53 / 269
激辛カレーライスは、罪の味ィィィィィ! ~オタカフェの激辛カレーライス~
トッピングで、罪の上乗せ
しおりを挟む
「何があるのでしょう?」
「トンカツ、から揚げ、生卵を選べます」
夢のラインナップですね。
しかし、おごってもらった身で贅沢に走るのは、気が引けます。
「好きなのを頼んでちょうだいね。あたしも好みのトッピングを選ぶわ」
ヘルトさんは、遠慮しなくていいと言ってくださいました。
「ではですね……トンカツをください」
「いいチョイスだわ。カツカレーは、定番よね」
子爵とヘルトさんは、どちらも生卵をオーダー。
「そちらもいいですね」
数分後、ミニのローストンカツがわたしのカレーに乗っかります。
トンカツの上に、カレーをかけました。いただきます。
これは、罪深い……。
サクサク! 肉厚なロースなので、もっと固めのカツを連想したのですが。これは柔かいです。
ライスとの相性が最強だったポークカレーとはまた違って、こちらはライスを身体が欲しますね。こんな発見があるとは。
「そちらは、生卵ですね」
ヘルトさんと子爵が、小鉢に卵を割って落とします。
殻が入っていないかチェックをして、カレーライスへインしました。
「辛味がマイルドになるのよ」
子爵は、カレーと卵をかき混ぜて食べます。
「う~ん、辛味を抑えつつ、たまに辛さがガツンと来るのがいいわね!」
スプーンを握りしめながら、子爵がうなりました。
下品にカチャカチャと食器を鳴らしながら食べるのが、またおいしそうですね。
「それなら、わたしにも食べられそうですね」
「なら、食べてみる?」
「ぜひぜひ」
トンカツをお二人に分けて、わたしは再度激辛カレーに挑みます。
別のスプーンを頂いて、ほんの一口分だけ。
「うん、これはおいし……うえええええ! やっぱり辛ええええっ!」
頭に星がまたたきました。舌がただれそうです。
「これは、脳を破壊しますね」
まろやかになったのは確かなのですが、辛いところを食べると余計に刺激が強くなっていました。
「アークデーモンが卒倒するくらいの辛味成分が入っているわよ」
看板に、偽りはありません。
カツカレーで、舌を潤します。ああ、脂を食べると癒やされますね。
夢のようなひとときは、あっという間に過ぎました。
「もう三〇手前なのよ、ヘルト。アンタもいい加減オトコを作りなさいよ」
「師匠に言われたくないわよ!」
食後のコーヒーとデザートのチョコケーキをいただきながら、ガールズトークに花を咲かせます。いわゆる女子会です。男性も混じっていますが。
「クリスちゃんは、教会で男性関係の話とかはしないの? 師匠みたいな性別不詳な人は別として」
「まったく。でも女性同士でお話は、しますね」
教会でのチートデイも、本来は女子会のように語り合うことも目的の一つなのです。
神に仕えるものは修行を突き詰めると、どうしても神との対話メインになります。結果、孤立してしまいますからね。
「ごちそさまでした」
はあああ。しあわせでした。
辛いものを頂いたときは、どうなることかと思いましたが。
「また来てちょうだい。今度はアタシがごちそうするから」
子爵に見送られ、オタカフェを後にします。
教会までヘルトさんに馬車で送ってもらいました。
「おかえりなさい。ちょっといいクリス?」
帰ってきて早々に、エマさんに手を引かれます。
「何事ですか?」
「実は、ピザがワンセット余ってしまったのよ。みんな、お腹いっぱいだって言うのよ」
どうやら、わたしの帰り待ちだったようでした。
「ちゃんと温め直しましたよ、クリス先輩」
たしかに、ピザからはホカホカの湯気が立っています。
「ヘルトさんは?」
後ろにいるヘルトさんに尋ねました。
「まだまだ入るわ。シスター・エマ、あたしもいただいていいかしら?」
「もちろんよ、ヘルト! ぜひ食べて! お酒なら付き合うわ!」
エマさんがヘルトさんを歓迎し、ワインまで用意します。
「いただきまーす……ぐえええ辛えなクソッタレええええええ!」
タバスコがかかってやがった!
(激辛カレーライス編 完)
「トンカツ、から揚げ、生卵を選べます」
夢のラインナップですね。
しかし、おごってもらった身で贅沢に走るのは、気が引けます。
「好きなのを頼んでちょうだいね。あたしも好みのトッピングを選ぶわ」
ヘルトさんは、遠慮しなくていいと言ってくださいました。
「ではですね……トンカツをください」
「いいチョイスだわ。カツカレーは、定番よね」
子爵とヘルトさんは、どちらも生卵をオーダー。
「そちらもいいですね」
数分後、ミニのローストンカツがわたしのカレーに乗っかります。
トンカツの上に、カレーをかけました。いただきます。
これは、罪深い……。
サクサク! 肉厚なロースなので、もっと固めのカツを連想したのですが。これは柔かいです。
ライスとの相性が最強だったポークカレーとはまた違って、こちらはライスを身体が欲しますね。こんな発見があるとは。
「そちらは、生卵ですね」
ヘルトさんと子爵が、小鉢に卵を割って落とします。
殻が入っていないかチェックをして、カレーライスへインしました。
「辛味がマイルドになるのよ」
子爵は、カレーと卵をかき混ぜて食べます。
「う~ん、辛味を抑えつつ、たまに辛さがガツンと来るのがいいわね!」
スプーンを握りしめながら、子爵がうなりました。
下品にカチャカチャと食器を鳴らしながら食べるのが、またおいしそうですね。
「それなら、わたしにも食べられそうですね」
「なら、食べてみる?」
「ぜひぜひ」
トンカツをお二人に分けて、わたしは再度激辛カレーに挑みます。
別のスプーンを頂いて、ほんの一口分だけ。
「うん、これはおいし……うえええええ! やっぱり辛ええええっ!」
頭に星がまたたきました。舌がただれそうです。
「これは、脳を破壊しますね」
まろやかになったのは確かなのですが、辛いところを食べると余計に刺激が強くなっていました。
「アークデーモンが卒倒するくらいの辛味成分が入っているわよ」
看板に、偽りはありません。
カツカレーで、舌を潤します。ああ、脂を食べると癒やされますね。
夢のようなひとときは、あっという間に過ぎました。
「もう三〇手前なのよ、ヘルト。アンタもいい加減オトコを作りなさいよ」
「師匠に言われたくないわよ!」
食後のコーヒーとデザートのチョコケーキをいただきながら、ガールズトークに花を咲かせます。いわゆる女子会です。男性も混じっていますが。
「クリスちゃんは、教会で男性関係の話とかはしないの? 師匠みたいな性別不詳な人は別として」
「まったく。でも女性同士でお話は、しますね」
教会でのチートデイも、本来は女子会のように語り合うことも目的の一つなのです。
神に仕えるものは修行を突き詰めると、どうしても神との対話メインになります。結果、孤立してしまいますからね。
「ごちそさまでした」
はあああ。しあわせでした。
辛いものを頂いたときは、どうなることかと思いましたが。
「また来てちょうだい。今度はアタシがごちそうするから」
子爵に見送られ、オタカフェを後にします。
教会までヘルトさんに馬車で送ってもらいました。
「おかえりなさい。ちょっといいクリス?」
帰ってきて早々に、エマさんに手を引かれます。
「何事ですか?」
「実は、ピザがワンセット余ってしまったのよ。みんな、お腹いっぱいだって言うのよ」
どうやら、わたしの帰り待ちだったようでした。
「ちゃんと温め直しましたよ、クリス先輩」
たしかに、ピザからはホカホカの湯気が立っています。
「ヘルトさんは?」
後ろにいるヘルトさんに尋ねました。
「まだまだ入るわ。シスター・エマ、あたしもいただいていいかしら?」
「もちろんよ、ヘルト! ぜひ食べて! お酒なら付き合うわ!」
エマさんがヘルトさんを歓迎し、ワインまで用意します。
「いただきまーす……ぐえええ辛えなクソッタレええええええ!」
タバスコがかかってやがった!
(激辛カレーライス編 完)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる