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夜のラーメンは、罪の味 ~家出少女と共に、とんこつしょうゆラーメンと替え〇〇~
替えメシとから揚げで、罪のマシマシ
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「あの、ハシオさん、替えメシってなんですか?」
「残ったラーメンのスープに、ライスをブチ込むんですよ」
なんという悪行! わたしは卒倒しそうになりました。そんなマシマシな罪があるとは。
どうりで、待てど暮らせどライスが来ないと思っていました。
「わたしも替えメシ、いただいてもいいですか?」
結局、全員が頼みます。
「どうぞ。ライスと、から揚げね」
ようやく、待望のから揚げも到着します。
湯気だけで、から揚げがわたしを殺しに来ていました。
ハシオさんとミュラーさんが、レンゲでライスを丼にイン。
わたしもマネをします。ステフさんも見よう見マネで、恐る恐る。
「それでは、替えメシを……」
おいおいおい、この追いメシは罪深《うま》い。
ナイス! 罪深さが激マシしました。
おしょうゆのラーメンだからでしょうか、それとも豚骨のコクか。そういうものが入り混じって、脳を理解から遠ざけますね。
ライスによって、濃厚さが控えられています。それでいて旨味は倍増とか。どんな化学反応なんでしょう?
おじやとか雑炊とかとはまた違った、米の引き立ち方をしてしますよ。
「こちらと、から揚げを……」
見た感じだと、鶏のムネ肉ですね。
アッツアツの肉を一口、噛み締めます。
おおおおっ。実に、罪深い!
パリッパリで、ジュワッとして、肉厚といいますか。
答えられない味わいがあります。
コショウも塩も振ってないのに、このおいしさ。
鶏って本来、こんな味がするんですね。
そうです!
替えメシに味がついているから、もう余計な味付けは必要ないんですね!
なるほど、合理的です。
この方程式に、今気づきました。
ならばするべきことは、ひとつです。これを、替えメシで追いかけましょう!
「はむう……ううううううううっ」
ああ、これもナイスです。
ナイスライス!
わたしは今、ボディビルダーです。
鶏でタンパク質を補給する、筋肉の悪魔となりました。
「あーうま。大将エールおかわり!」
「オレも! ガンガンに冷えたのをくれ!」
ミュラーさんとハシオさんとが、お酒を追加します。
シメで食べに来たのに、また飲みたくなる感覚といいますかね。
あると思います。
追いアルコール、わかりますよ。
わたしは飲めませんが、その感覚は把握できます。
「ふーっ、ふーっ」
ステフさんも、豪快にかぶりついていました。
お嬢様なのに、今はから揚げのトリコです。
こんなのを知ってしまったら、戻れません。
いやあ、なんというラーメンの世界でしょう?
この奥深さ、無限大ですね。
替え玉とは別の罪悪感が、わたしを襲います。
「ちゃーっす。【出前ニャン】です。門番さんが、ラーメンとから揚げをオーダーしてます」
ドアが開き、ゴロンさんがおかもちを持って現れます。
「ああ、ゴロンさん!」
「お姉さん、お久しぶりですね!」
注文を待っている間、ゴロンさんは水を一杯もらいました。
「ゴロンさんは、このお仕事をはじめて、どれくらいで慣れましたか?」
「一ヶ月くらいですね」
ゴロンさんは、テーブルに出前のお金を置きます。
「やっぱり、時間がかかりますよ。最初はウチもアップアップでしたよ。そんなもんじゃないですかね?」
ですよね。わたしも最初、シスターの仕事はキツかったです。
ご飯をガマンするのが辛かったのを思い出しました。
「慣れたら、大したことないんですけどね。ある程度できてきたら、向いているかどうかわかるんですけどねー」
「出前業をしようとしたきっかけは?」
「学生の頃から、脚が速かったんですよ」
獣人族のスプリンター大会でも、賞を取れるほどの実力だったとか。
「ただ、就職には有利に働かなくて。足の速さを活かせる仕事が、スリか物流しかなくて」
「そうなんですか?」
ステフさんが、食いつきました。
「残ったラーメンのスープに、ライスをブチ込むんですよ」
なんという悪行! わたしは卒倒しそうになりました。そんなマシマシな罪があるとは。
どうりで、待てど暮らせどライスが来ないと思っていました。
「わたしも替えメシ、いただいてもいいですか?」
結局、全員が頼みます。
「どうぞ。ライスと、から揚げね」
ようやく、待望のから揚げも到着します。
湯気だけで、から揚げがわたしを殺しに来ていました。
ハシオさんとミュラーさんが、レンゲでライスを丼にイン。
わたしもマネをします。ステフさんも見よう見マネで、恐る恐る。
「それでは、替えメシを……」
おいおいおい、この追いメシは罪深《うま》い。
ナイス! 罪深さが激マシしました。
おしょうゆのラーメンだからでしょうか、それとも豚骨のコクか。そういうものが入り混じって、脳を理解から遠ざけますね。
ライスによって、濃厚さが控えられています。それでいて旨味は倍増とか。どんな化学反応なんでしょう?
おじやとか雑炊とかとはまた違った、米の引き立ち方をしてしますよ。
「こちらと、から揚げを……」
見た感じだと、鶏のムネ肉ですね。
アッツアツの肉を一口、噛み締めます。
おおおおっ。実に、罪深い!
パリッパリで、ジュワッとして、肉厚といいますか。
答えられない味わいがあります。
コショウも塩も振ってないのに、このおいしさ。
鶏って本来、こんな味がするんですね。
そうです!
替えメシに味がついているから、もう余計な味付けは必要ないんですね!
なるほど、合理的です。
この方程式に、今気づきました。
ならばするべきことは、ひとつです。これを、替えメシで追いかけましょう!
「はむう……ううううううううっ」
ああ、これもナイスです。
ナイスライス!
わたしは今、ボディビルダーです。
鶏でタンパク質を補給する、筋肉の悪魔となりました。
「あーうま。大将エールおかわり!」
「オレも! ガンガンに冷えたのをくれ!」
ミュラーさんとハシオさんとが、お酒を追加します。
シメで食べに来たのに、また飲みたくなる感覚といいますかね。
あると思います。
追いアルコール、わかりますよ。
わたしは飲めませんが、その感覚は把握できます。
「ふーっ、ふーっ」
ステフさんも、豪快にかぶりついていました。
お嬢様なのに、今はから揚げのトリコです。
こんなのを知ってしまったら、戻れません。
いやあ、なんというラーメンの世界でしょう?
この奥深さ、無限大ですね。
替え玉とは別の罪悪感が、わたしを襲います。
「ちゃーっす。【出前ニャン】です。門番さんが、ラーメンとから揚げをオーダーしてます」
ドアが開き、ゴロンさんがおかもちを持って現れます。
「ああ、ゴロンさん!」
「お姉さん、お久しぶりですね!」
注文を待っている間、ゴロンさんは水を一杯もらいました。
「ゴロンさんは、このお仕事をはじめて、どれくらいで慣れましたか?」
「一ヶ月くらいですね」
ゴロンさんは、テーブルに出前のお金を置きます。
「やっぱり、時間がかかりますよ。最初はウチもアップアップでしたよ。そんなもんじゃないですかね?」
ですよね。わたしも最初、シスターの仕事はキツかったです。
ご飯をガマンするのが辛かったのを思い出しました。
「慣れたら、大したことないんですけどね。ある程度できてきたら、向いているかどうかわかるんですけどねー」
「出前業をしようとしたきっかけは?」
「学生の頃から、脚が速かったんですよ」
獣人族のスプリンター大会でも、賞を取れるほどの実力だったとか。
「ただ、就職には有利に働かなくて。足の速さを活かせる仕事が、スリか物流しかなくて」
「そうなんですか?」
ステフさんが、食いつきました。
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