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第二章 姫に頼まれ、魔剣を作る
第16話 巨大ヒクイドリ戦
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ヒクイドリと、対峙する。さっきクレアさんが倒したヤツより、三割増しでデカい。コイツが、リーダー格だろう。トサカも、虹色に燃え盛っている。
「レベル二五だって」
わたしのレベルは、せいぜい一四くらいだ。一〇以上も、離れている。レベッカちゃんに憑依してもらうと、さらに五ほどレベルが上がる。それでも、二〇には届かない。
よく、こんなバケモノの攻撃を弾き返したよね。わたし。レベッカちゃんのおかげだけど。
『キャル、全部アタシ様に任せな』
「いいの、レベッカちゃん?」
いつもレベッカちゃんに頼り過ぎだから、ちょっとくらいは自分でも戦えたほうがいいかなーって思っている。でも、余計なお世話なのかな?
『気を利かせないでおくれよ。最近はいつもスパルトイ任せだから、暴れ足りないんだ。コイツの始末は、アタシ様にやらせな。レベル二五超えの魔物なんて、上等じゃないか』
つまり、戦いたいと。
「うん。体力に極振りしているから、問題ないよ」
ザコ戦で数段レベルアップし、ステータスに振れるポイントを大量に得た。
ひとまずわたしは、ステータスポイントをすべて体力に注ぎ込む。あとは全部、レベッカちゃんに委ねることにした。
わたしの身体を、オレンジの光が包む。
ボブカットの髪が逆立ち、燃え盛る。
『いくよ!』
レベッカちゃんの力を借りて、わたしは飛びかかった。ヒクイドリの上空へ。
片足を上げただけで、ヒクイドリはわたしの剣戟を打ち返す。
さすがに、五から一〇以上レベルが離れているとキツい。
『いいねえ! 最っ高に盛り上がってきたじゃないか!』
でも、レベッカちゃんは楽しんでいる様子だ。
『悪いねキャル! あんたの身の安全は、保証できないかも知れないよ!』
「構わないよ。全力でやっちゃって」
これが、魔剣と契約するということ。
強い武器と一体化するには、それなりの代償が必要だ。
『さて、【原始の炎】をお見舞いしてやるかね!』
コマのように旋回しながら、わたしはヒクイドリに切りかかった。黒い炎が、レベッカちゃんの周りにまとわりつく。
ヒクイドリの方も、回し蹴りで対抗してきた。
火花を散らし、互いの攻撃が交差する。
炎属性さえ、原始の炎の前では突き抜けていく。
そのはずだった。
なのに、抵抗されてしまう。
わたしは、後退した。
インパクトの箇所が、プツプツと黒く燃えている。
「まさか、相手も【原始の炎】を!?」
ダメージを貫通する炎を、魔物が持つなんて。
『間違いないね。ありゃあ原始の炎さ』
マグマを食い続け、ヒクイドリの体質が変わったのかも知れないとのこと。
「ヒクイドリが、マグマに溶けなかったレアアイテムを、飲み込んじゃったのかな?」
『どうでもいいさ。それより、キャル。【原始の炎】持ちなんて、狩らない理由はないよ。あいつを食って、アタシ様は原始の炎をパワーアップするんだよ』
「だね!」
炎属性どころか全属性無視なんて魔物が町や村に降りたら、大変だ。ここで仕留めないと。
「でも、どうやって倒す? 相手には、なんの属性も効かないよ?」
『だったら、トリのアイデンティティを奪うまでさ!』
「りょーかい!」
翼をもげ、ってわけだね。
わたしは、レベッカちゃんを逆手に持った。剣先を、思い切り地面に叩きつける。火球を地面に打ち込んで、速度を上げて跳躍した。クレアさんがやった、魔法による跳躍力アップ作戦だ。
ヒクイドリの方も、空へのアドバンテージを取ろうと、飛び上がる。
「このときを、待っていたよ!」
空を飛び上がる際、どうしても足に重圧がかかる。翼の方に、力がいくんだ。
『片翼だけでいい! ぶった斬れ!』
「おっしゃー!」
わたしは、ヒクイドリの羽根を片方だけ切り捨てる。
それだけで、ヒクイドリは墜落していった。完璧な魔物は、案外脆いもの。
墜落の衝撃をやわらげるため、ヒクイドリは片足を犠牲にしたみたい。しかし、怒りはマックスそのもの。わたしに対して、殺意を隠さない。
『それでいいよ! とことんやろうじゃないか!』
ヒクイドリが、ブレスを吐き出す。【原始の炎】がブレンドされた。全属性ダメージの攻撃だ。
『甘いんだよ!』
わたしは、ブレスを切り裂く。この攻撃は、ファイアリザードが相手でも使った。
リザードと違うのは、対応されたこと。簡単に、首を取らせてくれない。切り込んだわたしに、クチバシで抵抗しようとする。
レベッカちゃんを踏み台にして、わたしは逆上がりをした。レベッカちゃんの柄に着地する。
『ふん!』
刀身に、レベッカちゃんがケリを入れた。
剣を押し込まれたことで、ヒクイドリの口角がスパッと切れる。
痛みで口を開けたところに、レベッカちゃんはさらに追い打ちをかけた。ヒクイドリのノドに向かって、剣を突き刺す。
それがトドメとなって、ヒクイドリは絶命した。
[レアモンスター【ヒクイドリ 猛撃種】を撃破しました。【原始の炎:極小】を手に入れました]
「はああああああ」
変身を解いて、わたしは脱力する。もう、足も動かせない。しばらくは、立てないかも。
『レベルアップして体力に振っても、間に合っていないねぇ』
「そうだね。ちょっと休憩」
ポーションを飲んで、一息つく。お菓子は、食べ尽くしてしまっていた。熱かったもんなあ。
『起きなよ、キャル! ヤバイものが落ちてるよ!』
レベッカちゃんが叫ぶので、筋肉痛の痛みを堪えて立ち上がる。
「なになに……え、魔剣!?」
なんと、魔剣が落ちている。
クレアさんの剣の素体にした蕃刀と、形は近い。
ヒクイドリが使っていた【原始の炎】の正体は、これだったんだろう。
『そっちじゃない。アタシ様が言っているのは、オークロードの腕だよっ!』
「オークロードの?」
たしかに、魔剣は魔物の腕もセットで付いていた。世界で一番いらないセットだよ。
『ヒクイドリは、オークロードと戦って、この腕ごと食っちまったんだろうね』
「なんのために?」
『ナワバリ争いか、魔剣を求めてか』
「世界には、そんなに魔剣ってゴロゴロ落ちているもんなの?」
『おそらくはね』
魔剣に限らず、この世界には伝説の装備が山ほど落ちているらしい。
未来予知さえ可能な魔道士の帽子、ドラゴンのブレスさえ弾くヨロイ。歩く度にお金が入ってくるお財布など。あげだしたら、キリがない。
そんなとんでもアイテムを、冒険者たちは求めているのだ。
「わたしとしては、クラフトのほうが楽しいなって思うけど」
『旅の目的は、人それぞれさ。しかし、アタシ様は言ったよ。魔物とマジックアイテムとの相関する関係を』
うん。
魔物は、マジックアイテムに惹かれる。
自身を守るために、あえて魔物に食われるマジックアイテムもあるのだ。
「とりあえず、この魔剣は食べて」
『いいのかい、キャル? クレアの欲しがっている魔剣の、ベースにでもすればいいじゃないか』
「大丈夫」
クレアさん、自分で言ってたもんね。「人の所有物は、欲しがらない」って。
これは、オークの所有物だ。
多分、クレアさんも必要としていない。
さっき渡したレイピアにも、オークの蕃刀が使われている。しかし、あれは耐久テストのサンプルだ。あくまでも、素体はレイピアの方である。
この魔剣も、よくできていた。とはいえ、ちょっと強くなった蕃刀程度である。
『この剣をベースにしちまえば、【原始の炎】を扱えるようになるよ』
「戦闘力皆無なわたしならいざしらず、クレアさんが人と同じスキル持ちで満足するように見える?」
『アハハ! それもそうさね!』
「きっとクレアさんはさ、もっと強いスキルを手にできるよ」
『だな。【原始】シリーズは、炎だけじゃなかったはずだからね』
よってこの剣は、レベッカちゃんのエサになってもらう。
オークの腕ごと、レベッカちゃんの胃袋へ。
胃がどこにあるか、わかんないけどねっ。
「レベル二五だって」
わたしのレベルは、せいぜい一四くらいだ。一〇以上も、離れている。レベッカちゃんに憑依してもらうと、さらに五ほどレベルが上がる。それでも、二〇には届かない。
よく、こんなバケモノの攻撃を弾き返したよね。わたし。レベッカちゃんのおかげだけど。
『キャル、全部アタシ様に任せな』
「いいの、レベッカちゃん?」
いつもレベッカちゃんに頼り過ぎだから、ちょっとくらいは自分でも戦えたほうがいいかなーって思っている。でも、余計なお世話なのかな?
『気を利かせないでおくれよ。最近はいつもスパルトイ任せだから、暴れ足りないんだ。コイツの始末は、アタシ様にやらせな。レベル二五超えの魔物なんて、上等じゃないか』
つまり、戦いたいと。
「うん。体力に極振りしているから、問題ないよ」
ザコ戦で数段レベルアップし、ステータスに振れるポイントを大量に得た。
ひとまずわたしは、ステータスポイントをすべて体力に注ぎ込む。あとは全部、レベッカちゃんに委ねることにした。
わたしの身体を、オレンジの光が包む。
ボブカットの髪が逆立ち、燃え盛る。
『いくよ!』
レベッカちゃんの力を借りて、わたしは飛びかかった。ヒクイドリの上空へ。
片足を上げただけで、ヒクイドリはわたしの剣戟を打ち返す。
さすがに、五から一〇以上レベルが離れているとキツい。
『いいねえ! 最っ高に盛り上がってきたじゃないか!』
でも、レベッカちゃんは楽しんでいる様子だ。
『悪いねキャル! あんたの身の安全は、保証できないかも知れないよ!』
「構わないよ。全力でやっちゃって」
これが、魔剣と契約するということ。
強い武器と一体化するには、それなりの代償が必要だ。
『さて、【原始の炎】をお見舞いしてやるかね!』
コマのように旋回しながら、わたしはヒクイドリに切りかかった。黒い炎が、レベッカちゃんの周りにまとわりつく。
ヒクイドリの方も、回し蹴りで対抗してきた。
火花を散らし、互いの攻撃が交差する。
炎属性さえ、原始の炎の前では突き抜けていく。
そのはずだった。
なのに、抵抗されてしまう。
わたしは、後退した。
インパクトの箇所が、プツプツと黒く燃えている。
「まさか、相手も【原始の炎】を!?」
ダメージを貫通する炎を、魔物が持つなんて。
『間違いないね。ありゃあ原始の炎さ』
マグマを食い続け、ヒクイドリの体質が変わったのかも知れないとのこと。
「ヒクイドリが、マグマに溶けなかったレアアイテムを、飲み込んじゃったのかな?」
『どうでもいいさ。それより、キャル。【原始の炎】持ちなんて、狩らない理由はないよ。あいつを食って、アタシ様は原始の炎をパワーアップするんだよ』
「だね!」
炎属性どころか全属性無視なんて魔物が町や村に降りたら、大変だ。ここで仕留めないと。
「でも、どうやって倒す? 相手には、なんの属性も効かないよ?」
『だったら、トリのアイデンティティを奪うまでさ!』
「りょーかい!」
翼をもげ、ってわけだね。
わたしは、レベッカちゃんを逆手に持った。剣先を、思い切り地面に叩きつける。火球を地面に打ち込んで、速度を上げて跳躍した。クレアさんがやった、魔法による跳躍力アップ作戦だ。
ヒクイドリの方も、空へのアドバンテージを取ろうと、飛び上がる。
「このときを、待っていたよ!」
空を飛び上がる際、どうしても足に重圧がかかる。翼の方に、力がいくんだ。
『片翼だけでいい! ぶった斬れ!』
「おっしゃー!」
わたしは、ヒクイドリの羽根を片方だけ切り捨てる。
それだけで、ヒクイドリは墜落していった。完璧な魔物は、案外脆いもの。
墜落の衝撃をやわらげるため、ヒクイドリは片足を犠牲にしたみたい。しかし、怒りはマックスそのもの。わたしに対して、殺意を隠さない。
『それでいいよ! とことんやろうじゃないか!』
ヒクイドリが、ブレスを吐き出す。【原始の炎】がブレンドされた。全属性ダメージの攻撃だ。
『甘いんだよ!』
わたしは、ブレスを切り裂く。この攻撃は、ファイアリザードが相手でも使った。
リザードと違うのは、対応されたこと。簡単に、首を取らせてくれない。切り込んだわたしに、クチバシで抵抗しようとする。
レベッカちゃんを踏み台にして、わたしは逆上がりをした。レベッカちゃんの柄に着地する。
『ふん!』
刀身に、レベッカちゃんがケリを入れた。
剣を押し込まれたことで、ヒクイドリの口角がスパッと切れる。
痛みで口を開けたところに、レベッカちゃんはさらに追い打ちをかけた。ヒクイドリのノドに向かって、剣を突き刺す。
それがトドメとなって、ヒクイドリは絶命した。
[レアモンスター【ヒクイドリ 猛撃種】を撃破しました。【原始の炎:極小】を手に入れました]
「はああああああ」
変身を解いて、わたしは脱力する。もう、足も動かせない。しばらくは、立てないかも。
『レベルアップして体力に振っても、間に合っていないねぇ』
「そうだね。ちょっと休憩」
ポーションを飲んで、一息つく。お菓子は、食べ尽くしてしまっていた。熱かったもんなあ。
『起きなよ、キャル! ヤバイものが落ちてるよ!』
レベッカちゃんが叫ぶので、筋肉痛の痛みを堪えて立ち上がる。
「なになに……え、魔剣!?」
なんと、魔剣が落ちている。
クレアさんの剣の素体にした蕃刀と、形は近い。
ヒクイドリが使っていた【原始の炎】の正体は、これだったんだろう。
『そっちじゃない。アタシ様が言っているのは、オークロードの腕だよっ!』
「オークロードの?」
たしかに、魔剣は魔物の腕もセットで付いていた。世界で一番いらないセットだよ。
『ヒクイドリは、オークロードと戦って、この腕ごと食っちまったんだろうね』
「なんのために?」
『ナワバリ争いか、魔剣を求めてか』
「世界には、そんなに魔剣ってゴロゴロ落ちているもんなの?」
『おそらくはね』
魔剣に限らず、この世界には伝説の装備が山ほど落ちているらしい。
未来予知さえ可能な魔道士の帽子、ドラゴンのブレスさえ弾くヨロイ。歩く度にお金が入ってくるお財布など。あげだしたら、キリがない。
そんなとんでもアイテムを、冒険者たちは求めているのだ。
「わたしとしては、クラフトのほうが楽しいなって思うけど」
『旅の目的は、人それぞれさ。しかし、アタシ様は言ったよ。魔物とマジックアイテムとの相関する関係を』
うん。
魔物は、マジックアイテムに惹かれる。
自身を守るために、あえて魔物に食われるマジックアイテムもあるのだ。
「とりあえず、この魔剣は食べて」
『いいのかい、キャル? クレアの欲しがっている魔剣の、ベースにでもすればいいじゃないか』
「大丈夫」
クレアさん、自分で言ってたもんね。「人の所有物は、欲しがらない」って。
これは、オークの所有物だ。
多分、クレアさんも必要としていない。
さっき渡したレイピアにも、オークの蕃刀が使われている。しかし、あれは耐久テストのサンプルだ。あくまでも、素体はレイピアの方である。
この魔剣も、よくできていた。とはいえ、ちょっと強くなった蕃刀程度である。
『この剣をベースにしちまえば、【原始の炎】を扱えるようになるよ』
「戦闘力皆無なわたしならいざしらず、クレアさんが人と同じスキル持ちで満足するように見える?」
『アハハ! それもそうさね!』
「きっとクレアさんはさ、もっと強いスキルを手にできるよ」
『だな。【原始】シリーズは、炎だけじゃなかったはずだからね』
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