社畜は助けた隣のお姉さんに、ベランダで餌付けされる

椎名 富比路

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第三章 隣のお姉さんと、キャンプデート

第19話 一緒に風呂を!?

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「え!?」

 あまりの出来事に、俺は対処できない。湯船に浸かったまま、出てこられなくなった。

「このお風呂結構大きいし、二人なら大丈夫だよ」

 たしかにここは円形の風呂で、大きい。夜景が一望できる、最高のビューイングだ。とはいえ、夜景よりいい景色の寿々花すずかさんがいるとなると、話が変わってくる。

「でも、裸でって」
「大丈夫。水着だもん」

 白いビキニを、寿々花さんは見せびらかす。

「川がいい温度だったら遊ぼうって思って、用意したの。水が濁っていたからやめたけど」

 ああ、あの時から洪水フラグは立っていたんだな。

 俺は断ろうとした。が、ここで変にゴネると寿々花さんが入浴しなくなるかも。そのほうが危険だと判断した。

「とにかく、一緒に入ろう」

 問答無用で、寿々花さんは湯に浸かる。

 俺は寿々花さんをなるべく見ないように、外を眺めることに集中した。

 いまだに外は、雨がザーッと鳴っている。

「止みませんね」
「そうだね」

 会話に詰まったらとりあえず天気の話題を、って言ったやつを殴りたい。全然、弾まないじゃねえか。弾んでいるのは、寿々花さんの豊満な胸だけで。

「ヒデくんは、私とお風呂ってイヤかな?」
「とんでもない。うれしいですよ!」

 なんて返せば正解か、わからない。ただ、最大級の賛辞を送るくらいしか思いつかなかった。

「今日は、楽しかったね」
「はい」
「また来ようね。次は、ちゃんとお泊りの準備もして」
「はいっ……はは」

 まさか、同じ部屋で泊まることになるとは。

 寿々花さんの口ぶりだと、次も同じ部屋ってことに?

 宿代を考えたら、そうかもしれないが。

 ユースホステルって、相部屋が多いって言うし。

 やばい。たいして浸かっていないのに、のぼせそうだ。かといって、上がるとなんらかのハプニングが起きて、俺がポロリしてしまいそうになる。寿々花さんと一緒に風呂って、ここまで破壊力が高いとは。

「……出ます」
「そうだね。けっこうゆったり浸かっちゃったもんね」

 体を洗うため、椅子に座る。

「じゃあ、背中流すよー」
「え、じ、自分でできますからっ」
「いいからいいから」

 もう、寿々花さんは手にスポンジを持って泡立てていた。決断が早い。

「お願いします」
「うん。じゃあ洗うね」

 優しい手付きで、俺の背中にスポンジが這う。

 その間、俺はシャンプーで髪を洗った。

 ああ、いいな。ビキニ洗車っていう仕事があるらしいが、俺がその車になった気分だ。

「後ろだけ洗うことになるけど、いい?」
「問題ありません。流石に前は、自分で洗います」

 スポンジを借りて、俺は手早く前をこする。自分でやるって、こんなに痛かったっけ?

「じゃ、流しまーす」

 ジャーっと、寿々花さんはお湯をかけてくれた。

「あとはシャワーでひゃあ!?」

 突如寿々花さんが、俺に体重を預けてくる。石けんの泡で足を滑らせたのだろう。

 程よい弾力が、俺の背中にピタッと張り付いた。

「大丈夫? ヒデくん!」
「俺は平気です。寿々花さんにケガは?」
「ないよ。足もくじいてない」

 寿々花さんが、俺からどく。

「重くなかった?」

 シャワーで俺の身体についた泡を流しながら、寿々花さんは聞いてくる。

「まったく、平気です」
「でも、血が」
「血?」
「鼻血出てる!」

 え? そうか。のぼせた上に、興奮して――

「ヒデくん!?」

 俺の意識は吹っ飛んだ。



「はっ」

 柔らかい感触を後頭部に感じながら、俺は目を覚ます。

 寿々花さんが、俺に膝枕してくれていたと気づいた。

「ごめんね。体調が悪いのに気が付かなくて」

 うちわで俺を扇ぎながら、寿々花さんは心配そうな顔で俺を見下ろしている。服はTシャツとスパッツになっていた。

「すいません。ぶっ倒れてしまって」

 普段は、こんなことはない。しかし、イレギュラーが重なってしまって。

「ルームサービスでスポーツドリンクもらったから、口をつけておいて」
「ありがとうございます。もう平気です」

 ペットボトルのドリンクをグッと飲むと、少し落ち着いた。

「眠れそう?」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、寝よっか」
「は……い」

 デカいベッドが、一つしかないんだが?
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