新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

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第四章 幼女、ドワーフと荒野を目指す(ちびっこ同士やな!

第29話 アンデッド・ドワーフ 対 幼女の戦い

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「アトキン、一人でも平気ですか?」

 ウチはクゥハからの質問に、うなずいた。

 とはいえ、一応聞いておく。
 
「殺しても、ええんよな?」

「はい。いっそ処分したほうがいいです。彼のためにも」

 もうコイツは、自分の意志を持っていない。テネブライの瘴気を克服できなかった。ただのモンスターである。
 
 さしずめ、アンデッド・ドワーフといったところか。

 こんな地下でくすぶってるくらいなら、成仏して転生したほうがいいだろう。

「メフティもええな? あんたからしたら、同族殺しになるけど」

『かまわないぞ。そいつはもうモンスターじゃんか』

 まだ幼くても、メフティには相手が手を組むべき同族か、敵かの判断はできるようだ。 
「お前も転生できたらええのう」

 ウチは、ドワーフのヨロイの隙間にレイピアを差し込もうとした。

 さすがに発想がイージーすぎたか、簡単に回避される。

 戦闘面では、やはりドワーフに分がありそうだ。

 おとなしく、魔法で戦うか。純魔らしく。

「鉄には電気や! 【サンダークロー】!」

 雷属性魔法を、鋭い爪として撃ち出した。

 たとえ傷をつけられなくても、感電はさせられるだろう。

「受け止めたら、死ぬで……てえ!?」

 ドワーフが、斧から衝撃波を放った。

 ウチが撃った雷の爪が、衝撃波で霧散してしまう。

「そんなことも、できるんかいな!?」

「瘴気の影響を受けていますからね」

 瘴気を魔力に変換させる機能が、備わっているのか。そこまでの技術を有していながら、ドワーフはテネブライの魔力に負けてしまったと。

 テネブライには、それだけ凶悪な魔力を放つ元凶がいるようだ。

 この恐竜型の遺跡も、おそらく地下を掘り進めるための掘削機だったのだろう。テネブライの土を食いながら、採掘した鉱石をその場で加工して、さらに掘削機をパワーアップさせて、テネブライの地下で定住を図ったのだ。

 おそらく、壊滅した理由は、水。

 あの水に脳を浸けたせいで、テネブライの魔力をモロにうけたか。
 イケると思ったんだろうな。
 動力源も、おそらくあの水だ。

 その水に浸かっている脳をこのレイピアで突き刺せば、一発で勝負がつく。
 相手の脳さえ破壊すれば、簡単にこのダンジョンはクリアである。

……だが。

「んなもん、なにが面白いんじゃ!」

 相手の弱点だけを突いたバトルなんぞ、全然楽しくない。
 効率だけを重視すれば、確実性が問われる。
 結果、しょうもない退屈なバトルが展開されてしまうのだ。

 なにが面白いのだろう? 

 このダンジョンをさっさと攻略して、次のダンジョンへ……という進行でもいい。
 それが、クレバーな戦いというものだ。
 
 しかし、ドワーフの全力を一切堪能せずに、ウチは勝ったと言えるのか?

 コイツは、言ってしまえばウチだ。ウチの影の部分である。

 影の部分を単に効率的な戦いで葬って、果たしてそれは勝ちか?

「ウチはこう見えても、プロレス好きなんよ」

 唯一の武器であるサーベルを、ウチは放り投げた。

「さ、お前もこんなもんとちゃうやろ! もっと全力でかかってこいや。そしたら、ウチも完全な姿で戦ったる!」

 ウチの挑発に呼応してか、遺跡全体が揺れ始める。

「きおったか!」

 床や天井が、ドワーフの下半身に集まっていく。

「おお、ええやん! その調子や!」

 この遺跡を埋め尽くしていた加工品はすべて、壁画のようにドワーフの文字が刻まれていた。
 その理由は、「魔法使いの干渉を受けて、武器として利用されるのを防ぐため」だった。
 ウチがアリ地獄や竜巻などを発動できなかったのか、魔法障壁による干渉があったためである。

 やはり、この遺跡はドワーフの武器だったようだ。

 ドワーフの下半身が、獅子の足となる。セントールのように、人間の上半身の下が、獅子の胴体に変形した。 

「それやそれ! それでこそ、やっつけ甲斐がある、っちゅうんじゃ!」

 ドワーフが、咆哮を上げる。

 よく見ると、頭まで獅子の顔になっているではないか。カブトを新調したようだ。

 斧の攻撃だけではなく、獅子の爪も警戒せねばならない。

 ウチは最大魔法、【シャドウフレア】で、灰色の疑似太陽を相手にぶつける。

 だが、斧で両断されてしまった。

「加勢しましょうか、アトキン?」

 クゥハが、剣を構える。
 
「いや。構わんとって。こっちにも、切り札があるねん」

「切り札ですか?」

「せや。カニエやドワーフとの共同研究で、ウチはさらに強くなってるんや!」

 ウチは、コツコツ積み上げてきたパーツを、アイテムボックスから一斉に出した。
 中には、遺跡から手に入れた鉱物を加工したものまで。
 遺跡と言っても、壁画や文字がすべてに刻まれているわけじゃない。未だ手つかずの、新しい鉱物も多かった。

 各部パーツに、ウチはツインテールの触手を内蔵させる。いわゆる、人工筋肉と、リアクターを兼ねて使うのだ。動力はすべて、リアクター代わりの触手を通す。ウチの魔力を使って、パーツを動かすのだ。

 ウチの身体が、アイアンゴーレムの体内に収納される。
 
 背中から飛び出しているもう二対の腕には、カニの魔物のハサミがついていた。
 
「これが、ウチの切り札。題して、【メカ幼女】や」
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