上 下
253 / 269
クリスマスケーキは、罪の味

ミニスカサンタは、罪な服

しおりを挟む
「いやあ、みんな素敵よ!」

「うむ。ワシの見込んだとおりじゃわい」

 王女の喫茶店から戻ってみると、珍しい顔ぶれが、教会にいらっしゃいました。
 カレーラス子爵と、ドワーフ神父様です。

 神父様は、あごひげを撫でながら、眼前の光景に満足げでした。

「際どいわね。神父様のご要望っていうから、引き受けたけど」

「スースーしますぅ」

 フレンが、ミニスカサンタ姿になっています。

「ミニスカサンタは、寒いからイヤなんでしょ? だから、トナカイにしてみたわ」

 エマの方は、トナカイになっていました。

 どのみち、トナカイもミニスカなんですね。タイツが茶色いだけで。

 これは、業深エロい。

 わたしのときより際どいですね。わたしは下に黒タイツを穿いていましたし。

 フレンは白いニーソ、エマは黒ニーソです。

 二人は派手めの下着を好んでいますから、風が吹いたら大惨事ですね。

 エマなんて衣装が合わず、襟からブラチラしていますし。

「あ、ちょうどいいところにいたわ、クリスちゃん! コレを着てちょうだい」

 子爵がわたしに、モコモコした衣装を持たせます。

 拡げると、だいたい察しがつきました。

「またなんですね」

「そうよ。相棒も用意しているから」

 相棒ですって?

「……」

「ああ、もう一頭トナカイが」

 ソナエさんまで。仏頂面で、小袋を抱えていました。

「今日はどういったイベントで?」

「ここ以外の教会や、各家を周り、子どもたちに銅貨を配るのじゃ」

 よく見ると、ドワーフ神父様もサンタさんではありませんか。白い袋を担いでいます。

 子爵は、衣装係だったんですね。

「神父様が、クリスマスに子どもたちを喜ばせたいって。だから、協力させてもらったの」

「他のシスターたちにも、ミニスカサンタになってもらっておる」

 罪な神父様ですね。趣味と実益を兼ねなさるとは。

「わたしはやるとは」

「終わったら、うまいと評判の夜鳴きそば屋台をごちそうしよう」

「やります」

 即OKしました。

「やっす。あんたまじで安いな」

 相棒のトナカイソナエさんが、呆れます。

「温かいものを食べられるんでしたら、なんでもやりますよ」

 しかもおごっていただけるんでしたら。

「でも、交代しましょう。サンタとトナカイの役を」

「いいのか?」

「わたしはオタカフェのPRで着ましたんで。それに」

 ソナエさんに、わたしは耳打ちします。

「着てみたかったんでしょ?」

 実はソナエさんがカワイイ物好きだということは、わたしも知っていました。

「だからご不満だったのでは?」

「バ、バカ! 誰がそんな服」

「じゃあ、行きましょうか」

「着せろ! どうしてもっていうなら、着てやるから!」

 素直じゃないんだから。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

2025年何かが起こる!?~予言/伝承/自動書記/社会問題等を取り上げ紹介~

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:27,583pt お気に入り:72

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:8,423pt お気に入り:1,567

世界神様、サービスしすぎじゃないですか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:11,460pt お気に入り:2,217

異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:312pt お気に入り:7,590

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:13,888pt お気に入り:7,532

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:1,964

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:510

処理中です...