150 / 269
第三部 湯けむりシスター 冬ごもり かに……つみ…… ~温泉でカニ三昧~
駅弁の釜飯は、罪の味
しおりを挟む
お昼になりました。
ひとまず目的地の近くの駅で、駅弁を買うことにします。
「幕の内、牛タン! 迷いますね」
「いやいや。駅弁っつったら、釜飯一択だろ!」
わたしが悩んでいると、ソナエさんが一つの駅弁を指差しました。
「釜飯?」
「小さい釜に入った、炊き込みごはんだよ」
肉も野菜も、どっさり入っているそうです。これは決まりですね。
「では、釜飯を三つ」
「いいのですか、ポーリーヌさん?」
三人とも釜飯になりますが。
「種類だけ変えましょう。私は山菜多めで」
わたしは、牛豚鶏の三種盛りを。
ソナエさんは、カニのハサミ付きを頼みました。
「楽しみですね。汽車に戻りましょう」
汽笛とともに列車に乗り込んで、昼食にします。
車内販売のワゴンを利用し、お茶を頼みました。駅で新しく入れ直したのか、熱々です。
「いただきます」
さっそく、釜を開けました。
お肉ですよ、お肉。牛タン、豚のバラ、鶏ももと、すごい濃厚な香りがしますね。
肉以外だと、うずら、ニンジン、しいたけが鎮座していました。
まずは牛タンを。
うーん、罪深い。
タンってお酒好きが好む印象だったのですが、ライスと合いますね。
絶妙な歯ごたえと味の深みです。
こんな風味がこの世にあったとは。
炊き込みご飯のしょうゆ味に、まったく負けていません。
バラはいかがでしょう?
これまた罪深い。
まごうことなき、豚のショウガ焼きです。
ライスだけでなく、お野菜のお供としても引き立っていますね。
極めつけは、やはり鶏のモモでしょう。
文句なし。罪深い。
炊き込みご飯と究極に合います。
保存のためでしょうか、ちょっと燻製っぽくしてありますね。
この香ばしさは見事です。
ポーリーヌさんのお弁当が一番オーソドックスで、バランスが取れています。
たけのこと、鮭が入っていますね。
「燻製鶏モモをどうぞ」
「ありがとうございます。では、たけのこをおひとつ」
「うれしいです。どうもありがとうございます。うん、おいしいです」
コリコリしていて、これも罪深い。
「カニ、すごいですね」
強烈だったのが、ソナエさんが買ってきたカニのハサミ入り釜飯でした。
お野菜はわたしたちと同じですが、ギンナンが一粒追加されています。
小粒のホタテがいいですね。
「現地で、カニはたらふく食べられるでしょうに」
今夜はカニすきらしいので、カニはおあずけにしていたのに。
「味見はしときたくってね。ああ、厄払い。爪が厄払い」
お酒に合わせるために買いましたね、この人。
食事を終えて、依頼の内容を確認します。
「護衛とは、ぶっそうですね?」
「実は、ストーカー被害に遭っていて」
なんでも、後をつけられることがあったとか。
物がなくなるとかはないのですが、変な手紙が来たりはあるそうで。
「強制的に交際を迫るとか?」
「いえ。いつも見ていますといった内容でした」
気持ち悪いです。
直接言えばいいのに、といってもそっちの方がダメですね。
「ストーカーって、貴族でしょうか?」
「いや。貴族だったらもっと堂々と狙ってくるはずだ」
ソナエさんが、わたしの仮説を否定しました。
「相手が弱い立場なんだから、難癖つけて有利に進めてくると思う。身体目当てなら、もっと強引に交際を迫ってくるだろう。相手の立場まで利用して、逃げられないようにするさ」
ですよね。貴族なら、そこまでやりかねません。
「しかし、そういうのはない。周到なのか、あるいはそこまでのこだわりはないのか」
「ポーリーヌさん、いわゆるあなたの『ガチ恋勢』に、心当たりはありますか」
わたしの質問に、ポーリーヌさんは首を振りました。
「意識していないだけかもしれませんが、ファンの方たちは暖かい方ばかりで」
なるほど。
「まあ、つきっきりなんだし、いずれ正体を表すだろう」
目的地に到着しました。
悩んでいても、仕方ありませんね。
ひとまず目的地の近くの駅で、駅弁を買うことにします。
「幕の内、牛タン! 迷いますね」
「いやいや。駅弁っつったら、釜飯一択だろ!」
わたしが悩んでいると、ソナエさんが一つの駅弁を指差しました。
「釜飯?」
「小さい釜に入った、炊き込みごはんだよ」
肉も野菜も、どっさり入っているそうです。これは決まりですね。
「では、釜飯を三つ」
「いいのですか、ポーリーヌさん?」
三人とも釜飯になりますが。
「種類だけ変えましょう。私は山菜多めで」
わたしは、牛豚鶏の三種盛りを。
ソナエさんは、カニのハサミ付きを頼みました。
「楽しみですね。汽車に戻りましょう」
汽笛とともに列車に乗り込んで、昼食にします。
車内販売のワゴンを利用し、お茶を頼みました。駅で新しく入れ直したのか、熱々です。
「いただきます」
さっそく、釜を開けました。
お肉ですよ、お肉。牛タン、豚のバラ、鶏ももと、すごい濃厚な香りがしますね。
肉以外だと、うずら、ニンジン、しいたけが鎮座していました。
まずは牛タンを。
うーん、罪深い。
タンってお酒好きが好む印象だったのですが、ライスと合いますね。
絶妙な歯ごたえと味の深みです。
こんな風味がこの世にあったとは。
炊き込みご飯のしょうゆ味に、まったく負けていません。
バラはいかがでしょう?
これまた罪深い。
まごうことなき、豚のショウガ焼きです。
ライスだけでなく、お野菜のお供としても引き立っていますね。
極めつけは、やはり鶏のモモでしょう。
文句なし。罪深い。
炊き込みご飯と究極に合います。
保存のためでしょうか、ちょっと燻製っぽくしてありますね。
この香ばしさは見事です。
ポーリーヌさんのお弁当が一番オーソドックスで、バランスが取れています。
たけのこと、鮭が入っていますね。
「燻製鶏モモをどうぞ」
「ありがとうございます。では、たけのこをおひとつ」
「うれしいです。どうもありがとうございます。うん、おいしいです」
コリコリしていて、これも罪深い。
「カニ、すごいですね」
強烈だったのが、ソナエさんが買ってきたカニのハサミ入り釜飯でした。
お野菜はわたしたちと同じですが、ギンナンが一粒追加されています。
小粒のホタテがいいですね。
「現地で、カニはたらふく食べられるでしょうに」
今夜はカニすきらしいので、カニはおあずけにしていたのに。
「味見はしときたくってね。ああ、厄払い。爪が厄払い」
お酒に合わせるために買いましたね、この人。
食事を終えて、依頼の内容を確認します。
「護衛とは、ぶっそうですね?」
「実は、ストーカー被害に遭っていて」
なんでも、後をつけられることがあったとか。
物がなくなるとかはないのですが、変な手紙が来たりはあるそうで。
「強制的に交際を迫るとか?」
「いえ。いつも見ていますといった内容でした」
気持ち悪いです。
直接言えばいいのに、といってもそっちの方がダメですね。
「ストーカーって、貴族でしょうか?」
「いや。貴族だったらもっと堂々と狙ってくるはずだ」
ソナエさんが、わたしの仮説を否定しました。
「相手が弱い立場なんだから、難癖つけて有利に進めてくると思う。身体目当てなら、もっと強引に交際を迫ってくるだろう。相手の立場まで利用して、逃げられないようにするさ」
ですよね。貴族なら、そこまでやりかねません。
「しかし、そういうのはない。周到なのか、あるいはそこまでのこだわりはないのか」
「ポーリーヌさん、いわゆるあなたの『ガチ恋勢』に、心当たりはありますか」
わたしの質問に、ポーリーヌさんは首を振りました。
「意識していないだけかもしれませんが、ファンの方たちは暖かい方ばかりで」
なるほど。
「まあ、つきっきりなんだし、いずれ正体を表すだろう」
目的地に到着しました。
悩んでいても、仕方ありませんね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる