49 / 80
第五章 魔術師のダンジョンと、伝説のガイコツ剣士
第49話 第五章 完 ガイコツ剣士の郷愁
しおりを挟む
「えっと。コイツ、死んだの?」
潰したクマのぬいぐるみを確認する。
「違うでヤンスよ、キャル。本体はまだ、生きているでヤンス」
このぬいぐるみは、イザボーラが操っていただけだという。
イザボーラはぬいぐるみを通して、幼いクリームヒルト様を傀儡にしようと企んでいたのだろうとのこと。
「間一髪だったな。グーラノラに、あえて危険人物でも通せと指示を出していたが、冷や汗が出たぞ」
「ぶっちゃけソレガシたちが戦わなくても、この神官殿で対処できたでヤンスよ」
ヤトが釣り針を動かすタイミングで、グーラノラさんも動いていた。すぐに、クリームヒルト姫をカバーしていたのは見事だ。
「あの程度の人形なら、御せるかと思います。しかし、イザボーラ本体となると、私の手には」
ツヴァンツィガーの総力をもってしても、足止めするのが限界だとか。
そこまでなのか、イザボーラは。
「さて、危機は去ったんだけど……」
この後、どうするか。
グミスリル鋼のヨロイができるまで、レベル上げくらいしかやることがない。
おまけにヘルムースさんは、わたしとクレアさん用のヨロイまで作ってくれていた。しかも、ミスリル銀製である。
数が少ないグミスリルをフルーレンツさんだけに使うというので、お詫びも兼ねているそうだ。
それでも、ありがたい。
フルーレンツさんのヨロイを待たずに、敵の根城へ突っ込むことも考えた。
しかし「やめたほうがいい」と、ヤトから止められる。
「わたしたちって、カリュブディスを倒したじゃん。あれよりひどい戦闘になると?」
「イザボーラは、当時の魔王と双璧をなす存在にまで、強くなっている」
不完全だったカリュブディスとは、比較にならないという。
「でもイザボーラって、ただのエルフなんだよね? そんなに強くなった理由なんて」
「ヤツは、魔剣を所持している可能性が高いでヤンス。その実態がわからない以上、ヘタに手出しはできないでヤンスよ」
イザボーラとの戦いは、長期戦になりそうな気配がするとか。
うーむ。こちらとしては早くツヴァンツィガーを発って、魔剣を強化したいのだが。
『また魔剣と戦えるってのかい? 腕が鳴るねえ!』
レベッカちゃんは、まだ見ぬ強敵に、胸を踊らせていた。
こういうとき、戦闘狂は気楽だなあ。
それはそうと、フルーレンツさんの様子がおかしい。
ずっと、コーラッセンのある方角を見つめていた。
「フルーレンツさんは、故郷が恋しい?」
「おお、キャル殿。どうだろう? 我がどう願っても、コーラッセンの民が戻ってくるわけでなく」
「でも、故郷がボロボロの状態って、さみしいよね」
わたしにできることは、あるだろうか?
「いっそさ、復興させる? モンスターの街にしちゃうとか」
「できるのか?」
「一応、街としての機能は、回復できるかも」
「おお。すばらしい!」
「ただ、建国許可は必要かも」
わたしは、再び王城に向かった。
王様に、事情を説明する。
クリームヒルト姫を助けたことで、わたしは王城にてほぼ顔パスになっていた。
それでも、教頭先生にかけてもらった【緊張を解く】永続魔法がなかったら、話すこともできなかっただろうね。
「……というわけなんですが」
「たしかに、ファッパとツヴァンツィガーとの間にパイプがあれば、色々と助かるな」
とはいえ「魔物ばかりの街」となると、複雑な顔をした。
すいませんねえ。なにぶん、味方がアンデッドばかりなもので……。
「コーラッセンとしては不可能だが、別の都市として再生なら、考えてもよかろう」
「本当ですか?」
「うむ。他の国家との共有財産にしようかと」
「いいですね!」
建築自体は、わたしたちの率いるスパルトイでやってみる。
フルーレンツさんが率先して、スパルトイたちに指示を送った。
古い王都として再生ではなく、新しい過ごしやすい土地を目指している。
枯れていた畑も、わたしたちで耕す。
『オラオラ! ヤキを入れるよ!』
レベッカちゃんが雑草を焼き尽くし、クワに変形して土を掘った。
農具にまで変形できるとか、レベッカちゃんは何者なんだろうか? ヘルムースさんがいうように、マジで魔物を魔剣の形に固めた存在なのかも。
建物の建築や水車小屋の設計は、フワルー先輩やシューくん、クレアさんが手伝ってくれた。
「ゴハンができましたよー」
わたしは、醤を使った焼きおにぎりを、みんなに振る舞う。
「ああ、うまい! この一口のために生きとるわ」
「おおげさなんですよ、先輩は」
「せやけど、あんたはホンマにええ嫁はんになるで。冗談抜きで」
「ヤですよー。特定の人と添い遂げるなんてー」
わたしは魔剣作りの旅がしたくて、家を飛び出した。
今更、誰かの伴侶になるなんて、考えられない。
王様たちは、他の国から移住したい人を、募ってくれるそうだ。
これは、デカいプロジェクトになりそう。
「よろしいのだ。国家間との交流も、マンネリ気味だったのでな」
ファッパには、ヤトとリンタローが呼びかけてくれるそうだ。
財団にも、協力してもらうという。
「一つの王国が管理するとなると、誰が統治するか揉めそうだったのです。が、財団の所有する土地として活用するなら、問題ないかと」
シューくんが、そう提案してくれた。
財団は、各地に点在している。
各国家の商業と連携して、ショップを管理すればいい。
「だんだん、話が大きくなってきたね」
『街の完成が、楽しみになってきたよ!』
廃墟だった王国が、街として活気を取り戻していく。
街がすっかり新しく生まれ変わった頃、ようやくグミスリルを使ったヨロイが完成した。
「あの化け物が着ていたものより薄いのに、強度が増しておる。かたじけない」
「いえ。気に入ってくださったなら、なにより」
わたしたちの装備も、一新される。
「レベッカの方は扱いに困ったが、お前さんが打ったこの……名前なんだっけ?」
「地獄極楽右衛門ですわ」
クレアさんがわたしに代わって、魔剣の正式名称をヘルムースさんに教える。
「おお。まあこの……魔剣の方な。こちらは武器の寄せ集めだったから、鍛え直すことはできたわい」
見違えるほどに、地獄極楽右衛門は磨きがかかっていた。
構造が、最初から見直されている。
驚いたのは、五番の棍棒が回転式になっている。表面が互い違いに回転することにより、武器破壊の仕方が前よりはるかにえげつなくなった。しかし太い刃物とすることで、剣に見えなかった問題も解決している。
「すばらしい発想ですわ。ありがとうございます、ヘルムースさん」
「すごい。これは、鍛冶屋の発想だね」
鍛冶師といっても、装備品ばかりを扱うわけじゃない。歯車などを作るときだってある。
わたしたちが街を作っている間も、歯車などを加工していた。
「お前さんたちのおかげで、ええ気分転換になったわい。ありがとうよ」
「いえいえ。ヘルムースさんが天才なんだって」
「ぬかせい。この魔剣は、お主のトンデモ発想じゃろうが。ワシは、それを剣として扱いやすくしたまでのことよ」
魔剣を一から作るというのは、やはりなかなか難しいという。
「ましてワシは、歳を取りすぎてしもうた。頭でっかちってやつよのう」
「でもすごいよ。長年の経験から、この魔剣の良さを引き出してくれたんだもん」
「ありがとうよ。そう言ってもらえると、鍛冶屋冥利に尽きるってもんよ」
何度もお礼を言って、わたしたちはヘルムースさんの鍛冶屋を後にする。
「準備完了でヤンスか?」
「うん。行こう」
あとは、次の目的地への道を邪魔をしている魔女イザボーラを倒すだけ。
(第五章 完)
潰したクマのぬいぐるみを確認する。
「違うでヤンスよ、キャル。本体はまだ、生きているでヤンス」
このぬいぐるみは、イザボーラが操っていただけだという。
イザボーラはぬいぐるみを通して、幼いクリームヒルト様を傀儡にしようと企んでいたのだろうとのこと。
「間一髪だったな。グーラノラに、あえて危険人物でも通せと指示を出していたが、冷や汗が出たぞ」
「ぶっちゃけソレガシたちが戦わなくても、この神官殿で対処できたでヤンスよ」
ヤトが釣り針を動かすタイミングで、グーラノラさんも動いていた。すぐに、クリームヒルト姫をカバーしていたのは見事だ。
「あの程度の人形なら、御せるかと思います。しかし、イザボーラ本体となると、私の手には」
ツヴァンツィガーの総力をもってしても、足止めするのが限界だとか。
そこまでなのか、イザボーラは。
「さて、危機は去ったんだけど……」
この後、どうするか。
グミスリル鋼のヨロイができるまで、レベル上げくらいしかやることがない。
おまけにヘルムースさんは、わたしとクレアさん用のヨロイまで作ってくれていた。しかも、ミスリル銀製である。
数が少ないグミスリルをフルーレンツさんだけに使うというので、お詫びも兼ねているそうだ。
それでも、ありがたい。
フルーレンツさんのヨロイを待たずに、敵の根城へ突っ込むことも考えた。
しかし「やめたほうがいい」と、ヤトから止められる。
「わたしたちって、カリュブディスを倒したじゃん。あれよりひどい戦闘になると?」
「イザボーラは、当時の魔王と双璧をなす存在にまで、強くなっている」
不完全だったカリュブディスとは、比較にならないという。
「でもイザボーラって、ただのエルフなんだよね? そんなに強くなった理由なんて」
「ヤツは、魔剣を所持している可能性が高いでヤンス。その実態がわからない以上、ヘタに手出しはできないでヤンスよ」
イザボーラとの戦いは、長期戦になりそうな気配がするとか。
うーむ。こちらとしては早くツヴァンツィガーを発って、魔剣を強化したいのだが。
『また魔剣と戦えるってのかい? 腕が鳴るねえ!』
レベッカちゃんは、まだ見ぬ強敵に、胸を踊らせていた。
こういうとき、戦闘狂は気楽だなあ。
それはそうと、フルーレンツさんの様子がおかしい。
ずっと、コーラッセンのある方角を見つめていた。
「フルーレンツさんは、故郷が恋しい?」
「おお、キャル殿。どうだろう? 我がどう願っても、コーラッセンの民が戻ってくるわけでなく」
「でも、故郷がボロボロの状態って、さみしいよね」
わたしにできることは、あるだろうか?
「いっそさ、復興させる? モンスターの街にしちゃうとか」
「できるのか?」
「一応、街としての機能は、回復できるかも」
「おお。すばらしい!」
「ただ、建国許可は必要かも」
わたしは、再び王城に向かった。
王様に、事情を説明する。
クリームヒルト姫を助けたことで、わたしは王城にてほぼ顔パスになっていた。
それでも、教頭先生にかけてもらった【緊張を解く】永続魔法がなかったら、話すこともできなかっただろうね。
「……というわけなんですが」
「たしかに、ファッパとツヴァンツィガーとの間にパイプがあれば、色々と助かるな」
とはいえ「魔物ばかりの街」となると、複雑な顔をした。
すいませんねえ。なにぶん、味方がアンデッドばかりなもので……。
「コーラッセンとしては不可能だが、別の都市として再生なら、考えてもよかろう」
「本当ですか?」
「うむ。他の国家との共有財産にしようかと」
「いいですね!」
建築自体は、わたしたちの率いるスパルトイでやってみる。
フルーレンツさんが率先して、スパルトイたちに指示を送った。
古い王都として再生ではなく、新しい過ごしやすい土地を目指している。
枯れていた畑も、わたしたちで耕す。
『オラオラ! ヤキを入れるよ!』
レベッカちゃんが雑草を焼き尽くし、クワに変形して土を掘った。
農具にまで変形できるとか、レベッカちゃんは何者なんだろうか? ヘルムースさんがいうように、マジで魔物を魔剣の形に固めた存在なのかも。
建物の建築や水車小屋の設計は、フワルー先輩やシューくん、クレアさんが手伝ってくれた。
「ゴハンができましたよー」
わたしは、醤を使った焼きおにぎりを、みんなに振る舞う。
「ああ、うまい! この一口のために生きとるわ」
「おおげさなんですよ、先輩は」
「せやけど、あんたはホンマにええ嫁はんになるで。冗談抜きで」
「ヤですよー。特定の人と添い遂げるなんてー」
わたしは魔剣作りの旅がしたくて、家を飛び出した。
今更、誰かの伴侶になるなんて、考えられない。
王様たちは、他の国から移住したい人を、募ってくれるそうだ。
これは、デカいプロジェクトになりそう。
「よろしいのだ。国家間との交流も、マンネリ気味だったのでな」
ファッパには、ヤトとリンタローが呼びかけてくれるそうだ。
財団にも、協力してもらうという。
「一つの王国が管理するとなると、誰が統治するか揉めそうだったのです。が、財団の所有する土地として活用するなら、問題ないかと」
シューくんが、そう提案してくれた。
財団は、各地に点在している。
各国家の商業と連携して、ショップを管理すればいい。
「だんだん、話が大きくなってきたね」
『街の完成が、楽しみになってきたよ!』
廃墟だった王国が、街として活気を取り戻していく。
街がすっかり新しく生まれ変わった頃、ようやくグミスリルを使ったヨロイが完成した。
「あの化け物が着ていたものより薄いのに、強度が増しておる。かたじけない」
「いえ。気に入ってくださったなら、なにより」
わたしたちの装備も、一新される。
「レベッカの方は扱いに困ったが、お前さんが打ったこの……名前なんだっけ?」
「地獄極楽右衛門ですわ」
クレアさんがわたしに代わって、魔剣の正式名称をヘルムースさんに教える。
「おお。まあこの……魔剣の方な。こちらは武器の寄せ集めだったから、鍛え直すことはできたわい」
見違えるほどに、地獄極楽右衛門は磨きがかかっていた。
構造が、最初から見直されている。
驚いたのは、五番の棍棒が回転式になっている。表面が互い違いに回転することにより、武器破壊の仕方が前よりはるかにえげつなくなった。しかし太い刃物とすることで、剣に見えなかった問題も解決している。
「すばらしい発想ですわ。ありがとうございます、ヘルムースさん」
「すごい。これは、鍛冶屋の発想だね」
鍛冶師といっても、装備品ばかりを扱うわけじゃない。歯車などを作るときだってある。
わたしたちが街を作っている間も、歯車などを加工していた。
「お前さんたちのおかげで、ええ気分転換になったわい。ありがとうよ」
「いえいえ。ヘルムースさんが天才なんだって」
「ぬかせい。この魔剣は、お主のトンデモ発想じゃろうが。ワシは、それを剣として扱いやすくしたまでのことよ」
魔剣を一から作るというのは、やはりなかなか難しいという。
「ましてワシは、歳を取りすぎてしもうた。頭でっかちってやつよのう」
「でもすごいよ。長年の経験から、この魔剣の良さを引き出してくれたんだもん」
「ありがとうよ。そう言ってもらえると、鍛冶屋冥利に尽きるってもんよ」
何度もお礼を言って、わたしたちはヘルムースさんの鍛冶屋を後にする。
「準備完了でヤンスか?」
「うん。行こう」
あとは、次の目的地への道を邪魔をしている魔女イザボーラを倒すだけ。
(第五章 完)
20
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます
エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】
「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」
そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。
彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。
傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。
「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」
釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。
魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。
やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。
「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」
これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー!
(※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる