレムの目になる作戦はどうかと提案してくる。

「ええな、それ。カニエ。一旦探索を打ち切るで。簡易的にでええから、ベヤムの目をゴーレムに追加や」

 ウチもこちらで、遺跡のアイアンゴーレムの目を奪う。

「ほんで、こうやってメフティのゴーレムと繋げて、っと」

 目が四個あるゴーレムが完成した。アイアンゴーレムのパーツも少し分けてもらい、ボディも強化してある。

『さすがアトキン先生ですね。即席で、そこまでパワーアップさせるなんて』

「おせじはええから、行くで」

 ウチは、遺跡の奥へ進むことに。

「ベヤム。壁画の解読を頼むわ」

『任せろ……順路は、コチラで合ってる』

 ゴーレムの後ろを、ウチらはついていく。

 見れば見るほど、近代的な建築物だ。この世界の文明とは、発想がかけ離れている。

「テネブライにも、電気や鉄鋼の文化があるとはねえ」

『この付近にはありませんが、ドワーフ産の列車があるくらいですから』

 たしかに。
 この世界には、列車もあるんだった。

 ウチは飛空艇も作ったし、自分だけならホウキで飛ぶ。
 そのため、列車なんて利用しなかったが。
 
「なんでドワーフは、こんな世界を作ったんや?」

『壁画の文章によると、瘴気避けのためだ』

「地下にあなぐらを作って過ごせば、テネブライの瘴気を回避して過ごせるのでは」と、ドワーフたちは考えたらしい。

 どこの奴らも、考えることは一緒だ。

 ウチにも、その発想はあった。森のダンジョンに入って、それは間違いだと気づく。
 
 瘴気は、大陸全土に広がっているのだ、地下や地上を問わず。
 
 ドワーフも、同じ発想と絶望に行き着いた。結果、悪魔に魂を売って、テネブライに身体を適合させたと。

『ここにいるゴーレムは、ダークドワーフと戦っていたドワーフ種らしいな』

 ドワーフの中で、衝突があったらしい。悪魔と契約してでも、テネブライへ積極的に攻め込もうとする者、おとなしくあきらめる者、そして、自力で制圧を試みる者が。

「同じドワーフで、対立があってんな?」

『ああ。なにが悲しくて、魔族なんかと手を組む必要があるのかと、この壁画には書かれている。もっと他にいい方法があるはずだと』

 ベヤムは壁画の文章を読みながら、ときどきため息をついている。
 
 ウチは古のドワーフたちを、弱虫と罵ることはできない。ウチだって、同じように肉体を魔物と融合させたのだから。

 やり方に違いはあれど、テネブライに住みたいという情熱だけは同じである。

 ダークドワーフもウチと同じように、テネブライの生物と融合すれば……。

 いや、それは酷というものだ。

 ウチがその考えに行き着いたのは、転生の経験があったから。
 魔族となったドワーフには、転生の概念自体がなかろう。

 単に、ウチは運がよかったのだ。魔族になる以外に、テネブライに入る方法があったから。

 でなければ……こんな姿にならなくて済んだだろう。

「あれが、ボスやねんな? ベヤム」

『そうだ。あれはドワーフの、変わり果てた姿だ』

 遺跡の地下深くに鎮座していたのは、二メートルもある巨人だった。機械仕掛けで、猫背のドワーフである。

 ドワーフが、ウチに気づいて起き上がった。そばに置いてある斧を手にして、振り回す。

「避けて、アトキン!」
 
 クゥハが前に出る。剣で、敵の斧を防いだ。

『パンチ!』

 メフティが、飛びかかって拳を振り下ろす。

 だがドワーフは、クゥハを盾にして攻撃させないようにした。

「回し蹴りにシフトしてください!」

『わかった。そりゃ!』

 クゥハの肩を踏み台にして、メフティがドワーフに回し蹴りを浴びせる。

 ドワーフの頭だった部分の、皮がめくれた。

 頭部には、ドワーフの脳らしき個体が、魔石に守られながら培養液に浸かっている。
 
「瘴気を動力にするってところまでは、たどり着いていたんやな」

 だが、そこで力尽きたと。テネブライの瘴気に汚染されて、死を迎えてしまった。
 ドワーフといった、生命的な感じはしない。ヨロイを身にまとった、ゴツゴツしたロボットと形容したほうがいいだろう。
 ここにいるのは、ドワーフの姿をしたアンデッドである。

「二人とも、手を出さんとってや」

「よろしいのですか、アトキン?」

「コイツは、ウチ一人で倒す」

 クゥハとメフティには、どいてもらう。

「大丈夫ですか、アトキン? なんだか、感傷的な表情になっていますが?」
  
「コイツは、ウチや……」

 テネブライに棲む魔族に魂を売らず、いかにテネブライで生きるか。模索の先にあったのが、この異形だったのだろう。
 
 同じような考えを持ったウチだから、彼がいかにテネブライで生きようとしていたのかがわかる。
 
「かなり強いですよ。魔族のちからを得ていないとは言え、強さはダークエルフに匹敵するでしょう」

「あんたと同じくらいは、強いってわけやな?」

 なら、ちょうどいい。

 コイツはウチ一人で、勝たなければならん。でなければ、過去の自分を超えられない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...