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第一章 幼少期編 まだ主人公がションベン臭いガキだった頃の話
侯爵令嬢 テオドーリヨ・マクファーレン
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「はあ? なによ。ザコをザコと言って何が悪いのよ?」
リヨは、悪びれない。
「アタシを召喚したくらいで、魔力切れでブッ倒れるなんて。童貞もいいところだわ」
ジロジロと、リヨが部屋全体を見回す。
活劇小説の主人公である魔法少女のポスターが、壁や天井に貼られていた。棚には、憧れの魔法戦士のフィギュアが置いてある。
「変身願望の強い童貞ね。美少女とお付き合いしたいのか、強い男になりたいのか。どっちなのよ?」
「童貞は関係ないだろ! 第一、ボクはまだ一二歳だぞ!」
呼び出した自分を差し置いて、クソザコ童貞呼ばわりとは。
さすがに頭にきた。
「アンタのオヤジは、今のアンタと同じ歳で長男を仕込んだわ。イクとこイッたら、R一五では済まないかもよ?」
父は子どもの頃から、相当マセガキだったらしい。
まあ、四〇超えてまだジョシュアを母親に産ませたくらいである。それくらいの絶倫だろう。
「大方、こんな美少女とお近づきになりたいと思っていても、努力の仕方がわからなくてモンモンとしてるんじゃないの?」
壁の美少女ポスターを見ながら、フリヨは鼻を鳴らす。
「ほっといてよ!」
「図星ね。こんなショボい挑発で、ムキになるなんて」
言い返せない。
「そんなんだから、いつまでたっても童貞なのよ、ざ~こ。アンタまだ毛も生え揃ってないんじゃないの? ちょっくら見せないさいよ」
いきなり、リヨがズボンを下ろしてきた。
「ちょっと何をするんだ!?」
必死でズボンを死守する。
「何ってナニを見るんじゃない」
リヨが、舌なめずりをした。
「やめなさい! わあーッ!」
ジョシュアのズボンが、フワリとドアの方へ舞う。
最悪のタイミングで、寝室のドアが開かれる。
「お、おはようございます、ジョシュア様」
若いメイドが、ジョシュアを食卓へ呼びに来た。ズボンが、メイドの顔に舞い降りる。
「あの、ジョシュア様?」
冷静に取り繕い、メイドは自分の顔からジョシュアのズボンを手に取った。
「ごごご、ごめんなさい!」
慌ててジョシュアは、下げられた下着を持ち上げる。
「話し声が聞こえてきましたが、どなたかいらっしゃるので?」
「なんでもないよ! 服は洗っておいて!」
「承知いたしました。ジョシュア様、朝食の支度ができましたので」
いきなり、リヨが「あーそれなら」と起き上がった。
急いで、ジョシュアはリヨの口をふさぐ。フェンリルが話せるようになったことを、知られるわけにはいかない。
「ど、どうも! 自分の部屋で食べるよ! この子にも食べさせてあげて。ステーキがほしいんだって! えっと、表面焦げ目で中はレア! ワインなんかいらないから!」
「ちょっとナニよ! ステーキにワインはつきものでしょうが!」
小声で、リヨがわめく。
「僕が飲むと思われるだろ? ボクは元服してないんだから」
「やっぱ童貞じゃない!」
「うるさい!」
どうにか、リヨを抑え込む。
「あの、ジョシュア様?」
「なんでもないよ! ちょっとアレだよ、アレ。わかるでしょ? ボクだって……男の子なんだ。わかるよね?」
メイドは困惑気味な顔になったが、すぐに立ち直る。
「なるほど」
下がっていた下着と舞い上がったズボンで、すべてを理解したようだった。
すべてはまるっきり誤解なのだが。
「かしこまりました。すぐにお持ちします。他にもお召し物をいただけますか? 洗濯いたします」
「ありがとう。着替えは、自分でできます! 洗い物はカゴに入れておくよ。その間に、ゴハンを持ってきて。リブロース表面焦げ目で中はレア。ワインとかは持ってこなくていいから。朝からお酒は控えなきゃ!」
「はあ……はい。失礼いたしました」
メイドが部屋から出ていった。
「なにすんのよ! お酒よこしなさいよ!」
「いきなり召喚獣がしゃべりだしたら、パニックになってしまうだろ!?」
下手をすると危険種と見なされて、殺されてしまうかも。
「いいじゃない! 三件隣に住んでるダチョウヒヨコなんて、自分の意思でダンジョンに潜るのよ? 鑑定しないとアイテムの価値もわからないクセに! しかもあいつ、その気になったら魔導書だって読むわ!」
乗り物として利用されるダチョウヒヨコの中に、その手の亜種がいるのは聞いたことがあったが。実在していたなんて。
「キミはダチョウヒヨコと違うだろ!」
「うるさいわね、結局ツルンツルンのくせに。お酒よこしなさいよ!」
「いいだろ別に! さっきから何を怒っているの!?」
「そりゃあ、お楽しみのところを中断されたら怒るわよ!」
リヨがテーブルをドン! と叩いた。
「こっちは召喚獣同士のハッスルを中断されて、気が立ってんのよ! ああもう、あとちょっとでアークデーモンに自慢の子種をブチ込めるところだったのに」
自慢話をしながら、リヨは毛づくろいを始めた。
「キミ、男なの? 女の子みたいな話し方だけれど?」
「はあ? アタシはオスよ。性別上だけど。魂はメスなの」
「どういうこと? そういえば、マクファーレンって!」
たしか義理の姉が、マクファーレン家の令嬢だったはず。長男ダミアンの奥さんだ。
「そうよ。アタシはマクファーレン侯爵一族の、第一令嬢だったの」
「じゃあ、ダミアン兄さんのお嫁さんは?」
「あれは妹よ」
「まさか、復讐のために転生を?」
リヨはいわゆる【悪役令嬢】で長男との仲を嫉妬した妹の手にかかった?
あるいは、処刑されたとか。
で、モンスターに転生して復讐するか、人生逆転を狙っているのかも?
ジョシュアがリヨの身の上を、妄想して吐き出す。
「はー。これだからバカなガキは」
呆れたように、リヨは首を振った。
「どこか、間違っていた?」
「まるで違うわ。アタシが死んだ原因は、ただの糖尿病よ」
「ええ……」
リヨは、悪びれない。
「アタシを召喚したくらいで、魔力切れでブッ倒れるなんて。童貞もいいところだわ」
ジロジロと、リヨが部屋全体を見回す。
活劇小説の主人公である魔法少女のポスターが、壁や天井に貼られていた。棚には、憧れの魔法戦士のフィギュアが置いてある。
「変身願望の強い童貞ね。美少女とお付き合いしたいのか、強い男になりたいのか。どっちなのよ?」
「童貞は関係ないだろ! 第一、ボクはまだ一二歳だぞ!」
呼び出した自分を差し置いて、クソザコ童貞呼ばわりとは。
さすがに頭にきた。
「アンタのオヤジは、今のアンタと同じ歳で長男を仕込んだわ。イクとこイッたら、R一五では済まないかもよ?」
父は子どもの頃から、相当マセガキだったらしい。
まあ、四〇超えてまだジョシュアを母親に産ませたくらいである。それくらいの絶倫だろう。
「大方、こんな美少女とお近づきになりたいと思っていても、努力の仕方がわからなくてモンモンとしてるんじゃないの?」
壁の美少女ポスターを見ながら、フリヨは鼻を鳴らす。
「ほっといてよ!」
「図星ね。こんなショボい挑発で、ムキになるなんて」
言い返せない。
「そんなんだから、いつまでたっても童貞なのよ、ざ~こ。アンタまだ毛も生え揃ってないんじゃないの? ちょっくら見せないさいよ」
いきなり、リヨがズボンを下ろしてきた。
「ちょっと何をするんだ!?」
必死でズボンを死守する。
「何ってナニを見るんじゃない」
リヨが、舌なめずりをした。
「やめなさい! わあーッ!」
ジョシュアのズボンが、フワリとドアの方へ舞う。
最悪のタイミングで、寝室のドアが開かれる。
「お、おはようございます、ジョシュア様」
若いメイドが、ジョシュアを食卓へ呼びに来た。ズボンが、メイドの顔に舞い降りる。
「あの、ジョシュア様?」
冷静に取り繕い、メイドは自分の顔からジョシュアのズボンを手に取った。
「ごごご、ごめんなさい!」
慌ててジョシュアは、下げられた下着を持ち上げる。
「話し声が聞こえてきましたが、どなたかいらっしゃるので?」
「なんでもないよ! 服は洗っておいて!」
「承知いたしました。ジョシュア様、朝食の支度ができましたので」
いきなり、リヨが「あーそれなら」と起き上がった。
急いで、ジョシュアはリヨの口をふさぐ。フェンリルが話せるようになったことを、知られるわけにはいかない。
「ど、どうも! 自分の部屋で食べるよ! この子にも食べさせてあげて。ステーキがほしいんだって! えっと、表面焦げ目で中はレア! ワインなんかいらないから!」
「ちょっとナニよ! ステーキにワインはつきものでしょうが!」
小声で、リヨがわめく。
「僕が飲むと思われるだろ? ボクは元服してないんだから」
「やっぱ童貞じゃない!」
「うるさい!」
どうにか、リヨを抑え込む。
「あの、ジョシュア様?」
「なんでもないよ! ちょっとアレだよ、アレ。わかるでしょ? ボクだって……男の子なんだ。わかるよね?」
メイドは困惑気味な顔になったが、すぐに立ち直る。
「なるほど」
下がっていた下着と舞い上がったズボンで、すべてを理解したようだった。
すべてはまるっきり誤解なのだが。
「かしこまりました。すぐにお持ちします。他にもお召し物をいただけますか? 洗濯いたします」
「ありがとう。着替えは、自分でできます! 洗い物はカゴに入れておくよ。その間に、ゴハンを持ってきて。リブロース表面焦げ目で中はレア。ワインとかは持ってこなくていいから。朝からお酒は控えなきゃ!」
「はあ……はい。失礼いたしました」
メイドが部屋から出ていった。
「なにすんのよ! お酒よこしなさいよ!」
「いきなり召喚獣がしゃべりだしたら、パニックになってしまうだろ!?」
下手をすると危険種と見なされて、殺されてしまうかも。
「いいじゃない! 三件隣に住んでるダチョウヒヨコなんて、自分の意思でダンジョンに潜るのよ? 鑑定しないとアイテムの価値もわからないクセに! しかもあいつ、その気になったら魔導書だって読むわ!」
乗り物として利用されるダチョウヒヨコの中に、その手の亜種がいるのは聞いたことがあったが。実在していたなんて。
「キミはダチョウヒヨコと違うだろ!」
「うるさいわね、結局ツルンツルンのくせに。お酒よこしなさいよ!」
「いいだろ別に! さっきから何を怒っているの!?」
「そりゃあ、お楽しみのところを中断されたら怒るわよ!」
リヨがテーブルをドン! と叩いた。
「こっちは召喚獣同士のハッスルを中断されて、気が立ってんのよ! ああもう、あとちょっとでアークデーモンに自慢の子種をブチ込めるところだったのに」
自慢話をしながら、リヨは毛づくろいを始めた。
「キミ、男なの? 女の子みたいな話し方だけれど?」
「はあ? アタシはオスよ。性別上だけど。魂はメスなの」
「どういうこと? そういえば、マクファーレンって!」
たしか義理の姉が、マクファーレン家の令嬢だったはず。長男ダミアンの奥さんだ。
「そうよ。アタシはマクファーレン侯爵一族の、第一令嬢だったの」
「じゃあ、ダミアン兄さんのお嫁さんは?」
「あれは妹よ」
「まさか、復讐のために転生を?」
リヨはいわゆる【悪役令嬢】で長男との仲を嫉妬した妹の手にかかった?
あるいは、処刑されたとか。
で、モンスターに転生して復讐するか、人生逆転を狙っているのかも?
ジョシュアがリヨの身の上を、妄想して吐き出す。
「はー。これだからバカなガキは」
呆れたように、リヨは首を振った。
「どこか、間違っていた?」
「まるで違うわ。アタシが死んだ原因は、ただの糖尿病よ」
「ええ……」
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