追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。

椎名 富比路

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第四章 海賊退治と黒幕

第43話 夫婦の初デート

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 遺跡の探索は、ヘニーとレフィーメたちに任せる。

 彼女たちが、自分たちで行きたいと言い出したのだ。

 で、僕たちにはなにをさせるつもりだったのかというと。

「のうディータ、これちょっと派手すぎやせんかのう?」

 カジュアルな服装に着替えたリユが、ボクの前に現れた。

 僕の方も、いつもの冒険者風ではない。よそ行きのちょっといい感じの服装だ。

「なにを言いますか、リユお嬢様。とってもお似合いですよ。さすがそれがしの見立てどおり」

 コーディネートしたカガシが、得意げに背筋を伸ばす。

「ありがとう、カガシ。リユもキレイだよ」

「それはよかった。じゃあ、行くぞディータ」

 リユが、僕の手を握った。

「ああ。それがしも、お二人の逢引に同行させていただきたいのですが、遺跡捜索がありますのでっ」

 そう、僕たちはデートをする。リユが行きたがっていた港を、案内するのだ。

 このデートは、ヘニーたちが提案してくれた。「少しはリユに、夫婦らしいことをしてあげろ」と。

「気をつけいよカガシ。なにかあったら、花火を上げえよ。おめえはただでさえ、独断専行がすぎるけん」

「重々、承知しました。では行ってらっしゃいませ」

 カガシの敬礼に見送られて、僕たちは港街へ。

「ほほお。移動要塞とは切り離せるんじゃのう?」

 舗装された街道を歩き、リユがワイワイと飛び跳ねる。

「そうだよ。生活空間は高い壁に守られているから、要塞がなくなっても安全だ」

 いざとなったら、街ごと脱出船として活用もできる。そんなことが起きないようにするのが、領主である僕の仕事だ。

 アクセサリやバッグなどを見て、スイーツで休憩を取ることにした。

「これ、うまいのう。上にアイスがのっとる」

 ベンチに腰掛け、二人で屋台のクレープを食べる。

「ほっぺについてる」

「んふふ。まさか、茶屋で殿方と、こんなデートをすることになるとはのう」

「したことないの?」

 リユは美人だから、案外モテそうだが。

「故郷では、剣術の稽古ばっかりじゃった。友人が茶屋で殿方と団子を食っとる横で、アタシは木刀を振り回して汗をかいておった。それが正しいんじゃと思って。じゃがアタシは、誰のために剣を振るうんかまでは、考えておらんかったのう」

 僕たちのようにスイーツを食べているカップルに、リユは慈愛の眼差しを向けている。

「アタシが戦う理由は、あの景色を守るためじゃ。それを教えてくれたんは、ディータじゃ」

「え、僕が?」

「おめえはアタシに、人を好きになることを教えてくれた」

 僕は思わず、生クリームをゴクリと飲み込んでしまった。

「ゴホゴホ!」

「大丈夫か、おめえ?」

 リユが、僕の背中をさする。

「た、高台に行こう。花火が見られるよ」

 夕方になり、僕は高台にあるスカイレストランへ。

「うおお、寿司と刺身じゃ。こんな土地まで来て、刺身にありつけるとは」

 魚介をふんだんに使った料理に、リユは目を丸くした。

「カガシから教わった技術で、料理人が作ったんだ」

「じゃが、こんな高い料理、ヤバイんじゃねえのけ?」

「平気だよ。この間作った装備品の方が値が張るんだよ?」

「それでも、こんなにしてくれて。ディータには、感謝しかねえわい」

「僕の方こそ、ありがとう。ホントのお嫁さんになってくれて」


「あ、あの!」

 リユがテーブルから身を乗り出す。

「あの、ぜひ父におめえの紹介を――」

 そこで、赤い花火が上がる。

 街を彩る工夫はない。何かを知らせるために打ち上げる灯りだ。

「遺跡の場所が、わかったみたいだね」
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