失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第三章 元暗黒騎士、副業する

第25話 一触即発?

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 やばい。これは、ドラゴンとの戦闘になるかも。

 カメラを構えつつ、俺は黒雷をいつでも呼び出せるようにした。

 だが、ドラゴンは腕をヒョイと治療し、ケロッとしている。あのぶっとい腕を、一瞬で回復させたのか。とんでもないな。

「うむ。非礼を詫びよう」

 なんだ? 急に言うことを聞くようになったが。ヒナ王女に怯えた様子も、どうやらない。舐めプか?

 ドラゴンが、列に並ぼうとした。

「お待ち下さい」

 ヒナ王女が、ドラゴンを呼び止める。
 
「ドラゴンの方、お引き取りを」

 またも、ヒナ王女が争いの火種を起こす。

「なぜだ? 我は、なにもしない」

「お客様が怯えていらしています」

 たしかに、数名の客たちはドラゴンに恐れをなしていた。
 そりゃあ、殴られかけたのだからな。当然である。

「あなたのようなクレーマーがいては、他のお客様の御迷惑になります。お帰りください」
 
 ヒナ王女は、せっかく落ち着いた客を、迷惑だと断じた。

 今度こそ、まずいんじゃないか?

「竜王の使いで、参ったのだ。手ぶらでは帰れぬ」

 ドラゴンは、食い下がった。

 しかし、ヒナ王女は首を横に振る。

「モナカは、通販でお送りいたします。今回はなにとぞ、お引き取りを」

 これは、一触即発か?

「事を起こしたければ、どうぞ。ただ、日を改めていただきたく」

「それもそうだな」

 しかし、ドラゴンの反応は予想外だった。
 
「うむ。承知した。モナカが手に入ればよいのだ」

 ドラゴンは、大人しく列から抜けたのである。その場から、飛び去った。

「いいのか、帰してしまって?」
 
「構いません。時間を改めていただくだけです。モン、モナカを包んであげてくださいませんか?」

「あ、ああ。わかった」

 俺が店員の代わりに、モナカを包む。

「これでいいか?」

「宛先はこちらで書きます。お疲れ様でした、モン・バン」

 その後、ホントに何事もなかった。

 ドラゴンが因縁をつけてくる気配も、ない。

 次元の裂け目は、ピーザンが担当した。

「久々のバトルで、白熱したぞー」

 また、アイテムを得ている。
 
「なあ、ピーザン。あのドラゴン、またやってくるかな?」

 ドラゴンの生態や性格なら、同じ竜族であるピーザンのほうが詳しいだろう。

「必ず来るぞー。あそこまで、コケにされたからなー。黙っているはずがないだろー」
 
 ピーザンはまるで、「早く来てくれないかな」とでも言いたそうな顔をしていた。


 数日後、本当にドラゴンが来た。ちゃんと、日を改めて。

「今度こそ、決着をつけに来た。お互い死力を尽くそうではないか」

「そういう戦いに、なればよろしいのですが」

 息巻くドラゴンに対して、ヒナ王女は少し退屈そうに見える。
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