11 / 74
第二章 元・魔王四天王 シモン・セルバンデスの転職後の初陣
第11話 ブーニー・スラムができるまで
しおりを挟む
ヒナ王女は、この塔ができるまでの経緯を、詳しく聞かせてくれた。
「モン・バン。私がここを根城にしていたピーザンを撃退した話は
「ああ。経緯は、ブレンダから聞いた」
「そうですか」と、ヒナ王女は微笑む。
ほんとにこの女が、あの負けず嫌いを三時間ちょっとで倒したのか。
見た目は、虫も殺せないような女だ。しかし、俺はコイツに、ヨロイまで砕かれた。今は、ブレンダに修理してもらっている。
そこまでの強さを、ヒナ王女は秘めているわけだ。
「そこからが、大変でした。草や木も生えてこない、不毛の地でしたから」
「冗談だろ? ここは森が近くにあるじゃないか」
ダンジョンがあり、モンスターだって生息している。外に出ることはないが、割と強い魔物が生息しているのは、確認済みだ。
「後からピーザンが、連れてきてくれたのです。生態系を生み出すために」
それ以外は、ほぼすべてヒナ王女が畑を耕したという。
「一人でか?」
「ええ。時間はかかりましたが」
一年にも満たない間に、いろんなことがあったらしい。魔王に追われた難民をすべて受け入れて、建築もすべて任せた。
「俺が魔王城を出たのが、半年前だ。魔界からここまでたどり着くまでに、よくここまで作物を育てたな?」
「これのおかげです」
腰にかけているポーチに、ヒナ王女は手を入れる。ポーチの形だが、あれはアイテムボックスか。ポーチから、王女はじょうろを取り出す。象をデフォルメしたような、ファンシーな見た目である。だが、目は星のように光っていた。
「【促進のじょうろ】と言いまして、通常数ヶ月から一年ほど育てるのに時間がかかる作物が、一晩で育つのです。しかも、土地の栄養は失われません」
「そんなアイテムがあるのか」
「はい。この砦で、手に入れました」
マジなのか。この塔に、そんな秘密が。
「とはいえ、居住問題は解決しなかったですね。所有していた土地が狭かったため、住居を高く積み上げるしかありませんでした」
おそらく難民をすべて地面の上に住んでもらうとしたら、この倍の土地が必要だろうとのこと。
森に生息する魔物たちも、魔王派ではないモノたちばかりそうだ。
「また、ここは国境に位置しています。ここを拠点とすれば、魔王や隣の国のけん制になる」
だから、頻繁に土地が狙われたそうだ。
「砦があったくらいだもんな」
「幾多の戦闘で、各国がこの地に砦を作りました。入れ替わり立ち替わりで、この居住区の建築様式は、その名残です」
建物の法則性がないのは、そのためか。
「ですが、現在はエイジア国の所有となっています。そうは言っても、まだ戦火にさらされていますね」
「それだけ、うまみがあるってことか?」
「その原因が、こちらになります」
ヒナ王女は、さらに地下へと歩みを進めた。
俺も、ついていく。
「どこへ連れて行くんだ? 俺は、門番だ。外にいなきゃいけないんじゃないか?」
「外にはブレンダも、ピーザンもいます。地上では最強の二人がいれば、特に問題はないでしょう」
なんか、含みのある言い方だな。「地上では」、って。
俺が招かれたのは、谷底だ。
谷底のさらに下に、裂け目があった。それも、なにもない空間に。
なにか、虹色に光っている。各国の砦の跡が、まるでこの裂け目を守っているかのように建っていた。
「ここは、【次元の裂け目】といいます」
「ただの、谷底じゃないのか?」
ダンジョンに見えなくもないが。
「はい。私がこの地に呼ばれたのは、これのせいです。ここから現れる【異界からの侵略者】から、地上を守るように」
「モン・バン。私がここを根城にしていたピーザンを撃退した話は
「ああ。経緯は、ブレンダから聞いた」
「そうですか」と、ヒナ王女は微笑む。
ほんとにこの女が、あの負けず嫌いを三時間ちょっとで倒したのか。
見た目は、虫も殺せないような女だ。しかし、俺はコイツに、ヨロイまで砕かれた。今は、ブレンダに修理してもらっている。
そこまでの強さを、ヒナ王女は秘めているわけだ。
「そこからが、大変でした。草や木も生えてこない、不毛の地でしたから」
「冗談だろ? ここは森が近くにあるじゃないか」
ダンジョンがあり、モンスターだって生息している。外に出ることはないが、割と強い魔物が生息しているのは、確認済みだ。
「後からピーザンが、連れてきてくれたのです。生態系を生み出すために」
それ以外は、ほぼすべてヒナ王女が畑を耕したという。
「一人でか?」
「ええ。時間はかかりましたが」
一年にも満たない間に、いろんなことがあったらしい。魔王に追われた難民をすべて受け入れて、建築もすべて任せた。
「俺が魔王城を出たのが、半年前だ。魔界からここまでたどり着くまでに、よくここまで作物を育てたな?」
「これのおかげです」
腰にかけているポーチに、ヒナ王女は手を入れる。ポーチの形だが、あれはアイテムボックスか。ポーチから、王女はじょうろを取り出す。象をデフォルメしたような、ファンシーな見た目である。だが、目は星のように光っていた。
「【促進のじょうろ】と言いまして、通常数ヶ月から一年ほど育てるのに時間がかかる作物が、一晩で育つのです。しかも、土地の栄養は失われません」
「そんなアイテムがあるのか」
「はい。この砦で、手に入れました」
マジなのか。この塔に、そんな秘密が。
「とはいえ、居住問題は解決しなかったですね。所有していた土地が狭かったため、住居を高く積み上げるしかありませんでした」
おそらく難民をすべて地面の上に住んでもらうとしたら、この倍の土地が必要だろうとのこと。
森に生息する魔物たちも、魔王派ではないモノたちばかりそうだ。
「また、ここは国境に位置しています。ここを拠点とすれば、魔王や隣の国のけん制になる」
だから、頻繁に土地が狙われたそうだ。
「砦があったくらいだもんな」
「幾多の戦闘で、各国がこの地に砦を作りました。入れ替わり立ち替わりで、この居住区の建築様式は、その名残です」
建物の法則性がないのは、そのためか。
「ですが、現在はエイジア国の所有となっています。そうは言っても、まだ戦火にさらされていますね」
「それだけ、うまみがあるってことか?」
「その原因が、こちらになります」
ヒナ王女は、さらに地下へと歩みを進めた。
俺も、ついていく。
「どこへ連れて行くんだ? 俺は、門番だ。外にいなきゃいけないんじゃないか?」
「外にはブレンダも、ピーザンもいます。地上では最強の二人がいれば、特に問題はないでしょう」
なんか、含みのある言い方だな。「地上では」、って。
俺が招かれたのは、谷底だ。
谷底のさらに下に、裂け目があった。それも、なにもない空間に。
なにか、虹色に光っている。各国の砦の跡が、まるでこの裂け目を守っているかのように建っていた。
「ここは、【次元の裂け目】といいます」
「ただの、谷底じゃないのか?」
ダンジョンに見えなくもないが。
「はい。私がこの地に呼ばれたのは、これのせいです。ここから現れる【異界からの侵略者】から、地上を守るように」
0
あなたにおすすめの小説
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる